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丹生谷王朝興亡記  作者: 淡嶺雲
登場人物紹介・用語解説(ネタバレあり)
2/151

用語解説

雑多な用語解説を載せておきます。官位などの理解を助ける一助になればと思います。

ネタバレがあるので気をつけてください。架空の設定については☆をつけています。

平氏

平を氏とする氏族。姓は朝臣。主には桓武天皇の子孫である桓武平氏を指す。その中でも武家としての活躍が知られるのは桓武天皇の第三皇子葛原親王の三男、高望王の子孫である。高望王(平高望)は坂東に下行し土着し、坂東平氏の開祖となる。その庶流の一つが伊勢平氏であり、このなかの平正盛の系統を「平家」と呼ぶ。なお、平正盛の孫が平清盛であり、壇ノ浦の戦いで滅亡したという「平家」はこの一族である。もちろんその他の平氏は生き残っており、例えば鎌倉幕府の執権を代々務めた北条氏も桓武平氏である。


古代、中世

日本史における古代とは飛鳥時代~平安時代を指す。鎌倉時代、遡っても院政期の始まる11世紀以後が中世である。中世は戦国時代を持って終わるといわれる。なお欧州における中世とはルネサンス期、どれだけ遅くてもウエストファリア条約までである。


丹生谷

徳島県南西部那賀郡に相当する地域。かつて丹生(水銀)を産したことからこのように呼ばれる。現在の那賀郡那賀町に相当する。作中では「にぶたに」と呼ばれているが実際の呼び方は「にゅうだに」である。なお、那賀町は平成18年に那賀郡に属する鷲敷町、相生町、上那賀町、木沢村、木頭村の5ヶ町村が合併して成立した町であり、明治以来この地域に丹生谷の名前を冠した自治体が存在した事実はない。作中で丹生谷と称している地域はこのうち上那賀町、木沢町、木頭村に当たる地域であり那賀川の上流域である。域内には東西に国道195号線、南北に国道193号線が通っている。国道193号線は酷道で知られる。なお、実際に平家の落ち武者伝説は存在し、平家平という山や御所という地名はあるものの、安徳帝の伝説事態は実在はしない。


剣山

標高1955メートル、徳島県最高峰、アルプス以西では伊予の石鎚山に次いで二位の高さを誇る。頂上に安徳帝の携えた草薙の剣を収めたという伝承から剣山と呼ばれる。また頂上にはソロモンの秘宝が眠るとも伝えられる。なお、四国八十八か所は四国のもう一つの霊山である石鎚山の山腹は巡るものの、剣山に至ってはその山容を拝むことのないコースをたどっている。弘法大師空海が剣山に何かを封印したという謂れはこれである。


阿南市

あなんし。あなみではない。徳島県南部の都市。自衛隊の駐屯地がある。その西部は那賀町に接する。


物部村

現・高知県香美市物部。国道195号線の四ッ足トンネルを介して丹生谷と通ずる。


太龍寺

徳島県阿南市の西部にある真言宗の寺院。四国霊場第21番。ロープウェーで麓の那賀町鷲敷とつながっている。若き日の弘法大師が修行した「阿國大瀧嶽」とはこの山である。


黒瀧寺

那賀町、旧木沢村にある山岳寺院。四国八十八箇所第二十一番太龍寺奥の院。弘法大師が悪行をなす龍を封じ込めたと伝えられる。山上にあり、戦国時代には僧兵を擁し要塞となっていたが、長宗我部元親の阿波侵攻のさいに焼亡した。作中では行宮(仮の皇居)として登場している。


太政官

律令制における国権の最高意思決定機関。現在の内閣に近いが、立法権、行政権、司法権を有していた。最高責任者は平時は左大臣、ときに太政大臣となる。太政大臣、左大臣、右大臣、大納言、中納言、参議が議政官として意思決定に参画した。これらは三位以上の貴族で占められ、公卿と呼ばれる。その下に左右弁官局と少納言局があり、左右弁官局は八省を統括し、少納言局は秘書官や事務局的な役職を務めた。作中でも同様に内閣的な組織として登場する。その長官は登場する中では右大臣(入道殿)である。


二官八省

天皇の下に祭祀を担当する神祇官と国政を担当する太政官が置かれ、太政官の下には八省がおかれ、中務省・式部省・治部省・民部省を左弁官局が、兵部省・刑部省・大蔵省・宮内省を右弁官局が受け持った。それぞれの省の長官は〇〇卿と呼ばれる。なお、神祇官は位階では太政官よりはるか下に置かれた。


中務省なかのつかさしょう

天皇の公的な部分についてサポートする役所。


治部省

寺社仏閣の管理や外交を司る。作中では外務省的立場として登場する。


民部省

租税や戸籍の管理を行う。自治省、国土交通省(つまり内務省)のようなところ。


兵部省

軍事関連を司り、防衛省に相当する。史実では鎌倉以後実権を幕府に奪われた。


刑部省

法の執行を司る。法務省に相当する。


大蔵省

大蔵省・財務省であるが、租税管理は民部省の管轄であり、そこまで地位は高くなかった。


宮内省

天皇の私的範囲をサポートする。


位階

諸臣は正一位から少初位下の30の位階があり、皇族は一品ほんから四品までの四つの位階があった。それぞれの位階と相当する官職には対応があり、それを官位相当制という。たとえば近衛中将であれば従四位下である。三位以上は昇殿を許され公卿となる。


近衛中将

近衛府は令外官(律令制に規定のない官職)であり、宮中の警護にあたった。近衛大将はのちに武官の最高職であり、右近衛大将は頼朝以下徳川将軍に至るまで征夷大将軍が歴任している。なお幕府とは近衛大将の唐名である。また近衛中将は近衛府の次官すけに相当し、左右合計1-4人おかれた。近衛中将は蔵人頭(令外官:天皇の秘書官)を兼任することもあり、その場合は頭中将とうのちゅうじょうと呼ばれる。主人公はこの左近衛中将となっている。


少納言局

太政官の下に置かれた秘書官、事務局。一番偉いのは少納言。その下に外記、史生、使部が属した。外記は大外記と小外記にわかれる。


検非違使

令外官。長官は検非違使別当。首都の治安維持を担う組織であり、要約すれば警視庁であるが、現代とは異なり司法権も有した。


裁判

律令制では裁判権は刑部省の役人らが有していたが、肉体刑などは国司や刑部卿クラスの人間に決定権があり、死刑は太政官や天皇のみに決定権があった。なお作中のような神明裁判は古代末期には行われてはいない。神明裁判の主役は古代中世においては主に盟神探湯であり、鉄火起請の例は近世以後(すなわち戦国末期~江戸初期)にその記録が見られる程度である。


平家の落ち武者

徳島県祖谷(現・三好市)に平国盛らが安徳天皇を連れて落ち延びたという伝説がある。観光地としても名高いかずら橋は平家の伝説を今に伝える。安徳天皇はこの地で16歳で崩御したと伝わる。作中では祖谷の奥にある剣山を越え、その南に位置する丹生谷に落ち延びたこととなっている。


陸上自衛隊第14旅団

香川県善通寺市に司令部を置く陸自の部隊。隷下に第15即応機動連隊があり、有事の際はこの部隊が真っ先に展開を行うこととなる。作中では丹生谷征討軍の主力を担った。隷下に徳島県松茂町の第14飛行隊(ヘリコプターを保有、丹生谷への突入で使用された)、高知県香美市の第50普通科連隊などがある。なお四国に戦車はなく、第14旅団に機甲科はない。


消費者庁

内閣府の外局。実際に徳島県神山町への転居を検討中。作中では内務省の傘下となった。


☆内務省

総務省を母体とし、国家公安委員会や内閣府の外局を合併した巨大官庁。戦前の内務省にも匹敵する権力を有するとも言われる。


☆陰陽寮

文部科学省文化庁の傘下であり、京都御所に置かれた組織。陰陽師に限らず、呪術を得意とする験者や密教僧を集めている。


☆抜刀隊

内務省に属する武装集団。名前は西南戦争の田原坂の戦いで活躍した警視庁抜刀隊から。日本刀の神性により悪鬼を切り払うための部隊であり、陰陽寮からの引き抜きも多い。


☆鹿島教導隊

陸自の教導隊。抜刀隊に同じく呪術などを用いた戦術を研究している。


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