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第61話後編 おじさんは聖女の愛をなおせない

「ん? ニナ、どうしたの? あのおじさんがどうかした?」

「冴えねえおっさんだな。気合が足りなさそうだ」

「うふふ、いえ。では、提案した通り、ここで黒魔法使いを探しましょう。『あの人』と同じ黒魔法使いを」

「「ええ(おう)、アシナガ様(師匠)が言う黒魔法使いね(な)! ん? 同じ?」」


ケンとリアが同時に答え、同時に首を傾げる。

ニナは、この場所に二人を導いた。全てはあの男に会う為に。

それに対し罪悪感はない。二人もきっと会いたいだろう。気付くかどうかは分からないが。

あの人と『アシナガ』さんが同一人物ということに。


ニナは気づいていた。

伝言用魔導具でやりとりをする内にそれはどんどんと確信に変わっていった。

そして、ずっと計画していた。会うために。見つける為に。


その計画の最後の仕上げが行われようとしていた。




「うえっ!? 君、たちは……?」

「あたし達は、支援孤児、アシナガ様の子。パーティーに入ってくれる黒魔法使いを探しているの。おじさん、黒魔法使いでしょ? 聞いたところ、パーティー追い出されてばかりらしいわね。あたし達と一緒にパーティーを仮で組んでみない?」


ニナはずっと祈っていた。


「おい、おっさん。足手まといになる位ならいらねえからな。弱音吐くなら今の内だぞ(おじさん、無理はしないでくださいね。無理なら無理というのも大事なことですよ)」


神に祈っていた。


「……あー、じゃあ、うん、あはは、まあ、死なない程度に頑張るよ」


祈っていた。




「早く会いに来てくださいよ」


そう、神に、彼女の神に向かってニナは言った。


「あ、あはは……久しぶりだね、ニナ」


赤茶のもじゃもじゃ髪を掻きながら笑うガナーシャ。

今は、ガナーシャを呼び出して二人きりだ。

それだけで、ニナはとんでもなくドキドキしていた。

彼女にとって、彼はもう『神』だから。


「ええ、お久しぶりです。そして、支援ありがとうございます。『アシナガ様』。ですよね?」

「……それは、伝えてなかったはずだけど」

「ええ、口調も不自然にならない程度に少し変えていましたし、一切あなたに繋がるような情報は出ていません。ですが……分かりましたよ」

「そっか……まあ、でも、もしかしたら、こういう運命だったのかもね」


運命。その言葉にどきりとする。

ガナーシャとニナのこの出会いと運命と言ってくれる神に。


「あーでも、二人にはまだ黙っててくれる? 気付いてないみたいだし、二人は、アシナガ様のことを相当尊敬しているから」

「ふふ、二人は美化させすぎなんですよ」


本物はそんな見せかけの美しさの欠片もない、本物の神々しい美しさを持っているのに、とニナは笑う。


「あ、でも、条件があります」

「……な、なにかな?」

「……わたしの言う事は絶対です。特に相談なくパーティーを抜けないでください」

「わかった。でも、僕からも一つ条件いいかな?」

「脅されている側なのに、偉そうですね」

「う」

「ふふふ、良いですよ。なんですか?」

「君の言う事は出来るだけ聞くよ。だけど、」


ガナーシャは、頭をぼりと一掻きすると真っ直ぐにニナを見つめる。

二つの目でニナを。彼女達を。


「君だけが不幸になる命令は絶対に聞かない。だから、絶対に、自分一人が不幸になればいいと思わないで、もう二度と」


真剣な目でガナーシャは言った。

ニナは、笑った。

そして、ニナは、ガナーシャの仲間になった。

お読みくださりありがとうございます。

コンテスト用短期連載作始めました! 良ければご一読ください…!

魔女と魔法少女バディものローファンタジーです!

『魔女に魔法少女』

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よろしくおねがいします!

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