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その20 ショタ英雄はサブアバター!

 ボクとマンきゅんの周りには、見物してた人たちがいっぱいいたでチュ。


『おい、あれが英雄の正体……?』

『ガキじゃねえか……』

『なら、さっきの動きは、やっぱり……』


 みんなの前でコレだけ暴れちったら、もう言い訳もムリでプね。

 そう思ってたら。


「あーあ!」


 マンきゅんが、急に大声を出したでチュ。


「まったく、『英雄の甥っ子』とか名乗るヤツに負けちゃったよ! 本人と戦う前座にしようと思ってたのにさあ!」


 ほえ?


「はー、『甥っ子』ごときに負けるようじゃ、てんでダメだ! 僕は終わりだよ!」

「マ……マンきゅん?」


 ボクがしゃがみ込むと、マンきゅんはウィンクした。


(引退なんかダメだよ、英雄くん? させてやらない)

(そ、そんなこと言っても、みんなにはバレたでチュ……)

(さて、それはどうかな?)

(ほえ?)


 慌てて周りを見ると、みんなは呆れながらも笑ってる。


『だよなー、甥っ子とかいうガキだとよ』

『結構強かったけど、英雄ほどじゃないぜ』

『考えてもみろよ。英雄が幼児プレイするかっての』


 え、えっ?


 マンきゅんはクスクス笑った。


(人ってね、見たいものを見るのさ)

(マンきゅん……あぃがとでチュ)

(追放前の罪滅ぼしだよ)


 紳士でプね。


(お返しするでプ)

(え?)


 ボクは、マンきゅんのおでこをペチッと叩いた。


「マンチカンきゅん? 映像のプンスコのフリをしてたら、危ないでチュよ?」


 呆気にとられるマンきゅんに、ボクもウィンクでチュ。


「映像のニセモノ、マンチカとかいうプンスコに、文句言おうとするなんて」

「――え?」

「ボクが来なかったら、マンきゅんが映像の悪者だって、誤解されっぱなしだったでチュよ」

「あっ……」


 周りの声は、さらにドッチラケになってたでチュ。


『おいおい、どっちもニセモノかよー』

『まあ、素人っぽい動きだったしな』

『俺は分かってたぜ、来るわけねーって』


 にゃはは……。


(ランペルくん。僕を追放するんじゃないのかい)

(マンきゅんは紳士でプ。紳士は紳士を助けるでチュよ)

(――ありがとう)




 その日はすぐに【終了】したボクたちだったけど、【衛星球】とかの撮影画像はバッチリ残ってた。あとで検証されると、マズいでプ。

 そこで、ワザを編み出してたんでチュ。




 ざまぁ団を倒すため、英雄のアバターにボクが入ってるとき、ゲハラーヅが話し掛けてきた。


「よお、葦原。お前、実はガキだったりしねえか?」

「なんだいゲハラーヅ」

「いやー、お前にはそういう妙な趣味があると見た! こないだ御苑でウワサになってたからな!」


 なかなか鋭いでチュけど、甘いでプね。


 目的地に向かって歩いてると、目の前には一匹のショタねずみが。


「あ、英雄たんでプね!」


 ボクを見かけるや、テテ~ッと駆けてくる。


「英雄たんの甥っ子をやらせてもらってる、ランペルって言うでプ! あ、握手してくださいでチュ!」

「いいよ」


 ボクは優しく手を握った。ネズミきゅんは興奮して手をブンブンする。


「英雄たん、応援してるでチュ~!」

「うん。君も危なくなったら【終了】してね」

「わかったでチュ~!」


 ショタねずみきゅんは、来たとき同様、嵐のようにテテ~ッと去っていった。

 ゲハラーヅは呆気に取られてる。


「え、あれ? 今のネズミって……」

「こないだ、御苑にいた子みたいだね」

「マジか、お前と別人なのかよ~!」


 チームの他メンバーも確認してたようで、「名前見たか?」「ああ、見た見た。『ランペル』だったぜ」「う~ん、一緒だよな~」などとヒソヒソ囁いてる。


 その後も、ネズミきゅんとはよく遭遇した。


『ボクで~す』

『英雄たん、格好いいでチュ~』

『ほえ? 甥っ子公認してくれるでチュか? ふにゅ、嬉しいでチュ~!』


 さらには、ざまぁ団との戦いにも一緒に参加した。


『ほい! うみゅ! へりゃー!』


 ネズミきゅんは、たまに攻撃を食らいつつも、フツーの人よりは圧倒的に強かったでチュ。


 その甲斐あってか、チームでは、あっという間に同一人物説は消えた。


「ケケッ。だーから言っただろ、みんな? 葦原が、あんなガキと同じワケねーってな」

「お前が一番信じてたじゃねーかよ!」

「いやー、はっはっは」

「始めは替え玉使ってるんじゃねーかって思ってたんだってな」

「そうだぜ、鬼六先生あたりが入ってたりとかしてよ」

「あー、なるほどな」

「だけど、とうとう葦原と先生のいる状態でもネズミが出ちまった」

「おい、ゲハラーヅ。他にも替え玉使ってるとかは思わねえのか?」

「うーん、さすがに無理だろ」

「だよなー。あと、まったく同じ名前での登録って出来なかっただろ?」

「なんだよー。なら、最初からムリじゃねーかよー」


 ゲハラーヅきゅんはボヤいてたけど、実は正解に近かったんでチュよね。


(英雄しゃん)


 鬼六先生が念話をつないできた。


(これで鬼六も、少しランペルきゅん役を減らすっシュ)

(ありがとうございます)


 そう、ボクの影武者をメインでやってたのは、鬼六先生だったでチュ。


(惜しかったっシュね、みんな。登録の名前は、運営のフクダさんが特別にランペルしゃんアバターだけ許可したっシュ)

(1からモデル作って、そこに入れ替わり立ち替わりで入るとか、普通は思わないからね)


 ボクのためにスゴいプロジェクトが動いたでチュ。ボクのヒミツを知ってる人には、アクセスコードを教えてたの。そんでもって、英雄状態のボクと会うことで、別人だと思わせる計画ネ。

 ちなみに、今のショタねずみきゅんに入ってるのは彼でチュ。


(英雄くん。予定通り、少し攻撃を食らったよ。これで良かったかな?)

(ありがとう、マンチカンくん。この動きは君にしか頼めなかったよ)

(ふふっ。英雄くんが一番だものね)


 今回の「中の人」は、マンきゅんでチた。

 あんまりスムースに動かれると、「あれ、実はネズミの方が強いんじゃ?」って別の問題が出るから、ちょっぴりヘッポコな動きにしてもらってね。

 んでも、食らう以上は何が起きるか分からにゃい。それに、鬼六先生とも一緒に会う必要があったから、マンきゅんに白羽の矢が立ったのでチた。


(ところで英雄くんは、このあとあわっこに行く?)

(ああ。姿を変えてからね)

(ん。じゃあ、僕も猫に戻るよ)


 ショタ猫の魂を持ったショタねずみきゅんは、みんなにバイバイしてから【終了】したのでチた。


(んじゃあ鬼六も【終了】するっシュ。パイセン、あとで会うかもっシュ)

(ははは)


 英雄チームは、無事にお開きとなった。





 あわっこに来ると、クロエたんが笑顔で出迎えてくれた。


「いらっしゃいませ、ランペルさま」

「はーい」

「実はランペルさまに、良いお知らせがあります」

「ほえ?」


 うわあ~、クロエたんったらニッコニコ。こーゆーときほどヤヴァいでチュ、うみゅ。


「大丈夫ですよ~? オプションで、ダブルス、トリプルに続いて、『トリプル対トリプル』をご紹介するだけですから」

「とりぷる対とりぷる?」

「ええ。3対3ですね」


 ほむ、本格的な団体戦でチュか。


「ランペルさまチームは、他に鬼六さまとマンチカンさまですよ」

「おー、そりは心強いでチュ。んでも、おにゃのこチームは?」

「ナイショです」

「対戦までのシークレットでチュか」

「いかがでしょう?」

「うみゅ、OKでチュよ」


 にゅふふ、孤独なプレイも良かったでプけど、最近はパーティープレイにも目覚めたでチュからね。色んなテクを見て覚えたいでチュ。


 専用の控え室に行って、いそいそと戦闘態勢を整える。


(お待たせしました、ランペルさま。みなさまそろいましたので、大ルームへどうぞ)

(はーい)


 ガチャリと扉を開けたら。


 ボクが5人いた。


『あ、来たでチュ~!』

『遅いでプ~』

『ボクも楽しみにしてたでチュよ』

『やっぱりランペルきゅんはカワイイでチュ』

『ボクもランペルでチュけどね~』


「は……はにゃ~!?」


 え、え? これどういうこと?


 ボクの姿をした5人は、わきゃわきゃやってる。うわぉ、さすがにこんだけ集まると……うっとーしいでチュ。


 よく見ると、名前は「らんぺりゅ」とか「ランペルール」とか、はたまた「ラソペル」とか、ちょっとずつ違ってた。


(ランペルさま)

(クロエたん……これ、どーゆーこと?)

(集まったのが、ヒミツを知るメンバーだけでしたので、1度やってもらおうと思いまして……。はぁ、はぁ……)


 うわ~お。クロエたんから、隠し切れない「だいしゅきオーラ」が。きっと永久保存版でチュね。


(んまあ、ボクも、ショタ英雄をサブアバターにして協力してくれたのは、本当に感謝してるでプ)

(いえいえ、こちらこそありがとうございます。では、ランペルさま以外の方は、本アバターにお戻りください)


『『『『『はーい』』』』』


 ボクが次々と【終了】していった。


 そして、すぐに現れたのは、悪役の子ブタちゃん。


「オーホホホ! ネズミごときに負けませんわ!」

「ほえ? アーちゃんってヴァ、毎回負けてるハズでチュー」

「なっ。そ、それは……」

「あと、ボクのフリをたびたびやってくれて、あぃがとでチュ」

「ん……。ま、まあ……小さいキャラは、わりと楽しいですから……」


 顔を赤らめる悪役令嬢たん。かなり中の人がチョロいでチュ。

 次に現れたのは、魚の姫騎士たん。


「久しぶり、ランちゃん」

「はにゃ。鮎たんとコッチで会うとは意外だったでチュ」

「特別企画だから、参加をお願いしたの」

「うみゅ~。アークヤたんに鮎たんでチュか。コンビになると、アーちゃんは強敵になるんでチュよね~」

「ネズミさん!? 1人だとザコみたいに言わないで!」


 うるさい子ブタちゃんでチュ、ぷぇー。


 そして、3人目に現れたのは……吸血鬼のおねーたま。


「うひゃー、理子ピンでチたか」

「うふふ……ねえ、坊や。あわっこ修行して強くなった?」

「ん、強くなったでチュよ。もう貧弱な坊やとは言わせないでチュ!」

「期待してるわ」


 ふーむ、おにゃのこチームは、相手にとって不足なしでチュ。

 んじゃあ、いよいよ4人目5人目で、オノコノコのチームがそろう……。


「じゃない!?」

「あははっ! いや~、ランペルさん、ど~も~」


 え、なんでサキュバスのサファイアたんが?


「あーっと、英雄様って言ったほうがいいですか?」

「キミも、パールたんって呼んだほうがい~い?」

「あははっ! ま、今日は楽しみましょう」


 そして、最後の1人は。


「ランペルくん」

「モ、モーモーたん……」

「思えば、あわっこで最初の相手がランペルくんだったわね」

「そうでチュね」

「ランペルくんと、あわっこ出来て良かった」

「ボクもでチュ」


 ちょっぴりほんわかしてたけど、すぐに思い出す。


「みんな、ちょっと待ってて」


 ボクは部屋をキョロキョロして、すぐに【衛星球】を見つけた。


「クロエたん!」

『は、はい!』

「始めっから、オノコノコのチームとか、ウソだったでプね!?」

『はっ! なぜソレを!?』

「うわー! これもウソでプ! 絶対、バレることまで計算してたでプ! 腹黒いでプ~!」

『はぁ……そこにも気付かれるとは……。責任取って辞めます』

「やめないでいーでプ! でも……黒エルフたんは、ちくせうでプ」


 おにゃのこたちは、みんな笑ってた。ふにゅ~、笑顔に出来たのはいいでプけど、クロエたんにはプンスコでプ~。


 その後、ボクとおにゃのこ5人は、存分にあわっこを楽しんだのでチた。




 そうそう。この「とりぷる対とりぷる」でチュけど、最初にやったのがネズミのボクだったこともあって、「チーズ」って呼び名で、裏メニューに加わったみたいでチた。てひひ。



~おちまい~


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