ツケぐらい自分で払えや
そう言うと俺はストレージの中から学園長と同じ武器、しかしながらレベルをカンストさせた後に進化をさせ、さらにレベルをカンストさせ、というのを限界まで繰り返した『最終形態』の状態まで育て上げた武器を取り出す。
「な、何だそれは……っ!?」
「なんだって、お前と同じ武器だよ。ただ、俺のは限界値まで育て上げ、お前のは見た感じ進化すらさせておらず、レベルも殆ど上がっていないようだがな。どうせどっかのダンジョンからドロップしたアイテムなのだろうが、それにしてもこんなゴミを家宝だのS級だのと言うだけではなく進化させるところかレベルすら上げていないとか……ヤバ過ぎるだろ?」
そして俺はそう煽りまくる。
確かにゲームの世界ではゴミのような武器であってもこの世界ではS級と呼べるほどの効果と威力を持つ武器として評価される事は理解できる。
それに、ゲームの世界のようにレベル上げや武器進化をしてくれる施設がある訳でも、レベル上げの方法や進化の方法すらこの世界ではまだ分かっていない可能性の方が高い上に、実際にそうだろう。
しかしながら、だからと言ってこいつを馬鹿にしない理由にはならない。
むしろ相手が俺が先に偉そうに武器の事についていかに凄いかという事でマウントを取って来たのならば、何も知らないという無知さ加減を馬鹿にしても文句は言えないだろう。
そして学園長が装着した拳鍔と俺が装着した拳鍔は見た目こそ殆ど同じではあるのだが、漏れだすオーラや、色合いが異なり、明らかに俺の方が凄い武器であると分かる程である。
「な、何故だ……。こ、こんな事……あってはならぬ……っ!! さては貴様、偽物でこの儂を騙そうとしてやがるなっ!!」
学園長は、恐らく俺の装着した拳鍔を見て本能では俺の武器の方が凄いと理解できたのだが、だからこそそれを認めたくなかったのだろう。
だからこそ俺の武器よりも自分の武器の方が凄いという事を証明する為に、俺に殴りかかって来たのだが、俺はその学園長の攻撃に合わせて、俺も攻撃を合わせる。
しかもただ攻撃を合わせるだけではなく、武器進化させる事によって行使できるようになるスキル【剛掌打】を行使する。
すると、俺の攻撃を受けた武器は、耐えきれなかったのか粉々に砕け散り、当然学園長の拳から肘まで複数個所骨折して見ただけで気分が悪くなるような形になってしまっている。
しかしながら俺はその学園長の腕を見ても可哀そうだとは思う事も無く、むしろスッキリする。
「うぎゃぁぁぁああああっ!! 儂の手と腕がっ!? 儂の武器がっ!!」
一拍遅れて自分の右手と右腕、そして武器が粉々にされた事に気付いたのか、痛みと武器が壊れた事実に涙と鼻水に涎を垂れ流しながら叫ぶではないか。
「うわ、汚ねぇな……っ!」
「ぐえっ……………あぎゃっ!?」
そして俺は左手を腕に添えて、未だに痛みからか叫び続ける学園長を横薙ぎ様に蹴り飛ばすと、まったく防御態勢を取っていなかったのか、その勢いのまま吹き飛んでいき、ゴロゴロと転がった上で壁にぶつかって止まる。
「さて、学園長に問題を一つ出してやろうか」
「ぐ……ぜ、絶対に許さないぞ……そんな事をしておいて……っ!! あぎゃっ!!」
「良いから聞けよオッサンッ」
とりあえず、腕と武器を破壊されているにも関わらず、まだキャンキャンと吠える学園長をビンタ一発で黙らしてから俺は話を続ける。
「問題なんだが『人を呪わば穴二つ』って言葉がとある国にあるんだが、どういう意味か解るか?」
「そ、そんな他国の言葉の意味なんぞ解る訳がなかろうっ!!」
「あぁ、それは大丈夫だ。今から身を持て体験する事になるから。それで意味なんだが『人を呪って殺そうと墓穴を掘る者は、自分の墓穴を掘らなくてはならなくなり、結果墓穴を二つも掘らなければならない』って意味なんだ。どういう意味か分かるよな?」
「それはそいつがバカだっただけであろう……っ!!」
せっかくバカでも分かりやすいように教えてやったというのに、バカはバカでもプライドが高いバカは駄目だな。俺が言った言葉の意味をまったく理解できていないではないか。
なので俺は学園長の所まで近づくと、もう少し分かりやすく言ってやる事にする。
「まだ分からないのか? そのバカが俺の目の前にいるだろうが」
「…………なっ!? き、貴様っ!! そんな事が許さっるとでも思っているのかっ!? それに実際に貴様を殺そうとした奴は儂ではないっ!! 冒険者のバカではないかっ!!」
「あ? 許す許さないは俺が決めるんだよ。そもそも俺を殺す依頼した奴の息の根を止めなければ暗殺しにきた奴を殺したところでどうせまた新しい刺客を送ってくるんだから意味が無いだろう。だからもう刺客を送られないように諸悪の根源を潰しに来たんだよ。そもそも、報復された時にそうやってキャンキャンと吠えるのならば初めからしなければ良いだろうが。自分のしでかした行為のツケぐらい自分で払えや」
「うぐおげぇぇぇえええっ!!」
そして俺は言いたいことを言うと学園長の鳩尾を気絶しない程度に軽くなぐってやる。
すると学園長は吐しゃ物をまき散らしながら床の上を転がるではないか。
その為学園長は自分の吐しゃ物で汚れて、ちょっと近付きたくない状態になってしまっている。
「とりあえず、殺そうとしたツケは当然支払ってくれるよなぁっ!?」
「ふべっ!? やめっ!! あぎゃっ!!」
そして俺は、吐しゃ物まみれの学園長には触れたくないので武器スキル【掌底波】を行使して掌底の衝撃波を打ち出して攻撃する。
この武器スキル【掌底波】なのだが、ゲーム内ではダメージを当たるというよりかは、相手を十六Fほどスタンさせる事がメインの技なのだが、その程度の技ですら学園長にとっては悶絶するほどにダメージを受けているらしく、しかもスタン機能がある為上手く動くことができない為逃げる事もできないようである。
しかしながらそんな事など俺には関係ない上に、こちらに非がないにもかかわらず暗殺の依頼をしてきた相手に『可哀そうだから途中でやめる』などという選択肢はない。
「あ、ついにコイツ気絶しやがった……。おい、起きろやっ!」
そしてついに学園長は痛みと恐怖で糞尿までまき散らし、糞尿まみれの中気絶しやがったので水魔術で頭に冷や水をぶっかけて強引に起こす。
「ひぃっ!!」
「だれが気絶して良いって言った? 意識がある状態で殺さないと意味が無いだろう?」
「も、もう暗殺依頼はしないからっ!! ちょっかいもかけないし、ルーカスが動きやすいように裏で糸も引いてやるっ!! だから──」
「暗殺依頼をした奴の言葉をだれが信じるんだよ。 そんな奴の言葉を信じるくらいならば殺した方が早いだろう。違うか?」
そして俺は一通り嬲った後に学園長にトドメを刺すのであった。
◆
「それで、冒険者組合はどうこの落とし前を付けてくれんだ?」
学園長にトドメを刺した翌日、帝都の冒険者ギルドへと向かうと、冒険者ギルドのギルドマスターを呼び付け、別室で今回の件を詰めていた。
暗殺の件は学園長の命で落とし前は付けたとしても冒険者が、しかもS級の冒険者が裏で闇依頼を受けていた事に関してはまた別問題である。
「いやぁ……そう言われましても困りますね。一応我々は冒険者を雇っているのではなく、仕事を冒険者という個人事業主に斡旋しているだけにすぎません。ですので我々冒険者ギルドとして何かしら不祥事を起こしてしまった場合と違い個人の冒険者が起こしてしまった不祥事に関してましては冒険者と当事者で解決してもらおう事になっておりまして、はい」
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
今現在、別作品にて
【婚約破棄された公爵令嬢は罰として嫁がされたのだが、旦那様のお陰で日本(地球)の食べ物に舌鼓を打てて今日も幸せです】
https://ncode.syosetu.com/n5038jr/
を連載中でございます!
もしよければこちらも読んでいただけると幸いでございます(*‘ω‘ *)ノ




