夜の街崩壊を防げ!――都市停電×税務官救援ミッション』
【設定】
東京、8月。
午後8時12分、都心の大規模停電が発生。原因不明。通信遮断。信号・地下鉄・携帯網すべて沈黙。
特に被害が深刻なのは――歌舞伎町一帯。
その中心で徴収調査中だったのは、夜の街専属徴収官・ユウコ。
財務省から極秘に派遣された鏡&涼宮の特別徴収チームは、状況把握とユウコの所在確認のため、現地へ向かう。
そこに偶然巻き込まれるのは……なぜか「社会体験学習」で来ていた野田含む5人。
◆序章:都市が“沈黙”する夜
(真っ暗な路地。自販機の灯も落ち、人気はほぼない。わずかに鳴るのはパトカーの遠鳴りと風の音)
野田(懐中電灯を持って震えながら)
「え、えっと……ここ、どこですか?なんで私たち、歌舞伎町の地下駐車場に閉じ込められて……?」
澤田(手持ちのカセットラジオで雑音を拾いながら)
「停電だけじゃない。携帯もつながらない。ワンセグも死んでる。
これは単なる事故じゃないよ。“攻撃”だ。」
亀田
「なによ〜もう!アタシのGPSどこ行ったのよ〜!アプリも全滅じゃない!」
(そこへ暗闇の中からスーツ姿の涼宮が現れる。銃は持っていないが、雰囲気が武装並)
涼宮(すっと現れて)
「あなたたち、ここで何を?」
部長(冷静に)
「こっちが聞きたいわよ。“徴収官”がこんな夜に“街”にいる意味ってなに?」
涼宮(短く)
「“ユウコ徴収官”が現地徴収中に行方不明。
その彼女の調査資料が、第三者に奪われた可能性がある。
そして今、この区画だけ停電。偶然だと思うか?」
(全員、息をのむ)
◆第2幕:税務署文書を取り戻せ
(一同、地下駐車場から脱出。懐中電灯と持ち寄りのライトで薄暗い歌舞伎町裏路地を進む)
鏡(登場。静かに言い放つ)
「“徴税文書”が奪われれば、資産情報・脱税スキーム・裏金帳簿が外部に流れる。
それは“国家への攻撃”に等しい。」
副部長(興奮して)
「つまり、税とは個人のプライバシーだけじゃない。“主権の根源情報”だ。国家そのものだ。」
(突然、路地の奥から声)
ユウコ(荒い息で)
「……おいでなすったか、ヒヨッ子たち。遅いのよ……!
アタシ、あいつらに囲まれて……なんとかここまで逃げてきたわ……」
(ユウコのスーツは汚れ、手にはバッグ。中には、封印された徴収命令書と複数の帳簿)
ユウコ(苦笑しながら)
「夜の街は……平時は夢を売るけど、
一度“電気”と“金”が止まれば、牙を剥くのよ。
アタシの背中から、“国家”が剥がされかけた。」
◆最終幕:夜を越えるために
(一同、周囲を警戒しながら廃ビルへ避難。澤田が非常用バッテリーで通信回復を試みる)
鏡(部長を見ながら)
「君たちは……なぜここにいる?」
部長
「“国家”がなんなのか、肌で知るためよ。
黒板で習った“税”より、この夜の空白がずっとリアル。」
野田(小さな声で)
「わたし……はじめて、“守られる側”じゃなく“守る側”になりたいと思いました。
そのために税金払うって……こういうこと、なんですね。」
(ユウコがバッグをぎゅっと抱えて)
ユウコ
「税金ってのは、収めたその先で、“誰かの盾”になってんのよ。
今日、それがアタシの背中だったわけ。
明日は、アンタたちの背中になるかもしれない。」
(徐々に夜が明ける。東の空がうっすらと白んでくる)
涼宮(無線を修復しながら)
「通信復旧まで、あと10分。
その間……国家は“私たちの肩”にかかってる。忘れないで。」
終幕ナレーション(鏡)
「戦争は、銃の音ではなく“沈黙”から始まる。
税は、音のしない“命の通貨”だ。
この夜を越えた者が、明日を語る資格を持つ。」