【単話】豆府鉄道の中古電車譲受作戦 from 浜戸市電気鉄道
浜戸市電鉄中古電車譲受作戦
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山手電鉄暦南北快速十六年五月十五日、来たる夏に備えて豆府鉄道首脳陣は悩んでいた。
第一世代の旧型冷房電車の退役、
十八メートル編成型電車二代目の増備遅れ、
戦争終結による和国国鉄からの中古電車輸入途絶
(輸入車も非冷房の上に改造不可だが、寒冷地の電車を神名本線に差し向けられる可能性があった)…
冷房付き木造電車6100形の増備をしても、
退役しすでに譲渡してしまった旧型電車の穴埋めに回され、
ならば改造のみと従来の雪原・姫島に加えて房野改造工場を新設しても、
長らく続いた改造待ちを解消するのみで、
新たに冷房化改造をする種車が既にない…
などと冷房車が足りない状態が続いていた。
主原因はこれである。
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社長「こうなれば最早中古車以外にないでしょ…救援車に人を乗せるわけにもいかないし…」
今まで豆府鉄道が受けた和国国鉄以外からの譲受車は、
試作車や事業用車が中心であり旅客車は僅少であった。
豆府県内に暇な電車を大量に保有していそうな会社はなく、
自動的に県外・地方外の事業者から探すことになった。
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五月十八日
・豆府鉄道域内まで線路が繋がっている
・軌間が同じ
・直流千五百ボルト電化の電車
・改造できて、魔導士の瞬間移動に耐えられるならば
(われわれ電車が牽引できたほうが楽だが)、
内装が朽ち果てた廃車でもいい
・できる限り安く輸送できそうな車両
…以上の条件から、
仮設車両置場とした粕壁駅から電車約二日の距離にある、
神庫県 浜戸市の東部を営業地域とする、
「浜戸市営電気鉄道(─しえいでんきてつどう)」の廃車庫に保存(実質放置)されている、
これも和国国鉄からかつて譲渡されたらしい急行形らしき電車に白羽の矢が立った。
片側ふたつドアだがドアは増設すればよいし、
下見班の報告によると
「思ったより状態がよい、牽引でも運べそうである」
だそう。
郵便で交渉したところ、
「動態保存をする数編成以外は解体予定なので、引き取るなら早く」とのことで、
さっそく譲受車の数と牽引車・機関車の編成が開始された。
「うちは誰かさんの趣味で通勤形電車と事業用車しか買ってなかったからなあ」という話は置いて、
(豆府鉄道ではこれも不足している)
解体予定の無蓋車も一緒に留置されているとのことで、
これもいただくことになった。
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五月二六日中に譲受する車両の数が確定し、
浜戸市に派遣される牽引車も(車両工場長である)著者含め三重連が十一本、
予備の機関車が重連が三組と決定した。
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五月二八日と翌二十九日、電車・機関車三十七両の編隊が、
電車が三重連二組六本半、機関車三組一本
…の八列車に合わせて浜戸市へ入域した。
しかし二十九日中に廃車庫へたどり着くことはできず、
翌日午後からの復路は、
浜戸市外まで一度瞬間移動してから再編成することになった。
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浜戸市域に踏み入れて三分がたった頃、
魔法少女らしき数人の集団が現れ、
そのうちのリーダーと思しき人物が
「市外の魔力保有者は今すぐ立ち去りなさい、いかなる理由でも」
…といい、
呪文を唱えながら先頭を走っていた機関車を拉致しようとした。
私が友人から借り受けた軍艦の主砲を向けつつ制止すると、
「なんで砲を向けるの、やめてよ」などと言ったので、
事情と書類の複製を渡すと
「今日はダメ、明日の四十分間だけ入域させてあげるわ、逆らうなら鉄くずにするわよ」
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…と言われた直後、我々牽引車たちは市境に飛ばされていた。
あれはなんだったんだ?
機関車達は豆府県に差し戻されたらしく、これで予備がなくなってしまった。
浜戸市電気鉄道に相談をした結果、
市境までは翌日夜間に瞬間移動させることになり、
それは奇跡的に成功した…
牽引団各車の窓は先の魔法少女一人にことごとく割られたが、
この中古車を牽引できればそれでよいのである。
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豆府鉄道はこのたび、浜戸市営電気鉄道から
中古電車60両(8両6本と4両3本)と
無蓋貨車(20両)を譲受いたしました。
旧形式は電車が8000系、
無蓋貨車が1形と表記されていました(正式名称不明)。
長く続いていた冷房車と作業車の不足の急場を、
この車両群でしのげることになります。
豆府鉄道への編入先は以下のようになります。
一般型電車
・豆府■■■■■形(4両固定12本)、
豆府■■■■■形(2両固定6本
無蓋貨車
・豆府■■■■形(バラ20両)
快速十六年 七月十五日 豆府車両工場長 水津 長綱
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(あとがきとすら呼べない何かと、補足しようとするなにか)
・思いついたらとりあえず書き留めとけ、
ということで一気に書いたものです
・自分でも何を書いたのかわかっていないものでもあります
・誤字があったらご連絡ください




