2話
マスター、イヨ 下手寄り板付け
ツキ、セイ、カリン 上手IN
SE CI
照明 明転
BGM FI
イヨはカリンを睨む。カリンが笑顔で見つめ返すと、イヨはソッポを向く。
ツキ 「マスター、いつもの」
マスター 「困りますなあ。いつものなどという商品はなくて」
ツキ 「ウインナーコーヒー、ソーセージ抜き。それとウミガメのスープを頼む」
マスターがにやりとする。
BGM CO SE(カセットテープが取り出される音)
照明変化
マスター 「よく帰ってきてくれた。任務の方は芳しくないようだが」
ツキ 「マスター、頼む。こいつを此処で雇ってくれないか」
マスター 「珍しいね。ツキがそんなこと言うなんて」
ツキ 「マスター、コイツは俺と同じだ。親からひどい扱いを受けて、他にSOSを上げられるような人もいない。俺たちが救ってやらないと」
イヨ 「僕は認めない!」
ツキ 「イヨ!」
マスター 「二人とも落ち着きなさい。……今の時点でも、ツキ君がカリンを殺せなかった後始末を、ファジー君がしてくれている。君は既に組織へ迷惑が掛かっていることは分かっているのか」
ツキ 「分かってる。それでも頼みたい。何かあったら俺が責任を取るから」
ツキとカリンが頭を下げる。
マスター 「いいだろう。だが、どの部署に行くかはこちらで決める。イヨもそれでいいな」
イヨは納得いかないようで、拳を握りしめ感情を抑える。
イヨ 「分かった」
イヨは歩き出す。幕の際まで行って立ち止まる。
カリンとツキは頭を上げて笑顔になり、二人で手を合わせる。
カリン 「ありがとうございます」
イヨ 「次の任務あるから行くぞ!」
イヨ、セイ、ツキOUT
カリン 「私はどの部署になるの」
マスター 「そうだな。清掃班に行ってもらおうか。ファジー君に上司になってもらおう」
カリン 「私を殺し損ねた後始末をした人と言っていましたわね。どういう御方?」
マスター 「会った方が早いだろう。ファジー君、来てくれ」
ファジーIN
ファジー 「ハイハイ、マスター。……こいつは?」
カリン 「どうも初めまして、新しく清掃班に配属されることになりました。カリンです。以後、お見知りおきを」
ファジー 「マスター、コイツは清掃班に向いてない」
カリン 「はあ⁉(怒)」
マスター 「なぜそう思う」
ファジー 「清掃は地味で汚れ仕事だ。お前みたいなのに出来るかよ」
カリン 「私これでもお掃除は得意でしてよ」
ファジー 「お掃除ねえ。何だか別の意味に聞こえるが……」
カリン 「あら、なんの事かしら」
ファジー 「まあ、いいだろう。せいぜい、やってみろ」
暗転 マスターOUT