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無自覚ハイスペック男、ド田舎から都会の高校に転校したら大注目される  作者: 本町かまくら


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第91話 バーベキューの一幕


 その後も、日が暮れるまで海で遊び倒し。


 シャワーを浴び、着替えた俺たちはみんなでバーベキューをすることになった。

 食材はすでに買いに行っており、どんどん肉を焼いていく。


「これ焦げてね?」


「うわほんとだ! 誰だよ肉奉行!」


「「「お前だろ!!!」」」


「に、肉と俺に厳しくね……?」


 しょんぼりした様子の上原に、みんながいたずらっ子な笑みを浮かべる。


 やはり火を囲むとその場が和む。

 あとは上原を犠牲にして。


「アキくん、お肉焼けたよ」


「お、うまそうだな」


 波留から肉を受け取る秋斗。


「うんうん……」


「どう?」


「うまい」


「他には?」


「え、他には? えっと……ジューシー?」


「焼いてくれてありがとうでしょっ!」


「いったー!」


 秋斗が波留にどつかれる。

 

 そんな二人をこっそり見て、ニヤニヤする俺たち。

 ちなみに、バーベキューで二人のペアにさせたのは赤羽さんと山田の計らいだ。

 

 しっかりとファミレスで話し合ったことを実践している。


「ふふっ、いい感じだね」


「そうだな」


 隣の猫谷さんが微笑む。

 

「あ」


「どうした?」


「動かないで」


「?」


 猫谷さんが俺の顔をじっと見つめる。

 どうしたんだろうかと首を傾げていると、俺の頬に手を伸ばしてきた。


「猫谷さん?」


「米粒、ついてたよ」


 取ってくれた米粒を見せびらかしてくる。


「あ、ごめん。ありがとう」


「桐生くんってさ、意外に抜けてるよね」


「そうか?」


「ほら、そういうところ」


「え、どういうところ?」


「そういうところ?」


「ど、どういうところ?」


「そういうところっ」


 そういうところがどういうところなのかわからないのに……って、自分で何言ってるのかよくわからなくなってきた。

 

 それにしても意地悪だ。

 わかっていて教えてくれないなんて。


「そういう猫谷さんも、抜けてるところあるけどな」


「なっ……そんなことないし」


「そんなとこ、あるから」


「ないよ」


「いーや、あるな。意外じゃないほどに」


「むっ……桐生くんのいじわる」


「お互い様だ」


 意地悪されたら、意地悪し返したくなってくるものだ。

 なんて、猫谷さんと話していたら周りの視線にようやく気が付いた。


「「「「「「じーっ……」」」」」」


 意味ありげな視線。


「ど、どうした?」


「……たはーっ。やっぱり、付き合うっていいよなぁ~」


「なんだよ急に」


「それはこっちのセリフだわ!」


 なかなか強く言い返されてしまった。


 上原が頭の後ろに手をやり、投げやりに空を眺める。


「俺も彼女欲しいなぁ~」


「上原、好きな人とかいないの?」


 赤羽さんが訊ねる。


「いないなぁ。というか、しばらくいない。何故かいない!」


「アンタ、その感じで意外にモテるのにね」


「なんだ意外って!」


 確かに、上原はよくモテる。

 ひょうきん者なので忘れがちだが、山田や秋斗と並んでも引けを取らないイケメンだし。


 それに実際、コミュ力もあって優しい。


「でも俺たち高校二年生じゃん? ってなると彼女欲しいよな~」


「高校二年生だから彼女欲しいっていうのが、変な考えだけどね」


「わからなくもないけどさ」


 プラのコップを机に置く赤羽さん。


「そういう蘭子はどうなんだよ」


「白馬の王子様を待ってる状況」


「……うわぁ」


「うわぁって言うな!」


 またしても赤羽さんにシバかれる上原。

 この二人やっぱり仲いいし、いっそのこと二人が付き合えばいいのに。


「恋人、かぁ」


 意味ありげに呟く波留。

 真田さんがすかさず反応する。


「波留は気になる人とかいないの?」


「私⁉」


「そう、私」


 俺たちの作戦にとっては好都合な状況に、上原と赤羽さんも争いをやめる。

 

「いやぁ、どうだろう。あんまり恋愛とかわからないからなぁ。ほら私、恋人とかできたことないし」


「へぇ、そうなんだ。知らなかったな」


 山田と同じ意見だ。

 波留くらい人気なら、今まで付き合っていた人がいてもなんらおかしくない。


「彼氏作っちゃえばいいのに。波留に告白されて、断る男なんていないでしょ」


「あはは、そんなことないよ」


 波留が箸を皿の上に置く。


「ってか、秋斗はいないのか? 気になる人とか」


 これが流れ的に正解だろうと思い、秋斗に話を振る。

 赤羽さんがこっそりサムズアップしてくれたので、安心だ。


「いや、いねーよ。言うなれば今はバイトが恋人だな」


「……うわぁ」


「冗談に決まってるだろ!」


 慌てて否定する秋斗に、上原が「あ」と声を上げる。


「そういや今まで聞いたことなかったんだけど、秋斗って彼女いたことあんの?」


「あー。んー……」


 話しづらそうにする秋斗。

 すると波留が秋斗の肩に手を置いた。


「アキくんはね、いたことあるよ。中学のとき!」


「なっ、おい波留」


「別にいいでしょ? 減るものでもないし」


「増える減るの問題じゃねぇだろ……」


 そんな秋斗にかまわず、波留が続ける。


「しかも、付き合ってたのは一個上の先輩で、学校のマドンナって言われてたんだよ? 男の子にすっごい人気の先輩で、他校から見に来る人がいるくらい」


「へぇ。ほんとにいるんだな、そういう人って」


 さすが都会だ。

 ドラマの中だけのことだと思いきや、都会だとそれが現実にある。


 恐るべし都会……これがリアルの最高峰。


「でもま、最終的にはフラちまったんだけどな」


「えぇ⁉」


「久我くんってフラれるんだ」


「そりゃフラれるだろ。人間なんだし」


 秋斗がコップに口をつけ、一息つく。


「ほんと、情けねぇ話だよ」


 小さく笑う秋斗。


 その表情はただの自虐にはどこか思えなくて。

 ふと、その後ろで秋斗を見つめる波留の表情が目に入る。


 波留は秋斗を、どこか寂し気に見ていた。


 その顔は球技大会の日、教室に戻る寸前の表情とぴったり重なっていて。

 どうしても波留の顔が頭に残って、忘れられないのだった。



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