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ステータスオープン


 勇者パーティーを追放された俺は、悔しさに涙で枕を濡らし、宿で一夜を明かした。

 

「朝か……」


 憂鬱な気分で俺は朝を迎えた。

 はあ。これからどうするか……

 おもわずため息がもれてしまう。


 リアージュたちに有り金全部を持っていかれてしまったので、この宿ももう出なくてはならない。今日からは寝るところもないのである。


 行く当てもなく街をさまよう俺。

 どうするか。手っ取り早く金を稼ぐなら冒険者だが……


 しかし〈荷物持ち〉の俺には戦闘能力などないのだ。

 いや、実際に戦ったことはないのだが、他の〈荷物持ち〉たちを見ても同じだ。

 戦闘中は離れて見ているだけで戦っている奴なんていない。


 荷物持ち一人ではモンスターなど倒せないだろう。

 しかし昨日あれだけ悪目立ちした後だ。都合よく、俺をパーティーに入れてくれる相手など見つかるだろうか……


「はあ。しんどい状況だがなんとかしないとな」


 この先一文無しでは飢え死にまったなしだ。

 そうだ、冒険者をやるならあれを確認しておいた方がいいのかな。


 俺は手を前にかざして叫んだ。


「〈ステータスオープン〉!」


 目の前に青く輝く文字の列たちが浮かび上がる。

 おおっ、これが俺の〈ステータス画面〉か。初めて見たな。


 ステータスとは冒険者としての強さを数値化して映し出してくれるものだ。

 冒険者ならよく見ている奴も多いが、俺は戦闘職ではないただの〈荷物持ち〉だ。

 自分のステータス画面をこれまで確認したことなどなかったのだ。


「どれどれ。どんな具合だろうか……」


 俺はステータス画面をのぞき込んだ。



――――――――――


名前:ドゥリン

種族:ドワーフ

クラス:荷物持ち

レベル:1

HP:10

MP:10

筋力:10

魔力:5

俊敏:3

器用さ:10

耐久:8

幸運:5

固有スキル:〈アイテムボックス【極】〉〈装備整備【極】〉〈アイテム管理【極】〉〈覇者のオーラ〉〈神の目〉〈超天才〉〈全適正SSS〉〈成長率補正UP++++〉〈生物の頂点〉〈万物の王〉〈神話的存在〉………………etc


――――――――――



「な、なんだこれは。やけに長いな」


 予想通りひどいステータスだ。

 モンスターを倒したことがないからレベルも最低の1だし、ステータスも特に高い数値もない。


 しかもステータス画面の下の方によくわからない文字がずらずらと並んでいるのだ。

 なんだろうこれは。……難しい言葉が多いな。

 なんで俺だけこんな読みずらいステータス画面なのか……


 だが俺にとって一番衝撃だったのは名前の下にあった種族〈ドワーフ〉だった。


「俺、人間じゃなかったのか……」


 がっくりと肩を落とす俺。

 なんてことだろう。今まで俺は人間で、まわりの皆と同じ存在だと思っていたけどそれはただの勘違いだったのだ。


「はあ。どおりで馴染めないわけだよ」


 まわりからの奇異の目も、勇者たちからの嫌われようも、人間じゃないなら納得だ。

 俺の居場所なんて最初からなかったんだ。

 なぜなら俺がドワーフだから。……でもドワーフってなんだろう?


「やれやれ。どこか他の街に行くか……」


 俺はなんとなくこの街から離れたかった。

 あの勇者たちにばったり出くわしたりしたくない。

 昨日、目立ってしまったせいで多分パーティーを組むのも難しいだろう。


 冒険者をやるのだってこの街〈メルトビリー〉は魔王城が近いせいで周辺のモンスターが強いのだ。

 一人で戦うとしたらレベル1の俺がここでやるのは現実的じゃない。


 それに俺は、もう魔王討伐がどうなってもどうでもよい気分だった。

 どうせ俺は人間じゃないんだから、人間と魔族の戦いも、もう関係ない。

 どっちが勝っても俺はドワーフなんだからどうでもいい話だ。


 なら、この街にとどまる理由もないだろう。

 手持ちの食料が無くなる前に、どこか別の街……もっと周辺のモンスターが弱い、初心者が冒険者をやるのに向いた街に移るのがいいだろう。


「よし。じゃあさっそく行くとするか」


 ぐずぐずしてはいられない。

 俺は街の門をくぐって外に向かった。


 勇者たちの荷物は泊まっていた宿の受付に置いてきた。

 手元にあるのは俺のわずかな私物だけだ。

 せめてなにか武器になるようなものがあればよかったんだが……


 丸腰では不安だが、装備を買えるような金もない。

 たしか二つほど前に立ち寄った街に、冒険者をやるならよさそうなところがあったはずだ。


 街から出て南に向かい、俺が森の中を歩いているそんな時だった。


「きゃああああああっ!!」


 突然、女性の叫び声が森の中に響き渡った。


「な、なんだっ!?」


 近くで誰かが危険な目にあっている?


「た、助けないと……!」


 俺は声のした方に走って向かった。

 木々の中を抜けた先、そこにいたのは……


「へっへっへ! お嬢ちゃんどこに行くつもりだい?」


「いやぁっ放してくださいっ!」


 フードをかぶった女の子がガラの悪い男たちに囲まれていたのだ!



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