9話
カリンとイヨ、ハケようとする
ユキIN
ユキ 「大変、大変!あ、二人ともいいところに。今、タイヨウが会見を行っているって」
カリン 「お父様が?最近のSNSでの炎上についてかしら」
ユキ 「ちょっと静かに」
SE ラジオ
タイヨウIN
タイヨウ 「今日から世界最大のソーシャルメディアプラットフォーム、RUMORの会長となります。大洋TV社長兼太陽グループ代表取締役、タイヨウです。」
カリン 「まさか」
タイヨウ 「RUMORは長年多くの人に愛されてきたSNSです。しかし、近年は使用者の民度の低下など、多くの問題が増え、業績も落ちていました。私がこの地位にあるのも、若手のころRUMORによって、多くの皆様からフォローをいただいたからであります。そのような、思い出の場所を守りたいと思い。今日に至ります。これから、皆様のSNSライフを守らせてもらう身として、全身全霊を尽くさせていただきます。よろしくお願いします」
タイヨウOUT
イヨ 「早く、携帯機器の電源を切れ。RUMOR内の位置情報から特定されかねない」
カリン、イヨ、ユキは形態の電源を切る
SE 電源オフ
ユキ 「これは……ブラックアウト。いわゆる、報道規制ってやつが始まるのですね」
カリン 「くそが!炎上を抑えるために、こんな強硬手段に出るとはな。うううあああ、なんで私は気づかなかった」
イヨ 「落ち着け、こんな時に焦っても仕方ない」
ユキ 「そういう、イヨさんが一番震えていますけど」
イヨ 「お前はなんでそんなに落ち着いていられるんだ」
ユキ 「んー?何でって言われても分からないですけど。ワクワクしませんか?」
カリン 「2日後には父様の悪事を書き連ねた雑誌が世に出るんだ。それと同時にSNSを稼働させ、私が街中に繰り出して、町中をデモ隊に巻き込んで、社長の座を引きずり下ろす。その計画がパーになったんだ。ワクワクなんて言ってられるか」
ユキ 「私はそうは思いませんけどね。ほら、ピンチはチャンスともいうじゃないですか。RUMORの買収に、ここ3人だけでも反感が生まれている」
イヨ 「他のRUMORユーザーも反感を抱いているだろうな」
カリン 「つまり、父様は自らの傷口を広げている」
ユキ 「さらなる力を宿した敵の力を使って、打ち負かす。ワクワクするでしょう」
カリン 「急いで計画を練り直すぞ」
カリン・ユキ・イヨOUT
照明変化
タイヨウIN
タイヨウ懐から写真を取り出し、手を合わせる
タイヨウ 「お前が死んでから、もう20年か。随分と時間がたってしまった。天国では楽しくやっているかい?悪いけど、俺は天国に行けなさそうだ」
タイヨウは立ち上がり、人に聞かせるように語りだす。
タイヨウ 「俺が親から大洋TVを継いですぐの事だった。妻が友人と食べに行くと言って、帰ってきたのは死んだという知らせだった。優秀な取材班のお陰で、犯人はすぐにわかった。前総理の息子、今のこの国の長が酒を飲んで車を運転。赤信号の交差点に突っ込み、妻をひき殺した。勿論、すぐに放送し世間に広げ、断罪しようとした。しかし、私が犯人だと名乗る別人が現れたことで、真犯人は捕まらずじまいのまま、捜査は打ち切られた。だが、今は違う。俺は力を手に入れた。金を権力を、発言権を。ああ、俺の愛しき妻、ヒナタ。もうすぐ復讐を果たせるぞ」
タイヨウOUT