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浄華の聖女に癒やしのモフモフを〜皇子への愛は全くないですわ〜  作者: 白雲八鈴


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第55話 怒られた

「べルルーシュに何を言われたか、覚えていないのですか?」


 今日のお務めが終わり、最終日のためツベラール侯爵主催のパーティーが行われるまでの間、私は神父様にお呼び出しされています。


「この服を着ろと」


 私は身につけている血が滲んだような聖女の衣装を指して言います。


「他には?」

「他に?」


 他に何か言われたでしょうか?首を傾げてみますが、一向に出てきません。


「無いです」

「この頭にはモフモフしか詰まってないのですか?」

「イタイイタイイタイ」


 こめかみグリグリ攻撃をされる私。

 べルルーシュから言われたことはないですよ!


「浄華の聖女が再び襲われるという設定でしたよね。それで、オリヴィアにわかりやすく、死ぬようにと言ったはずです」

「はっ! 言われました!」

「なのに、なぜ魔の浄華を使うという愚行をするのです。おかげで予定が狂ってしまったではないですか」


 でも、死ぬのはいやです。抵抗はしていいと思います。

 そもそも私が死ぬ意味がさっぱりもってわかりません。


「狂っていいと思います……いたっ!」


 デコピンをされてしまいました。酷いです。今からパーティーに出席しないといけないのに、額が赤くなってしまうじゃないですか! ベールを被るけれど。


 両手で額を押さえて、腹黒神父様を睨みつけます。


「誰も見られていないところで襲われても、なかったことに等しいとわからないのですか?」

「え? 流石に聖王様を犯人にするわけには」

「この頭は考えるということは、できないのですかね?」

「うぎゃ! ほっへははほひる(ほっぺたが伸びる)


 両頬を抓られました。私だって考えています!


「べルルーシュは実行犯という言葉を使ったはずです。裏にいるものを明確に晒すために必要なことを全部ぶっ飛ばした自覚がないのは、些か問題ですよね?」


 ……実行犯なんて言葉を言っていたでしょうか?

 それに私は全く持って説明を受けていません。


「それなら、私がどう動くべきか事前に言っておいてほしいです」

「では、聖王が実行犯で、裏に法国がいるので、あぶり出すために、大怪我を負う演技をしなさいと言えば、ボロを出さずにできましたか?」

「私はべルルーシュではないので無理です」


 私は即答します。聖王が犯人だと言われたら、出会った瞬間に顔をしかめている自信があります。


 人には得手不得手があります。大怪我を負ってピンピンしている自信もないです。


 でもそれなら……


「あのときアークが止めてくれればよかったじゃない!」


 いつの間にか、貴族らしい黒地の上品なスーツを着たアークに詰め寄ります。


「あ? 俺はオリヴィアが、死ぬふりをする気満々なのだと思ったが?」

「そんなの頭の端にも残っていなかったし!」

「いや、俺は人の頭の中は覗けないから、今言われても知らん」


 突き放されてしまった。

 でも、あの状況は仕方かなかったと思う。私は全力で抵抗して良かったと思う。


「お陰で、振り出しに戻ってしまいました。次の機会はいつになることでしょうかね?」


 凄く綺麗な笑顔を浮かべた神父様が怖いです。


「はぁ、だからオリヴィアを巻き込む前に決着をつけたかったというのに、とても残念です」


 神父様は大きくため息を吐いて、昨日と同じような言葉を言いました。しかし、今は私を巻き込むことで失敗するリスクを避けたかったという真意が受け取れます。


「さっさと会場に向って、新しい婚約者のお披露目でもしてきなさい。ただし、話すのはアークジオラルド皇子に任せておきなさい」


 そして私は慰労会という名のパーティーに出席するべく、アークと共に会場にむかったのでした。……私のお務めは明日以降も続きますけどね!





 会場は主催であるツベラール侯爵のお屋敷で行われます。馬車に揺られて到着した場所は、日が暮れたにも関わらず、辺り一帯に煌々と光がともされ、会場となるお屋敷を明るく照らしています。


 貴族はこういうところでも、権力を見せつけるのだと、以前ロベルト様が言っていました。


「ジークフリート様。激おこだったよね。一応護衛は団長一人だけだけど、近くには控えているからね」


 御者をして、馬車を下りるための台を用意してくれたべルルーシュからの言葉です。


「聖王様がいたときの護衛ってどうなっていたの?」

「しっ! その話は駄目だよ。一応、隠し扉の裏に控えていたよ。いやぁ〜、魔の浄華を使っちゃうとは、僕は浄華の聖女様を褒めてあげるよ」


 私を褒めると言ったべルルーシュはクスクスと笑っています。それはどういう意味なのかな?


 しかし、アークに引っ張られてしまったので、それ以上は聞けずに屋敷に向っていきます。


 その背後からついてくる鎧。毎回、思うのですが、護衛の鎧がきらびやかな会場では浮いてしまうので、近衛騎士の礼服でいいと毎回思ってしまうのは、私だけでしょうか?


「それで、アークに任せていいんだよね?」

「そうだな」

「誰にでも喧嘩を売らないよね」

「それは相手次第だな」


 ……神父様! 私よりもアークの方を心配したほうがいいと思うよ!



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