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無自覚ハイスペック男、ド田舎から都会の高校に転校したら大注目される  作者: 本町かまくら


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第95話 男子部屋の夜


 ドーム型の天井を見上げる。


 今日一日、遊び倒して溜まった疲労が足に重くのしかかり、睡魔を誘っていた。

 風呂も入ったし、歯も磨いたし、何ならベッドにも入っているし。


 いつでも寝れるという状況に俺、山田、上原、秋斗はなっていた。

 

 男子部屋を満たす静寂。

 しかし、誰も寝ていないということはなんとなくわかる。


 なぜなら……。



「やっぱり、さっきの出来事が忘れられないね」



「っ!!!」


 ぽつりと呟く山田に過剰に反応する秋斗。


「確かになぁ。ありえないよな。せっかくみんなのために飲み物買ってきてやったっていうのに蘭子のヤツ、俺のこと追い回してくんだからさぁ~」


「そっちじゃないぞ、上原」


「え?」


 相変わらずKY(死語)な上原は置いといて。


「ねぇ秋斗。わかり切ってはいたけど……やっぱり、波留のこと好きだよね?」


「…………はぁ、わかり切ってたのかよ」


「たぶん、俺たち以外もわかってると思う」


「そんなに⁉ いやいや、旭じゃあるまいし」


「???」


「ダメだ、ここに会話のペースを乱すヤツが二人いる」


「「???」」


 ベッドの上で上原とはてなマークを天井いっぱいに飛ばす。

 誰のこと言ってんだ? 山田か? 山田だよな?


「でもま、なんつーか……その……」


 隣のベッドに寝転がる秋斗が天井を見上げたまま言う。



「ありがとな。おかげでずっとあったモヤモヤが晴れた」



 月明かりに照らされた秋斗の顔は、本当に晴れ晴れとしていて。


 心の底から嬉しいと思う。

 これまでずっと助けてもらっていた秋斗に、田舎者で世間知らずな俺が少しは何かできたということも含めて。


「あぁ、どういたしまして」


 なんだかムズムズするような雰囲気になって、山田が小さく笑みをこぼす。


「でも、陽太のアレがなかったら今頃告白して付き合ってたかもしれないね」


「は、はぁ⁉ こくはっ……そ、それはわかんねぇだろ」


「その節はすみませんでした……という謝罪から入らせてもらうけど、波留も秋斗のこと好きだろ? なら絶対付き合ってたって!」


「わ……わかんねぇだろ、そんなの」


「いやわかるだろ」


 誰がどう見たって二人が両思いなのは明らかだ。

 秋斗のヤツ、人のことはいくらでも言えるのに、自分のことになると途端に弱いらしい。


「あはははっ、物陰から聞いてたけど二人の会話、ほぼ告白だったよ?」


「そんなことねぇよ」


「そんなことあるって。だって二人の勘違いも、ギクシャクした理由も全部、お互いがお互いを好きじゃないとありえないしさ」


「なっ……そ、そうとも限らねぇだろ」


「めちゃくちゃ限るだろ」


 どう見たって限る。もはや限りすぎている。

 

 ……もしかして。

 これまでこじらせていたがゆえに、急に土俵に立たされてどうしていいのかわからないのか?


 あの秋斗が?


「秋斗ってさ、大体なんでもできるし人によく頼られるのに、自分のことになると全然ダメダメだよね」


「はぁ⁉」


「確かになー! 実はポンコツなんじゃないのぉ?」


「ぽ、ポンコツじゃねぇよ! ば、バカ野郎」


(((あ、めっちゃポンコツだ……)))


 初めて知った。

 学校で大人気の秋斗が、実は自分のことに限ってポンコツなのだと。


「そ、そういうお前らはどうなんだよ。好きなヤツとかいねぇの?」


「俺は猫谷さんと……」


「旭はいい」


「え?」


「わかりきってるしなー」


「言わずとも、ってやつだね」


「そ、そうか」


 なんだかハブられた気がしてならないが、一旦忘れておこう。


「陽太は? お前、なんだかんだでモテるだろ?」


「なんだかんだってなんだ!」


 上原が大げさに息を吐く。


「好きな人とかはいないなー。もちろん絶賛彼女募集中ではあるけど」


「赤羽さんは?」


「え、なんで蘭子?」


「確かにお似合いだな」


「ピッタリじゃん」


「お似合いでもピッタリでもないだろ! 俺さっきドロップキックされたんだぞ⁉⁉⁉」


「なおのことお似合いだな」


「だな」


「だなぁ」


「はぁ⁉⁉⁉」


 思わずベッドから立ち上がる上原。

 「まぁまぁ」となだめると、大人しくベッドの中に戻った。


「山田はどうなんだ?」


「あ、俺? いるよ、好きな人」


「「「…………え」」」


 さらっと言った挙句、きょとんとする山田。

 

「コイツ、さりげなく爆弾投下しやがったんだけど」


「誰! 誰⁉⁉⁉」


「あはははっ、秘密だよ」


「秘密は無しだろ」


「親しき中にも礼儀あり、ってね」


「……全然意味通って無くないか?」


「どういうことだ、山田」


「あはははっ」


「誤魔化したー!!!」


 いつの間にか盛り上がり、夜の妙な高揚感に声も大きくなる。

 

 それからはたわいもない話をしたり、目が覚めてきてトランプをしたりと夜を過ごし。

 誰から言うこともなく、気づけば俺たちは眠りについていたのだった。










 一方その頃、女子部屋はというと……。


「秋斗、絶対波留のこと好きだって!」


「へ⁉ そ、それは……」


「波留、ここからはガッとだよ。ガッと」


「ガッ」


「ガッとってなに⁉」


 女子サイドも……いや、女子サイドこそ、今夜は長い……。



 ――禁断の女子トーク!


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