五幕「意地悪な運命、残酷破壊魔」
「・・・う・・・お」
「!! 元凶様!! お目覚めになりましたか!?」
「・・・あ」
「げ...元凶....様? 元凶様?」
「・・・に」
「...あら、元凶様!! お目覚めになったのですね」
「治療師さん...元凶様の様子が、なんだかおかしいんです」
「...元凶様は、かなり大きい怪我をしているわ
喋れなくなってきてるし、もう...」
「えっ、...え?嘘....げ、元凶様が...」
「...元凶様、狂い者機械の作品作りに失敗したみたいね。
せめて成功作品だけでもつくらせてあげたいわね」
「...そうですよね...」
「誰・・・助け・・・た?」
「えっと、誰が元凶様を助けてくれたってことですか?
...緋羅さんですよ、
破壊魔を全て壊した後に、治療室まで抱えて連れてきてくれたんです」
「あ・・・う」
「...元凶様―」
「だいじょ・・・だ」
「...っ」
元凶に仕える狂い者は、唇を強く強く噛んだ。
―「...ハルクさん...どうして...なんで...破壊魔...っっ」
緋羅は、ふとハルクの言葉の数々を思い出した。
『大丈夫だよ、緋羅さん。
僕も集まった人間...いや狂い者門番として頑張るから。緋羅さんも頑張って。』
『いってらっしゃい、緋羅さん。がんばって』
『よかったじゃん、緋羅さん。やったね。やっぱ緋羅さんはすごいよ』
「....っ...ハルクさん...」
『...緋羅さん』
『ねぇ、緋羅さんっ』
『緋ー羅さんっ♪』
破壊魔にマリオネットにされる仲間―いや、家族としてずっと生きてきたのに。
名前を呼んでくれることも、もう、亡い。
「...ハルク....さん...」
『緋羅さん』
「...うわあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!
なんで?ねぇなんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでねえええ
もう一度、呼んでよ、私の名前、呼んでよ!!!
『緋羅さん』って!!!呼んでよ!!ねぇ!!! ハルクさん!!!」
残酷な人間―破壊魔。
意地悪な運命。
「ハルクさん...っ...残酷すぎるよ....」
※一応言っておきますが、ハルクは女です