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2second  作者: 多々野よーすけ
第1章 日常
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第1章 2 階級


第17回グラント会議から約100年。


時代は移ろい激動を極めていた。

五か国によるコンクエスターの研究は着々と、進められ今では組織化し対QBの専用兵器とまでになっている。


しかし、いくら改良を加えたといえど元は異形の細胞。それを成長しきった人間に投与しても更なるQBを、生むだけであった。


人間のQB化、それはあまりにも残酷なもので業界では進化と呼ばれている。


成長しきった人間に投与してだめなら、幼子はどうであるのか?

デイティーが出した結果は母体の胎内にいる時期からQBの細胞を少しずつ流し人の知性と理性を、保てるギリギリの域まで与える。そして生まれ落ちた時うまく人の世界に順応し、正常な精神状態である者だけがコンクエスターの道を歩むことを、許された。これをファーストコンクエスターと呼ぶ。

後の研究ではセカンドコンクエスターと呼ばれる幼児から成人へのインセイル投与が成功する例もあり、まだまだ発展途上を続けている。


しかし、ファーストもセカンドもQBの細胞に対して過剰な拒絶反応を見せた子供はそのまま母子ともに死に至る場合が多かった。


最悪の場合は死


けれど、その中でも細胞を投与しても何の反応も起こらない子もいる。QBの細胞インセイルが与える影響は千差万別であった。

ほんの一握りのインセイルに順応し強化を遂げた子供はデイティーが創立したコンクエスターの為の学院、コンクエストスコラに強制的に入学をし、戦闘、医療、技巧、戦術を学ぶ。

そして、卒業時での成績が7つの階級に分けられ、コンクエスターとして入隊するクラスわけの基準となる。

コンクエスターの7つの階級。


上から



ライオン(lion)…王都を守る王直属の選ばれたコンクエスター。コンクエスターの中でも最強を誇る。


ベア(bear)…上流貴族の都市を守り、ライオンの次に戦闘力が高いとされるコンクエスター。


ホース(horse)…中流~上流貴族の都市を守る重装コンクエスター。


イーグル(eagle)…下流~中流貴族の都市を守る軽装コンクエスター。


ウルフ(wolf)…下流貴族の都市を守る、チームワークが高いコンクエスター。


スネーク(snake)…主に一般人の都市を守る。非常に守備範囲が広く情報網が幅広いコンクエスター。


ラビット(rabbit)…7つの中で最弱。下っぱの雑用係として働き、一般人の都市内の警備をまかされるコンクエスター。





この下に例外的な形でラット(rat)がいるが、これは正式なコンクエスターになる為の下積み期間を有する階級で所謂研修生である。


この割り振られた階級の中でも特にインセイルに順応をし、肉体、精神、頭脳ともに優れた者がそれぞれの階級の幹部になる。幹部は7人選出され、さらに7人のなかでも優れた者が階級の代表者になる。


また人々が暮らすコロニーの居住区も同じように区分けされており。円を描くように中心に王族と限られた家族の地、その外側に向かって徐々に庶民へと変わっていく。


階級の地区ごとに屈強な壁が築き上げられており身分違いの地区の行き来は困難だ。

それは治安維持のためでもあり、単純に中心にある王都へのQBの侵入を防ぐための人壁でもある。


祭日であれば地区を隔てている壁の門が開かれ行き来できたり、商人であれば通行証を使ってある程度の物流と人の動きは保証されている。

一般庶民も貴族の街までは手続きを踏めば入ることが許されている。王都ともなるとそれだけで神聖な都扱いなので本当に限られた人間しか入ることは許されないが…



中心の王都ガリアから囲うように成り立つ他の地区はそれぞれの階級のコンクエスターが警護、守備に当たる。

一般市民を受け持つラビットやスネークは守備範囲と人口が多いためコンクエスターの人員自体かなり多い。相手になるほとんどが一般市民であるため一応警備隊も備わっているが、コンクエスターと一般警備隊の仲はすこぶる悪い。


主に警備隊がコンクエスターを毛嫌いしており何か事件があってもお互いに干渉し合わないなど問題も多い。

そして基本的にコンクエスターは対QB兵器。人権などあってないようなもので尊敬されるのはそれぞれの階級の幹部とライオンの隊の者だけだ。

あとは住民の税で主に生活しているため一般市民からもよくは思われていない。

王都の騎士と警備隊とは別のくくりの組織であるため【仲間ハズレ】にされやすい対象なのだ。


そして常にコンクエスターは【進化】の危険にさらされている。

赤子の時に人間であり続けられるギリギリのところまでインセイルと結合した状態にされている。それを抑制するリセイルという薬を定期的に摂取する必要があり、摂取しなければ体の中のインセイルが細胞を食い尽くし進化する。


コンクエスターの進化。


それは一般市民が進化するよりもはるかに厄介で危険なものとなるためコンクエスター一人一人に徹底した管理が施されている。

首にチョーカー状の医療器具を巻きつけそこからリセイルが定時で注入される仕組みだ。

それは医療機械であり、首輪ともいえる。なぜならリセイルを投与しても治らない暴走の場合、体内のインセイル濃度が基準値を超えると爆発する。

自爆機能がつけられているからだ。


人権も何もない、もはや人でもQBにもなり得ない者たちをソルジャー、【コンクエスター(征服者)】として政府は称しているのだから滑稽極まりない状態である。


これが今現在の政情とコンクエスターという者たちの在りどころだ。


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