初めての取材
更新しました!!
宜しくお願いいたします。
12月2日、改稿しました!!
「へ~、白川さんのラノベ作成の手伝いね。で、最初はどんなお手伝いをするんだい?」
「ああ、とりあえず、明日、ショッピングモールに行くことになった」
白川さんに呼び出された翌日、俺は報告も兼ねてリョウとシュンの二人と話していた。
明日、取材をすることは机の中に手紙を入れられ指示されていた。
シュンは俺から伝えられたことに衝撃が大きすぎたらしくフリーズ中である。
「完全にデートだね」
「いや、取材だよ」
ニヤニヤ顔を浮かべるリョウの言葉を否定する。
「で、僕たちに話したということは何か助けが必要ってことだよね?」
「ああ」
リョウはエスパーである。
「明日の取材のルートを決めるのを手伝って欲しい」
「素直にデートプランといいなさい」
俺の言葉にリョウは母親のような口調で告げる。
「だから違う。そもそも、俺みたいな奴が白川さんに好意を持たれる訳がないだろ」
これは確信である。
良いところがないことが取り柄の俺だ。
神に等しい彼女に好かれる訳がない。
彼女と釣り合うのはこの学校ではリョウぐらいだろう。
「わかったよ。じゃあ、これ、読んどきな」
リョウはスマホを操作して俺にメールを送信してくる。
「PDF?」
俺は言われた通り、ダウンロード後データを開いてみる。
「うわ!!何だよこれ!?」
表示された文字列に驚きの声をあげてしまう。
「俺が普段集めてる情報。白川さんの好みとか色々書かれてるから読んどきなよ」
「ああ。ありがとう。助かる」
白川さんの好きなモノ、最近気になっているモノから嫌いなモノ、さらにはファッションの好みまで、情報は多岐に渡っている。
「でも、これ、いつ作ったの?」
「昨日だよ。ジュンが呼び出された時に付き合うことになるのかと思ったんだ。で、恋愛初心者の君に役立つアイテムを、ね」
こいつのこういう気遣いが、お・も・て・な・し。おもてなし。ではないのだろうかと思ってしまった。
「マジか、ありがとう。じゃあ、デートではないけど有効活用させて貰うよ」
「成功を祈るよ」
こうして、俺は初めての取材の準備を始めた。
詳しく読んで見たところ、オススメのデートスポット等も纏めてくれており、明日の取材コースを決めるのにとても役立った。
今度、ご飯奢らないとな・・・
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「もう逃げたい・・・」
昨夜、緊張で中々寝付けなかったことも忘れ、弱音をこぼしていた。
現在俺は集合場所に来ている。
目の前に広がる光景、それは白川さんが多くの男性に囲まれている光景だった。
文字で表すと
人人人人人人人
人 人
人 白川様 人
人 人
人人人人人人人
である。
彼女は青いシャツにスカートという服装だった。
恐らく、昨日、美容院に行ったのだろう。
髪は、フワッとしており、おしゃれしてるな~というのがわかった。
男だ。それしか分からん。というか、俺なんかと行くんだからおしゃれしなくても・・・
あ、これ、取材か。おしゃれは取材に必要なことだったのだろう。
彼女の美しさは学校の時よりも際立っており、男女問わず周りを歩く多くの人に視線を向けられていた。
あ、今デート中と思わしき男性が白川様に見惚れてて女性にビンタされてた・・・
彼女を囲む男性達はまさしくカオスだ。
この状態で彼女に声をかける主人公力は俺にはない。
逃げよう。
そう思った。
だが、白川様は困った表情ながらもその場を動こうとしない。
俺を待ってくれているのだ。
その姿を見た時、自分の中の何かが押された。
「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ!!」
俺は某初号機パイロットの台詞を呟きながら彼女の元へと向かう。
「ごめん、待たせちゃったかな?」
我ながらナイスイケボ&ナイスセリフ。
声は比較的良いと思っています。
彼女に声をかけた瞬間、彼女の顔がパッと笑顔に変わる。
そして、周りにいた野郎共が俺を向く。
野郎共の視線を殺気が支配している。
「大丈夫。今来た所だよ」
ごめん。さっき(十分前)から様子を見てて震えあがってたので貴女の優しさが辛いです。
「さ、行こう」
俺は彼女の華奢な手を引いてショッピングモールの方向へと向かう。
道中、何をするか頭で再確認しながら。
彼女の手から伝わる熱い熱に惑わされないように。
同じ学校の奴らに見られているとも知らずに手を繋いだまま・・・
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「あ、この服可愛い!!試着してくるね」
ショッピングモールに着いた俺は、あらかじめ立てた予定通り取材を遂行していた。
彼女からの指示通り、お店を回っている間は恋人の振りらしきことをしている。
「学校や友達に関することとラノベに関すること、取材等と口にすることはタブーだからね」
とは取材を始める前の彼女の言葉である。
取材開始から俺の心が休まる暇はない、色んな意味で。
「これ、似合う?」
彼女は白いシャツに赤いスカートを試着して、俺の前でくるっと回る。
スカートが風になびきあと少しで銀河が見える見える見えな~い。
(*´;ェ;`*)
どう見ても意見を求められていますね。
俺と個人としては先程とさして変わらない気がするんだけど。
「似合ってると思います」
俺は取材ということを意識しながら言葉を返す。
「むぅ~」
彼女は頬を膨らませながら不満げな表情を見せる。
「他に何かないの?」
「似合い過ぎてて言葉に出来ないんだよ」
俺は答えに困り思わず本音を告げてしまう。
イヤね、何着ても変わらないと思うよ。
チョー可愛いもん(開き直り)。
「ふ~ん、今日はそれで満足してあげる」
ツンデレキャラみたいな台詞を残して試着室のカーテンが閉められる。
「可愛い彼女さんですね」
店員さんは優しい笑顔を見せながら声をかけてくる。
「彼女じゃないですよ。あの、・・・って何処に売ってますか?」
「あら、彼女さんにプレゼントですか?」
一応否定したんだけど・・・
もう、諦めよう。
「ま、そんな所です」
「こちらです。あ、彼女さんは置いていくんですか?」
「いえ、直ぐに戻るんで」
俺は・・・を買った後、白川さんの元へと向かった。
白川さんは先程着ていた服を購入した。
俺は、彼女を連れてモール内のカフェへ移動した。
「今日はありがとうね」
彼女はコーヒーを飲みながら告げてくる。
「俺も良い体験が出来たんでいいですよ」
今まで女子と二人で買い物をしたことなど無かったのでラノベに書くネタが出来た。
「へ~、もしかして今まで誰かと二人で出掛けたことない?」
彼女はニヤニヤしながら尋ねてくる。
「ありますよ。・・・・・・男とだけど」
俺は後半は聞こえないように言葉を返す。
「ふ~ん」
彼女は少し嬉しそうにこちらを見てくる。
何が嬉しかったのだろうか?
男には分からない問題なのかもしれないが・・・
「それと、待ち合わせの時はごめんね。いつもはマスクとかして誤魔化してるんだよね。けど、今日は折角だし普通の姿でって思ったらあんなことに・・・」
彼女は申し訳なさそうな表情をする。
「いやいや。流石は元人気子役だと感心しましたよ。白川さんのせいじゃないから気にしないでください」
もう敬語じゃないと偉大すぎて話せない・・・
「あ、ありがとう・・・」
彼女は顔を赤く染めながら呟く。
「これ」
俺は彼女に先程購入した髪留めを渡す。
「え?」
「折角の初取材だから何か渡そうと思って・・・。さっきのお店で買ったんです。白川さんに似合うと思うんだけど」
購入したのは、白いバラの髪留めだ。
昨日ネットで色々下見をしてた時に目にしたのだが、彼女に似合うと思い購入したのだ。
一応言っておくと、俺個人で決めたモノだ。何も参考にしてない。
「ありがとう」
彼女は髪留め大切そうに握りしめ、優しい笑顔を見せた。
彼女のこの表情を見れだけで自分は幸せ者なのだと思ってしまった。
「今日はありがとうね。良いプロットが書けそう。次もよろしくね」
いくつかお店を回った俺達だったが、17時を回り、解散することとなった。
「こちらこそ」
彼女の髪には俺がプレゼントした髪留めが止められていた。
「また学校で」
「また学校で」
俺は背中を向け、帰路に着く。
もう少し一緒に居たかった。
過ぎてしまった時間に名残惜しさを感じてしまった。
無事、一回目の取材を終えたこの日、俺は新しい作品のプロットを作成した。
自分が今まで作ってきたジャンルではない物語を・・・
次話は土曜日更新予定です。
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貴重なご意見お待ちしております。
次話も宜しくお願いいたします。