軽いタッチで
美術大学を出て、流れるままに旅をしつつも絵を描いては売っていた。
そんなことをしていたら、ちょっとした有名人となっていた。
テレビはこないが、口コミでうわさは広がっているらしい。
俺が描いているのは、風景画だ。
どこにでもあるような、そんな日常の風景を、わずかに切り取って絵に写し込んでいく。
一瞬の風景を、自分の感傷とともに、絵を創り上げていく。
この絵は、自分の気持ちも、その瞬間瞬間ごとに変わっていく雰囲気を描いていく。
それが気に入られたのだろう。
だが、俺はそのあたりの評価は気にしない。
日々を生きるお金が手に入り、画材が手に入ればいいやというのが、俺の気の向くままに描く。
その生活が、何よりも楽しい。
だから、今日もこうやって生きていく。
明日も、きっとずっと将来まで。