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サボる口実(餌)


 この俺が魔剣に乗っ取られているなどという侮辱的な発言、殺されても仕方がないだろう。


 そもそも俺がこの魔剣を使ってやっている側なのだ。それなのに何故俺が魔剣に使われている側として言われなければならないのか疑問である。


 まぁ、こんな単純な事にすら分からないような奴なら死んだ方がこの世界の為になるだろう。


 そして俺はエルフの国を後にするのであった。



◆主人公side



「ふむ、獣人、ドワーフ、エルフの国で虐殺行為……か」

「はい。ギルドに今流れて来ている情報を確認すると、今現在は詳細不明との事ですが。因みにダニエルに切られたウッドグリーン王国の長でございますが、万が一の為に分身の魔術を使っており、切られたのは本人ではなく分身の方であるという事で何とか人間国との戦争には至っていないのですが、かなり怒っているのが現状ですね……」

「なるほど……なら一旦ウッドグリーン王国の首都まで行ってみるか」

「かしこまりました。一応こちらからもウッドグリーン王国の長へとその旨連絡させていただきますので、詳しい話は彼からお聞きするようにお手数をおかけしますが何卒宜しくお願い致します」


 とりあえずアイシャとの模擬戦を終えた俺たちは、一日休息と取った後に再度帝都のギルドへと訪れていた。


 因みにあの後一日休息をとった理由としてはアイシャの精神状態も勿論あるのだが、身体を綺麗にしたり洗濯したり着替えたりと、アイシャを待っていると何かと時間がかかりそうだと思った為である。


 それに、直ぐに受け入れられないだろうしな……。それは一日たった今も同じであろうが、それでも昨日よりかは落ち着いているように見える。


「分かった。ありがとう」


 そして俺は情報をくれたギルドの受付嬢へと感謝の言葉を継げると、次にアイシャとマリアンヌをつれてパーティー編成の登録をしに行く。


 奇しくもドゥーナを抜いたこのメンバーは本来であればこの世界でダニエルが編成するはずであったパーティーメンバーである為何だか複雑な気分である。


「これでパーティーの登録は完了でございます。お気をつけて……」


 ちなみに、一応ギルドマスターにも声をかけたのだがダニエルの件で仕事が溜まっているようで大変そうであった為挨拶が終わったらそのまま返してあげる事にした。


 その時のギルドマスターの表情は『サボりたいからその理由付けでルーカス君の相手をするという大義名分が欲しい』と顔に書いてあったのだが、隣にいた秘書の目が『サボる口実(餌)を与えないでください』と訴えていたので、今日は一つ良い事をしたなと少しばかりいい気分である。


 その後捨てられた子犬みたいな表情をギルドマスターにされても気持ち悪いだけだし、万が一その役目が欲しいと思っていてもゴリマッチョオジサンよりも美人秘書を選ぶわ。


 というか、どうせ今ここで仕事をサボったところで、やらなかった仕事が消えて無くなる訳ではないので結局未来の自分が全て背負う羽目になるというのに……。


 なので、こんなオッサンは無視して俺はギルドを後にする。


「ねぇ、今からエルフの国、ウッドグリーン王国へ行くつもりかしら?」

「あぁ、そうだが……それがどうかしたか?」

「どうもこうもありませんわ。今は既にお昼時、今から出発したら馬車の場合次野営できる場所まで日が暮れてしまいましてよ? はやる気持ちはわたくしも同じですので分かりますが、翌日早朝でもよろしいのではなくて?」

「私もそう思うわね」


 そして早速帝都の外へと出る門へと行こうとすると、アイシャとマリアンヌから待ったがかかってしまう。


「そうか……。いや、先に俺が説明しておくべきだったな。実はエルフの国までは召喚獣に乗って行こうかと思っている。当然馬車なんかよりも早く、そうだな……ここからならば三時間ほどでウッドグリーン王国の首都であるエルフェイムには着くと思うぞ?」


 その理由に移動時間の事を指摘されるのだが、俺は彼女たちに移動手段の説明をする事を忘れていたのを思い出したので、俺の召喚獣で移動する事を説明する。


「ちなみに召喚獣は、ギルドで登録は済ましているのかしら?」

「あぁ、自分の領地であるタリム領にてちゃんと召喚獣の登録とその証明の首輪も貰っているから安心しろ」

「それならば良いのですが、その召喚獣というのは……?」

「そうだな、それは門の外に出るまでのお楽しみという事で」


 当然その召喚獣は既に登録は済ましている、というか俺の召喚獣は全て登録している。


 ギルドで直接登録すると色々と面倒事になりそうなので俺の屋敷までタリム領のギルド職員を呼び寄せて一気に済ます事にした。


 その時のギルド職員の驚いた表情は今も覚えている程の表情をしていたのを思い出す。


「……勿体ぶる理由が分からないけれども、遅かれ早かれ分かるので別に良いわ」


 そんな俺の態度に少しばかりイラっとしたのか、アイシャが面白くなさそうな表情でそう呟く。


「しかし、帝都からウッドグリーン王国の首都、エルフェイムまで三時間程度でわたくしたちを運ぶことができる生物なんておりますの? それこそドラゴンくらいしか思いつかないですわ」


「さぁ、どうだろうな」

「あんな、ぶっ壊れた剣を持っているくらいですもの。今更ドラゴンの一匹や二匹、召喚獣として使役していたとしても今更驚きませんわ」


 そんな会話をしながら俺たちは歩きながら門の方へと歩きながら外へ出ると、道の横へと外れ、通行人の邪魔にならない程のスペースが空いている場所へと移動すると早速召喚獣を召喚する。


「では、ここでグダっていても時間の無駄だから早速召喚するか」


 そして俺がそう言いながら真っ黒な鱗で覆われた、身の丈七メートル(全長十一メートル)程の巨躯を持つドラゴンを召喚する。

 

「…………はい?」

「…………へ?」


 そのドラゴンを目にしたアイシャとマリアンヌは、そのあまりのカッコよさに言葉を失っているようである。


 その姿を見て俺は、初めてこのドラゴン【黒炎竜ニーズヘッグ】のイラストを見た時は『借金をしてでも当ててやる』と鼻息あらく息巻いた程である。


 イラストでこれなのだから実際にその姿をその目で見た場合は、やはり言葉を失ってしまうのも分かるというものである。


「我が主よ、良くぞあのいけ好かない豆腐野郎ではなく私を選んでくれた。それで、我は何をすればよい? 目の前に見える羽虫の街を漆黒の炎で燃やし尽くせば良いか?」

「やめろ。とりあえず、ニーズヘッグにこれから俺たちをエルフの国まで飛んで行って欲しいんだが、頼めるか?」

「なるほど、そのエルフの国を焼き尽くせば良いのだなっ!!」


 なんでこいつはとりあえず焼き尽くそうとするのか……。


 周囲の人たちがニーズヘッグを見て怯え始めているので早くこの場から飛び去りたいのだが、俺の命令が伝わっていそうで伝わっておらず、こんな事ならばニーズヘッグが『豆腐』と呼んでいる【白銀竜ホワイト・ローズ・ドラゴン】または【紅涙竜レッド・ローズ・ドラゴン】を召喚すれば良かったと思った事を隠して俺は『ただ目的の場所まで運んでくれるだけでいい』と丁寧に教えてやると何故か不服そうな表情をするではないか。


「ふーむ……せっかく呼ばれたのだからいつものように暴れまわれると思っておったのだが、どうやら思い過ごしであったようだな。少しばかり物足りないと思わなくもないが、主が使役しているドラゴンの中から唯一、我を選んでくれたというだけでも良しとしよう」


 しかしニーズヘッグは直ぐに機嫌を取り直して俺たちが背中に乗りやすいように伏せの状態で待機してくれる。


 あのカッコいいニーズヘッグが犬のように伏せをして俺たちが背中に乗るのを待っている姿は、見たくなかったとは口が裂けても言えない。


 ここまで読んでいただきありがとうございます!!




 今現在、別作品にて


【婚約破棄された公爵令嬢は罰として嫁がされたのだが、旦那様のお陰で日本(地球)の食べ物に舌鼓を打てて今日も幸せです】


https://ncode.syosetu.com/n5038jr/




 を連載中でございます!




 もしよければこちらも読んでいただけると幸いでございます(*‘ω‘ *)ノ

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