三幕「壊死」
「はぁっ、はぁ...やっと元凶様のところに辿り着いた...!!ここまで大変だった...」
「ひ、緋羅殿!! 大丈夫だったか!?」
「は、はい、元凶様も御怪我はありませんか?」
「ああ、私は大丈夫だ―」
「...あ、あの、ハルクさん知りませんか?門に居なくて...あ、ここにいるんですか!?」
「...今ハルク殿は、治療室にいる」
「えっ。ハルクさん怪我しちゃったの!? 大丈夫かな...」
「...落ち着いて聞いてくれ、緋羅殿...意識不明だ...大量の破壊魔に精神を壊されたと思われる」
「意識...不明ッッ!?」
「...極めて危険な状態だ。...祈るしかない」
「...っ...はい」
ペ ラ リ。
「...?」
緋羅の足元に、紙が落ちてきた。
「...なんだろう、これ....」
「...なに...これ....狂い者が描いた絵...?」
それは、涙を流す少女と狂った化け物のような生物が描かれたイラストだった。
―これは、破壊魔増加で次元が歪み、嫌われ者の化け者のイラストが未来から流失したのである。
どことなく下手で、本当の『病』という感じだろうか。
「―っ」
何かの予感が心に押し寄せてくる緋羅は、
唇を噛んできゅ、と音をたてた。
「…元凶様」
「治療員! ハルク殿は…!?」
「…限界まで手を尽くしましたが、やはり…」
「そんな……ッ!!」
「ハルク殿…何故…!!!」
こんなのあんまりだ、と突然の別れを惜しむ緋羅と元凶。
「「死んでしまえ死んでしまえ死んでしまえ死んでしまえ死んでしまえぁぁぁぁぁぁぁ」」
「!!!」
大量の破壊魔。
「くっ、緋羅殿、破壊魔を追い返して壊すんだ。
私は狂い者らの安全を確保する」
「…はい、元凶樣」
…タッ
破壊魔の元へ駆け出し、殴り壊しにかかった。
「「死ね、死んでしまえ死んでしまえ死ね死んでしまえ死ね死ね死んでしまえ死んでしまえ」」
またざわざわ騒ぎたてる破壊魔に緋羅は叫んだ。
「『死んでしまえ』 『死ね』だと!!?
お前らの自業自得だろうが!!!!
破壊魔の分際で言葉を吐くな!!!
破壊魔の分際で生きるな!!!
破壊魔の分際で息をするなぁぁぁぁぁ!!!」
次々と壊され血が舞い、血が舞い。
「お前らが死んでしまえ、死ね、壊れろ!!!
舞って舞って舞って、
私らのマリオネット死体になってしまえ!!!
ハルクさんを簡単に破壊しやがって!!!
お前らは大死刑、破壊仕返しの罰だぁぁぁぁ!!」
この大事件により、一時期破壊魔は激減。
だかそんなことは今に影響しない、
只の一時的なものであった。