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第12話 誰かコイツを何とかしてくれ

「……さて、今後の方針が決まったところで、今夜の部屋割りを決めたいんだが」


 ゆりとナオトのイチャイチャを存分に見せつけられた後。俺は少々ゲンナリしながら、そう話を切り出した。

 ……さっきからチラチラこっちを見るクーナの視線が痛いが。いや耐えろ俺。俺はクーナの保護者だ、保護者!


「部屋はここともう一部屋、二人部屋を押さえてある。つまり二人ずつで泊まる事になるが……」

「え? だったらここはオレとゆりで決まりじゃん。オレ達夫婦なんだし」


 俺の言葉を途中で遮り、さも当然だとばかりに言い放つナオト。ああ、お前は絶対そう言うと思ってたよ。だがな。


「生憎だがそれだけは却下」

「ハ!? 何でだよ!?」

「……念の為聞くが、二人になったら何するつもりだ?」


 下した決定に案の定不満を漏らすナオトに、こめかみが痛み出すのを感じながら問い返す。するとナオトは、へらりと締まりのない顔をして言った。


「そりゃ勿論、愛の営みしかないっしょ?」

「ハイ却下」

「ハァ!?」


 駄目だコイツ。やっぱり全然状況解ってねえ。ますます痛み出したこめかみを押さえ、俺は大きく息を吐いた。


「オイエロ猫。まず、俺達の目的は何だ」

「元の世界に帰る、だろ?」

「そうだ。それには一刻も早い方がいい。宿泊代だって、無限にある訳じゃねえ」

「だから?」

「……お前が調子に乗ってヤりまくったせいで、ゆりに動けなくなられたら困るんだよ!」


 苛立ちと共に発した言葉に、女性陣の顔が一気に赤くなる。一方のナオトは、人の怒りなんてどこ吹く風で飄々とした態度を崩さない。


「いーじゃん。そうなったらオレがゆりを運ぶし」

「また何か出たら? ゆりを抱えたまま戦うつもりか?」

「オレならそれでもラクショーだね」

「……お前の戦い方で、本当にゆりに傷一つ付けさせないで済むのか?」


 そう言ってやると、ナオトが一瞬言葉に詰まる。俺はそれを見て、また一つ溜息を吐いた。

 ナオトは確かに強い。この中では最強と言っていいだろう。

 だがその戦い方は周りを省みない、ソロ前提のものだ。誰かを守りながらの戦いが、満足に出来るとは思えない。

 「勇者をやらされていた」、「ゆりが帰りたいなら帰る」、そしてソロに慣れきった戦い方。コイツの元の世界での扱いが、少し見えた気がした。


「……全員が無事に帰る為にも、全員が万全でいた方がいい。急造とは言え、今の俺達はチームだ。チームの仲間は、誰一人傷付けさせない。お前もだ、ナオト」


 言い切って、真っ直ぐナオトの顔を見つめる。そのクーナと同じ色の瞳が初めてしっかりと俺を見返し――そして、盛大に嘆息した。


「わーったよ。今夜はガマンする。何かアンタと話してると、ドーミオのおっさんと話してる気分になってくる」

「俺に似てるって事は、お前に苦労させられてんだろうな、そいつも」

「苦労なんてかけてねーし。ただあっちがお節介なだけだっつの」


 そう少し拗ねたように言うナオトは、まるでガキのようで。少しだけ、かつての相棒(クラウス)の若い頃を思い出した。


「じゃあ部屋割りは、男女で分かれるって事で全員異論はないな?」

「ナニ言ってんの? ヤるのをガマンするとは言ったけど、ゆりと別々でいいとは言ってないけど?」

「は?」


 ところが、話を纏めようとした俺に、ナオトはそう言ってのけた。俺はこめかみの痛みを再発させながら、冷静に、出来る限り冷静に問い返す。


「……一晩中二人っきりで、我慢出来る自信は?」

「んー……先っちょだけならセーフ?」


 ――ガツン!


 遂に苛立ちが頂点に達した俺が、ナオトの脳天に全力で拳を落としたのは言うまでもない。

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