15話
照明変化
カリンIN
ユキ 「有名政治家の汚職問題が…」
SE ヤジ、暴言、醜い声(FIでカリンのセリフの後、最高潮に)
イヨ 「暴行に寄り死亡した子供の親を傷害致死罪として…」
カリン 「反社会的勢力の実態について…」
SE CO
カリン 「ああ、なんて素晴らしいことか。悪は白日の下にさらされ、大衆の声によってつるし上げられる。法が機能せず、暗殺が横行するこの街に、私は秩序を作り上げる」
カリンOUT
照明変化
ツキセイIN
セイ 「しかし、ひどいね」
ツキ 「どいつもこいつも、俺ら処に回ってくる暗殺依頼の相手ばかり。いずれにしろ殺されていたと思えば」
セイ 「それこそ問題でしょ。私たちの信頼問題に関わるんだよ」
ツキ 「俺たちは治安自治組織だ。クズが減るならそれでいい」
セイ 「ツキはそれでいいかもしれないけど…て、あーもう。こんなしょうもない喧嘩している場合じゃないの」
ツキ 「そうだな。…こいつにしても、心臓を一突き。殺すことを楽しむというわけではなさそうだな。何が目的だ」
セイ 「私たちと同じように依頼を受けている人間とか」
ツキ 「以前は路地裏にたむろっている人たちを、依頼のあるなしに関わらず殺してたんだろ」
セイ 「それは空白の期間にどこかにスカウトされたとか」
ツキ 「なら、マスターが知っていそうなもんだが」
セイ 「確かにね」
ファジーIN
ファジー 「おーい」
セイ 「ファジー?珍しいね」
ファジー 「二人が追っている事件だけど、おそらく犯人はカリンだ」
ツキ 「悪い冗談だ」
ファジー 「これを見てくれ」
ファジーは記事と日記を手渡す
セイ 「イヨが以前調べた記事と」
ツキ 「タイヨウの日記?」
ファジー 「ああ」
ツキは日記をパラパラ
マスター・イヨ・ユキIN
マスター 「おや、ファジー君までちょうどいい」
ファジー 「マスター、聞いてくれ。カリンが真犯人で。無差別殺人のヒガサで」
マスター 「落ち着きなさい」
ファジー 「はい」
ツキ 「俺たちが追ってる事件の真犯人がカリンだ」
マスター 「なるほど」
セイ 「マスターの方はどうしたの?」
マスター 「二人によると報道機関すべてによる大規模な反社会的勢力のつるし上げ。その中に私たちも入っているとのこと」
セイ 「そんな」
ツキ 「俺たちは何をすればいい?」
セイ 「ねえ、それって」
マスター 「この街の治安を守る組織として、カリン暗殺を命じます。ツキ、今度は出来ますね」
ツキ 「はい」
ツキは拳を握りしめる
セイ 「でも、仲間だったんだよ」
マスター 「一晩過ぎれば敵同士、それがありえる世界であることは重々承知でしょう」
セイ 「でも、信じれないよ」
イヨ 「それも全部、カリンの策略だ。ツキに命乞いをした初めから。伝説の護衛と噂になるほどの実力者なら、不意を突いて私たちを返り討ちにすることもできた。それをしなかったのは、私たちを利用する気だったからだ」
セイ 「そうね。仲良くなれたとか思ってた私が馬鹿だったのかな。やるよ、やる」
マスター 「では、頼みましたよ」
マスター・ユキOUT
ツキ 「作戦の準備は?」
イヨ 「家の間取りも、スケジュールも把握済み」
ツキ 「作戦決行は?」
イヨ 「今晩だ」
照明暗転