頭のいい小学生だっているし、頭の悪い大人だっている。
シャキッ、シャキッ、シャキッ、特売でゲットしたキャベツをきる。
もちろん、友達がよく歌っているプレイリストを聞きながら。
日曜の夜から掃除を始めようとしている無計画な私にも、一人で計画を立てて行動したい日もある。
そう、昨日の夜から考えてた、朝ピクニックに行きたいのだ。
昨日のバイト帰り、特売のキャベツを見て唐突に思いついた、浅はかな考えだが、行動力は認めてほしい。
こんな、なんもない休日の朝6時に起きているのだから。
どうしても、今日という今日は、具材たっぷり入れたサンドウィッチを持って公園で本でも読んで大人な朝を過ごしたいのだ。そう、つまりはサンドウィッチを口いっぱい頬張りたいのである。
焼けた食パンに目玉焼き、ウィンナー、チーズ、ハンバーグを挟み込み、ケチャップと塩コショウで味付けをする。
完成したサンドウィッチを半分に切り、アルミホイルで形が崩れないように包む。
完璧だ。
我ながら、天才だと思う。もうこれで今日の一日は良い日になっただろう。
そんなかんやで、この前、表紙に一目ぼれして買った本とサンドウィッチをカバンに入れ、いつの間にか番組が変わったテレビをを消して家を出る。
ここで、本日の私のコーデを紹介しよう。何にでも合うと思って買った、白の無地のTシャツに花柄のスカートに派手目のサンダル。洋服と靴が合わないのは見なかったことにして欲しい。正直一人で外出るためにそこまで、コーデで考えるのはめんどくさい。どうせ足元なんて誰も気にしないし、というか、私が気にしてない。
日焼け止めを塗り忘れた肌に、申し訳なさ程度の日傘をさしてバス停まで歩き、バスに乗って公園まで計15分というところだろうか。
いつもは、日焼け止めを塗り忘れた私にため息をついてしまうのだが、今日は、ため息なんて出てこない。だって、もう今日が良い日になることは確定しているのだから。
インスタでかわいいお姉さま方の投稿を見ながらピクニックの予行練習をし、結局いつものようにお気に入りの漫画を読み始めたころにはバスが最寄りにつく頃であった。
カバンを手に、席を立つ準備をする。周りを見渡しこのバス停で降りる人は私だけだろうと確信した私は、何食わぬ顔で、そして少し駆け足でバス降りるのだ。
どうしてもバスで立つときは緊張し、小心者の私が心の中で顔を出したがるのだ。気づたら止めていた息を吐きだし、大きく息を吸い込む。
さっき読んだ漫画の世界なら、今日のこの行いは爵位が上がりそうだ。なんてことを考えていると本日の会場である大きな公園が見えてきた。
思っていたより人がいることに驚きつつも、ちょうど日陰になっているベンチを見つけた。
早速、本日のサンドウィッチとさっきコンビニで買ったカフェラテを準備し、ようやく食べようと、高鳴る鼓動と共に口を大きく広げる。
ああ、ここで、いらない意思が出てきてしまった。出てきてしまった。せっかく来たのなら、写真を撮らなければいけない。
めんどくさがりな性格だが、一応写真には残したい派なのである。
一通り写真を撮り、二度目の高鳴る心臓とともにサンドウィッチを一口頬張る。うーん!うまい。
いや、かなりうまい。我ながら、天才だと思ったのは間違いではなかったと確信する。
2口目は風で揺れている木を見ながら頬張る。そして、カフェラテで整える。
と意味の分からないことを考えていると15分後にはもう、空のカップとアルミホイルの残骸だけになっていた。
気温が上がり、暑くなってきたから片付けをして近くのショッピングモールにでも入ろうかと考える。
もちろん読書をしようだなんて考えは忘れているのである。
家族連れでにぎやかになった公園から逃げるようにショッピングセンターに駆け込み、暑くなった体を冷やすことに専念する。
令和大学生の身体はクーラーなしでは溶けてしまうのだなんて、いっちょ前に大学生の代表になりきってやりたい。
そんなことしか考えてない私には地球温暖化よりも私の温暖化のほうが重要問題なのである。