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もう終わり


 しかしこれであの馬鹿はもう終わりであろう。


 いくらドゥーナが強いからと言っても流石にS級冒険者であるオリバーには勝てまい。


 それに、ランゲージ家を潰す事によって他の貴族たちに融資を回収しようとすればどうなるのかを見せつける事もできるし、ランゲージ家にある巨万の富を奪いつくす事もできメリットしかない。


 公爵家ともなるとかなりの貯えがあるだろう。想像しただけで口元がにやけてしまう事がやめられない。


 しかしながら、と儂は思う。


 S級冒険者とはいえ所詮は平民上がりの荒くれ者。側だけは取り繕ってはいたのだが、そもそも平民ごときが伯爵でもありこの学園の長でもある儂がこうして会ってやり、ギルドを通さずに依頼をしてやるというのにも関わらず手土産の一つも無いとは……所詮は平民、育ちが知れるというものじゃな……。


 アイツへの報酬は人生の勉強代として無しで良いだろう。


 それ冒険者ギルドに所属しているにも関わらず、ギルドを通さない依頼を受けている時点で喰う側の者ではなく喰われる側の者でしかない。


 なんと愚かな……。


 しかしながらだからこそ儂が潤うのだから良しとしよう。


 なんだかんだで神はまだこの儂を見放してはいなかったという事じゃな。





 なんだかんだで無駄な時間を過ごしたのでタリム領に戻って来た俺は早速領地経営を進めるべく動き出す。


 とりあえず、今のところ考えているのは道路の整備が終わればその中から優秀な者を募って道路の様々な問題を解決する会社を作る予定である。


 ちなみにその給金はタリム領から集めた税金をランゲージ家を通して支払う形にする予定だ。


 ちなみに主な仕事内容は今回培った技術を使い道路の修繕がメインとなるのだが、倒木など道路をふさぐ物の撤去に、定期的に道路周辺の魔獣や獣の討伐、後は商人などの護衛等を生業としてもらう予定である。


 その為多少は強くなってもらう予定があるので、引退間近の冒険者からも数人教育係として引き抜いてくる予定である。


 給料は恐らく冒険者時代よりかは少し下がってしまうとは思うのだが冒険者稼業よりかは安全かつ安定した収入が得れるのはかなり美味しい話だとは思っているし、実際にそう考えているものは多かったらしく引退間近だけではなく既に引退している者からの応募が殺到しているようで嬉しいかぎりだ。


 しかも今回俺の予想と反して、この話を聞いた引退している元冒険者たちが他の領地に移り住んでいる元冒険者仲間たちを呼び集めてくれている事である。


 うん、良い感じでここタリム領のイメージ回復に繋がっているのは棚からぼた餅と言えよう。


 しかしながら全員を教育係に任命する事はできないという問題も同時にできてしまった。


 他の領地では引退した冒険者は無価値であると見向きもしないのだが、俺はそうは思わない。


 引退した冒険者とは当然その分だけの実力がある者もいれば、実力が無い者も生き延びていく知恵がある者、もしくはその両方を持っている者も多い。


 だからこそ冒険者稼業で定年まで生き延びる事ができたのだろう。


 ちなみに今回の土木関係、道路修繕課とでも仮でつけるとして、この道路修繕課で募集する者には武術を心得ている者は少ないので、ここで必要なのは『知恵で生き抜いてく術を教える事ができる者』となり『武力で困難を蹴散らす術』は必要ない訳ではないが前者の方を求めているのもまた事実である。


 そうなってくると『昔高ランク冒険者であった引退者』が余りやすくなるのだが、それはあまりにも勿体なさ過ぎるだろう。


 その為この者たちには冒険者ギルド育成学校を作り、そこで講師や、我が領地を守る騎士の育成をしてもらうかと思っている。


 知恵や技術は一朝一夕で培われるものではないので、それを無駄にせず次世代へ紡いでいく流れを俺の領地では組み込めたなら、と思う。


 確かに冒険者という稼業は全てが自己責任であり、知識が無くて死ぬのも実力が無くて死ぬのも自己責任というのも分かる。


 だからこそ現役時代はその知識はライバルでもある他人に教えたくないと思うその気持ちは分かる。


 しかしながら知識があれば、実力があれば助かった命があるというのもまた事実である。


 その助かった命の中から英雄と呼べるレベルの者が産まれる可能性もあるのだ。


 その可能性を潰すのはあまりにも領地としてマイナスでしかない。


 冒険者稼業としても有名な領地になればそれだけで領地は潤うのだから。


 武具を作る職人から、それを売り捌く商人は勿論、それらが生活する為には衣食住が必要であるし、当然それらを捌く店や商人も訪れるようになるだろう。


 にも関わらず『平民だから』『冒険者などは荒くれ者の集まりだから』だとかいうフィルターをかけ生かそうとしてこなかったのは、領地を経営するものが貴族である弊害でもあったのだろう。


 そして何よりも俺にはドゥーナが嫁としている訳で。


 ドゥーナの実家であるフォング家は武闘派といわれるだけあって、まさに数少ない冒険者の聖地と言われるくらいには冒険者稼業で潤っている領地であり、そのノウハウをドゥーナから教えて貰える事ができるのだ。


 その点に関してはドゥーナと結婚できた事は幸運と言えよう。


 問題は今現在周囲の魔獣と往来する商人や乗合馬車の護衛程度しか冒険者としての仕事が無い事であろうか。


 確かに、他の領地と比べて山や林に草原と様々な地形に囲まれているというのは冒険者としては恵まれているのだが、それでもダンジョンが近くにある領地と比べると圧倒的に魅力に劣ってしまうのは否めないだろう。


 ならばどうするか?


 新しいダンジョンを作れば良いのだ。


 それも、この世界の冒険者に合った難易度のダンジョンを。


 まさか、ストレージにゲーム時代のアイテムが収納されているとは、初めてその事実に気付いた時はビックリしたものだが、しかもそのアイテムを取り出して行使する事ができるのだから笑いが止まらなかったものだ。


 そのアイテムとは課金ガチャでゴミ扱いされていた『ダンジョンできーる君』である。


 アイテムの名前の通りダンジョンを作る事ができるアイテムなのだが、そのアイテムが出た当初はそこそこのだが課金ガチャが更新される度にインフレしていき、それにつられるようにイベントダンジョンもインフレ化していった結果『ダンジョンできーる君』が実装されて半年後にはゴミとなっていた悲しきアイテムであった。


 発想自体は面白かったのだが、面白い止まりなのが残念なところである。


 ちなみに作れるダンジョンはプレイヤーのレベルに応じて増えていき『ゴブリンのダンジョン』『オークのダンジョン』『サイクロプスのダンジョン』『ワイバーンのダンジョン』『ドラゴンのダンジョン』の順番で全五種類のダンジョンが解放されていくのだが、俺の領地には今のところ『ゴブリンのダンジョン』で様子を見て行けば良いだろう。


 この調子でダンジョンを少しずつ怪しまれない程度の頻度と場所に作って行けば、数十年後にはここタリム領が冒険者の聖地となり、俺を騙しドゥーナを捨てたフォング家の経営する領地は『昔は冒険者で賑わっていた領地』となる事だろう。


 俺はお人好しでもなければ聖人でもないので嫌な事をされると腹も立つし根に持つ。当然やられたら仕返ししたいという感情もある訳で。


 さぁ、これから忙しくなりそうだっ!!





「それで、オリバーはルーカスとかいう貴族の暗殺依頼を受けたっていうの?」

「あぁ、そうだ。一応これは俺なりにルーカスという人物を事前に調べた上で受けると判断した。しかしながらギルドに申告していない裏依頼である事は間違いないのと、まだ現時点ではルーカスに対しては悪徳領主という噂が流れていないから、パーティーに迷惑をかけてしまう可能性もある為俺だけで行うつもりだ」

 



 ここまで読んでいただきありがとうございます!!




 今現在、別作品にて


【婚約破棄された公爵令嬢は罰として嫁がされたのだが、旦那様のお陰で日本(地球)の食べ物に舌鼓を打てて今日も幸せです】


https://ncode.syosetu.com/n5038jr/




 を連載中でございます!




 もしよければこちらも読んでいただけると幸いでございます(*‘ω‘ *)ノ

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