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無自覚ハイスペック男、ド田舎から都会の高校に転校したら大注目される  作者: 本町かまくら


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第67話 イケメン四人衆


 いつもと雰囲気が違う校舎を山田と上原、秋斗の三人と歩く。


 田舎にいたときには球技大会なんてなかったし、ここまで生徒数も多くなかった。

 だからこの“祭り感”は俺にとっては物珍しく。


(ガラッと学校の雰囲気も変わるもんだな)


 やはり都会という場所は特殊だ。

 田舎と何もかもが違って見える。



「ねぇ、見てあの四人!」

「ヤバ! 山田先輩たちじゃん!」

「上原先輩もいるよ!」

「全員イケメンとかヤバすぎ……!」

「オーラが全然違うんだけど」

「四人ともカッコイイ……!」

「すごいメンツだね」

「仲いいんでしょ⁉ ヤバいよねー!」



 妙に視線を集めている気がするが、山田に上原、秋斗と学校の有名人が揃っていたらこうなるのも無理はないか。

 

 学食で昼ご飯を食べているときだって、相変わらずものすごい注目度だし。


「そういや幸也のクラス、今どんな感じなんだ?」


「サッカーなんだけど、一回戦で負けちゃったよ。ね、陽太」


「っ! そ、そうだな……あははは」


 妙に歯切れの悪い上原。

 こういうとき、上原は考えていることが顔に出やすい。


「その様子だと、戦犯はお前か」


「戦犯言うな! ま、まぁ? 幸也は四点取って相変わらずの大活躍だったけど?」


「四点……え、サッカーで?」


「あははは、たまたま運がよくてね」


 運で四点取れたら苦労しないだろ。


「じゃあ普通負けなくないか?」


「……でもその後、俺が三回ハンドして、レッドカードももらって負けた」


「よく戦犯にツッコめたな」


「上原、まごうことなき戦犯だな」


「旭まで言うなって!!! ……うぅ」


 わかりやすく落ち込む上原。

 しかし、すかさず山田が慰めると、あっという間にむくっと回復。


「そういや聞いたぞ! 秋斗と旭、一回戦で大活躍だったらしいじゃん!」


「俺も聞いたよ。かなり噂になってるみたいだし」


「え、噂になってるのか?」


「そりゃ二人が同じクラスで、しかも活躍したとなれば話題にもなるよね」


「そ、そうなのか」


 確かに、あの試合の注目度はかなり高かったけど。

 話題になるようなこと、もっと他にあるよな? とも思うけど。


「じゃあ話題になってるかもな。上原がハンド三回で、そのうえ退場したって話も」


「それは話題にならなくていいよ⁉」


「ちょっと声大きめに話しとくか?」


「おい秋斗! 鼻で笑いながら言うな!」


 この四人で話していて、ふと改めて仲良くなったんだなと思う。

 

 田舎者の俺が転校してすぐに話すようになって。

 今はこうして友達の距離感で、くだらないことで笑っていられる。


 これもよくよく考えれば、かなりすごいことだ。


「今から波留たちの試合だよな?」


「そういや、対戦相手って蘭子と美琴か」


「ってことは、俺たちのクラス対山田たちのクラスってことだな」


「あははは、負けないよ?」


「俺たちだって負けねーよな?」


「そうだな」


 バチバチと視線を交わす。


 この男だけのノリは懐かしくて、安心する。

 

「「「「「キャーーーーーーーー!!!」」」」」


 ……でも、やっぱり引っ掛かる。

 

 いつの間にか後ろに大勢の女子たちを引き連れているのは、どういう現象なんだ?

 やっぱり都会って、よくわからない。










 体育館に到着する。


 すでに生徒が多く集まっていて、依然として熱気に包まれていた。

 

 これから行われるのは女子バレーの試合。

 すでにコートにはちらほらと生徒がいて、その中に一際目立つ女子を見つける。


「美琴! 頑張れ~」


「蘭子! 退場だけはするなよー!」


「上原と一緒にすんな!」


 赤羽さんに言い返され、しょんぼりする上原。

 今のは完全に上原が悪い。

 そして相変わらず、仲がいい。


 赤羽さんと真田さんがいるコートと、ネットを挟んで向こう側。


「波留ー、頑張れよー」


「頑張れ、波留」


「アキくんに旭くんまで! えへへ、任せてっ!」


「全部拾えよー」


「それは無理だよ⁉」


 秋斗も負けじと軽い言葉を飛ばす。

 

 赤羽さんも波留も、冗談を言われてなんだか嬉しそうだ。

 きっと、上原も秋斗もいい関係を築けているからなんだと思う。

 

「……あ」


 波留の少し後ろに、お目当ての猫谷さんを見つける。

 猫谷さんはクラスメイトと何やら仲良さそうに話していた。


(あの猫谷さんが、クラスメイトと……)


 心がじんわりと温かくなるのを感じる。

 

 なんだかやけに嬉しくてじっと見ていると、俺の視線に気が付いた猫谷さん。

 驚いたように肩をビクッと震わせる。


「頑張れ、猫谷さん」


 俺もみんなに倣ってエールを送ると、猫谷さんが照れくさそうに視線を逸らす。

 やがて頬をほんのりと赤くさせ、ちらりと俺の方を見た。


 胸の少し下あたりで、小さく手を振る。




「…………うん、ありがとう」




 その仕草に、またしても心が温かくなる。

 

 だからきっと、無意識のうちに頬が緩んでいたんだろう。


「旭、場所を選ばずにイチャイチャするのはやめろ」


「コノヤロー! 俺たち彼女無しに自慢しやがってー!」


「あははは、見せつけてくれるねー」


「?」


 自慢したり見せつけたつもりはなかったけど、そういう風に取られても仕方がなかったか?

 

 さっきも言われたし、もしかしたら自分が思う以上に猫谷さんにデレデレしてるのかもしれないな。

 気を付けよう、本当に。(絶対無理)


「でも、猫谷さんにも旭っていう相手ができたんだもんなぁ。そりゃ、自動的に人気も出るわけだ」


「え? 何だが?」


 聞き返すと、上原がきょとんとする。



「知らねーの? 最近、波留の人気がとんでもないんだよ」


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