何をしても異端審問
更新しました。
宜しくお願いします。
「来週の林間学校の班決めをしたいと思う。先生は何も言わない。好きにやれ」
「「「うぇーーーい!!」」」
白川さんに協力するようになってから丁度一週間過ぎた。
俺達が通っている高校はイベントが多いことで有名だ。
俺がこの学校に進学することを選んだのもそれが理由だ。
今回の林間学校は年度初のイベントだ。
クラスメイトとの交友を深めるという目的のこのイベントは学校が所有する施設で行われる。
日帰りではなく泊まりという豪華仕様である。
「やっぱ、この三人だろ!!」
シュンは俺とリョウの三人でグループを作る。
こうやって、パパッと組んでくれるから助かる。
二人がいないと思うと・・・・・・想像するだけで泣きそう。
「後は女子だね」
リョウは俺達が目を反らしていた現実を突きつける。
他の班も続々と出来ていた。
内のクラスは一年の時からほとんど変わっていないため既にクラス内のグループは出来ていた。
「ジュン、どうする?」
「俺に聞くなよ」
女子グループ、誰も組んでくれそうにない。
ちょっと違うな、組みたいという気持ちは溢れ出ていた。
このグループには最終兵器“村上良平”がいる。
投入すれば瞬殺だろう。
だが、女子グループ達は待ちの状態だった。
互いに牽制しあっており誰も誘って来ない。
「ねぇ、一緒に組まない?」
そこに、新たな勇者が現れた。
仲の良い女子友達と組んだ白川さんだった。
周りにいた女子達は仕方がないか~といった雰囲気で他の男子を誘い班を組始める。
「良い、良い、組もうぜ!!」
シュン君、ウキウキである。
「いいんじゃないかな?」
リョウはニヤニヤしながら告げてくる。
後で処刑されるのは俺なんだよね・・・
「え~と、俺は良いけど、新田さんはいいの?」
俺は白川さんの後ろにいる女子生徒に声をかける。
ちょっとした逃げだ。死にたくないもん・・・
「(こくこく)」
新田さんは顔を赤くしながら首を縦に振る。
彼女の視線は俺・・・ではなく、俺の後方に向けられていた。
恐らく、リョウのファンではないだろうか?
「じゃ、決定だね。宜しく♪」
白川さんの一言で班は作られ、林間学校での仕事分けや予定決めが行われた。
因みに、班長は何故か俺。
一つ嬉しい点は白川さんが調理係であること。
白川さんに決定した時、新田さんが顔を青くしていたのは気のせいだと思う。
後は林間学校を待つだけっと思っていたのだが・・・
「諸君、ここはどこだ?」
「「「最後の審判を下す法廷だ!」」」
「異端者には?」
「「「死の鉄槌を!」」」
「白川様とは?」
「「「我らが天使にして不可侵の存在!」」」
「宜しい。これより・・・・・・異端審問会を始める」
まるで某ライトノベルのF〇F団みたいなというかほとんどそれの台詞と共に俺は罪を問われていた。
というか、俺は騎士団に属してないから異端者じゃない・・・
「汝の罪は我らが天使と同じ班となった事。何か申し開きはあるか?」
ある。ありまくる。
「俺らの班にならなくてもこの中の他の誰かとは一緒の班になってたよな?そうなってたら、一緒になった奴はどうなってたの?」
とりあえず、一番効きが良さそうなものからいってみよう。
「・・・・・・」
全員が一斉に顔を背けた。
おい!!
「ちっ!!今回だけは見逃してやる。これにて閉幕だ!!」
逃げた・・・
というか終わるの早い。
この法廷にシュンが居たのは言うまでもないだろう・・・
てか、何でシュンは処されなかったの?
何とか無事に事を経た俺は林間学校を迎えた。
シュン?俺が処した。内容はヒ・ミ・ツだ。
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「良し、上がり!!」
俺は最後の一枚となったトランプを出して勝利を上げた。
現在、林間学校初日、行きのバス内、班のメンバーで大富豪をしていた。
「まだだ。まだ、負けてない!!」
現在、シュンと白川さん、新田さんの激しい戦いが続いていた。
リョウは始めてからずっと大富豪である。
しかも、優しい彼は俺らに雑魚カードではなく、2やジョーカーといった強カードをくれるのだが、それでも負けない。
一体お前は何者なんだ?
「やった!!上がり!!」
白川さんが先に上がった。
これで、残りは二人。新田さんとシュンだ。
「ねぇ、あとどれくらいで着くのかな?」
白川さんはポッキーを食べながら訊ねてくる。
彼女はポッキーを食べる前、ほんの僅かな間、ポッキーの先端を甘噛みする。
その仕草が可愛いくて、柔らかそうな唇がちょっぴり心を誘惑してきて、見惚れていた。
ポキッと音が鳴った所で我に戻った俺は彼女の問いに答える。
「あと、一時間くらいですよ」
まだ、敬語は抜けていない。彼女からは何回か止めて欲しいと言われている。だが、俺にタメ語で話す勇気はない。
特に、他の人がいるときは関係は何もないということをアピールするという点にも注意している為、それを後押ししている。
「ありがとう」
彼女は少し不機嫌そうに告げると二人の戦いへと目を向けていた。
「はぁ~~」
隣でリョウがため息を溢す。
俺は、敢えて気づかない振りをしながら眠りへついた。
「起きて、高橋君起きて」
優しい声が俺を眠りから目覚めさせる。
目を開くと、白川さんの綺麗な顔が視界いっぱいに広がっていた。
「お、起きた?」
少し動揺した様子の白川さんはパッと距離を取る。
「あ、ああ。起こしてくれてありがとうございます。あれ?皆は?」
バスを見回すと俺達以外誰もいなかった。
「皆、荷物を取りに行ってるよ。私達も早く行こう」
彼女の後に着いてバスを降りると、荷物を受け取っているシュン達の姿があった。
「おせーよ」
「わりーな」
シュンと短いやり取りを終えた後、荷物を受け取る。
次の指示を待つ間、リョウに声をかけられた。
「白川さんに起こして貰った気分はどうだった?」
「あ~、はいはい、幸せでしたよ」
とりあえず生返事を返すがリョウはニヤニヤし続けている。
わざと放置したのは男子二人で確定だな・・・
「あのさ、・・・・・・」
「それじゃあ、それぞれのコテージに案内していくから着いてきて」
先生の言葉で、俺の言いたかったことは遮られた。
「行こう」
未だにニヤニヤしているリョウを後で苛めることを決め、自分たちが泊まる場所へと移動を始めた。
二年生最初の学校行事、ここからが本当の始まりだ。
次話から林間学校、本格的にスタートです。
話数としては1か2話の予定です(書いてみないと話数は分からん笑)。
次話更新未定!!
と言っても書けたら直ぐに上げます。
宜しくお願いします。




