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浄華の聖女に癒やしのモフモフを〜皇子への愛は全くないですわ〜  作者: 白雲八鈴


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第50話 その衣装はいやぁぁぁぁ!

「それで誰が聖女を邪魔だと……」

「しっ! 耳はどこにでもあるから、気をつけないとね」


 え? ここでベラベラしゃべっているのに、またそれを言われて言葉を止められるの?

 それっておかしくない?


「諜報には特殊な魔道具が使われることがある。そいつは、それを持てる立場だと言っているんだ。あと、この場にはあの神父の結界が張ってあるが念の為だろう」


 アークが、国の裏事情的なことを教えてくれました。もしかして……


「国王陛下!」

「それならオリヴィアの首は、もうとっくに胴体と泣き別れになっているな」

「酷い」


 確かに神父様とそこの木偶の坊は、陛下の弟君ですが、怪しい魔道具を持てる人物なんて、思いつきません。


「うー……誰に気をつけたらいいか分からない」

「分かっても対処のしようがないだろう」

「アークは知らないでしょうが、聖女は最強なのですよ!」


 私はふふんと、偉そうに言います。

 なんせ神の御業の代行者なのですから、その力は絶大なのです。


「知っている。だから、帝国はハイエント聖王国とは戦争をしない。三百年前のシャトランゼの戦いの過ちは、繰り返さないとな」


 三百年前? そんな時代に戦争をした歴史ってあったような記憶にないです。


 はっ! これは神父様に問われて答えられないと、勉強不足ですよねと勉強の時間が発生する事態になります!

 思わず私はケモミミから手を離して、頭を抱えます。


「ヤバいです。思い出せない。勉強の時間が増える!」

「浄華の聖女様。大丈夫だよ。そういう戦争はハイエント聖王国はしなかった。これがこの国の歴史だから、知らなくて当然だよ」

「え?」


 おかしなことをいうべルルーシュに視線を向けます。

 戦争はしなかったというのが歴史?


 まさか歴史が改ざんされている!


「それが妥当だろうな」

「えっと? 何で戦争がなかったことに?」

「魔導師と同じ扱いを聖女がされるということだ」


 魔導師ということは、このような手厚い対応ではなくて、お前なんて一人で生きていけると、放り出されるってことですか!


 それはお金を稼げない私は飢え死にするしかなく。モフモフパラダイスも夢のまた夢。


「私は……野垂れ死ぬしかないと」

「どういう思考回路でそうなったんだ。俺のように人間兵器として扱われるということだ」

「ん? アークは半分モフモフですが、人ですよ?」


 兵器なんて、おかしなことを言うのですね?


「まぁ聖女様方には、平穏な日々を送ってもらっているということだね。それで話の続きだけど」


 なんだかべルルーシュに、良いようにまとめられてしまった感があります。


「おそらく、初日は動きはないと思うけど、浄華の聖女様にはこれを着て、聖華会に参加してくれるかな?」


 そう言ってべルルーシュは、見慣れた衣服を取り出してきました。それは私が着ている浄華の聖女が着る聖女服です。


 真っ白のワンピースドレスに浄華を現す聖紋の刺繍と金糸で模様が、アクセントとして裾や袖口、首元に施してあります。


 そう、ベールで覆っていても浄華の聖女と認識できるのは、聖紋が聖女に与えられていりからです。


 私は青いユリのような紋様。そう聖痕からデザインされた聖紋になるのです。


 が! なぜかおびただしい血痕が染み付いています。


「いやだけど」


 絶対にこれは、べルルーシュの血ですよね。しかし、この出血量でよく目の前でピンピンしているなと思ってしまいます。


「この上から包帯を巻くから大丈夫だよ?」

「大丈夫の意味がわからない。なんだか着たら呪われそう」


 そもそも、私は怪我なんてしていないのに、血みどろの服を着てその上から包帯を巻く意味がありません。


「あれ? もしかしてこの服は私の服じゃなかったりする?」


 慌てて、今着ている聖女の服の聖紋を確認します。……私の服ですね。


「それは王都からこっちに来る近衛騎士に頼んで、持って来てもらったんだよ。まさか、換えの服を持ってきていないと思わなくてね。ということで、明日はこれを着て欲しいな」


 そう言ってべルルーシュは強引に私の手に生々しい血に濡れた聖女の服を渡してきました。

 いやぁぁぁぁ!


「あぁぁぁぁぁ!」

「案外、便利だな」

「流石、浄華の聖女様ですね」


 何が流石なのかはわかりませんが、そこの木偶の坊。あなたの部下でしょう。そんなことを言う前に止めなさいよ!


「あーあ。ジークフリート様の作戦が台無しになっちゃったよ」


 べルルーシュが残念そうにうなだれるのを見て、私は手元に視線をむけます。すると、脇腹に穴が空いた私の服があるだけでした。

 べルルーシュの血は私の浄華の力で綺麗になくなったようです。


 そのことにホッとため息がでました。

 血の跡がついた服は流石に着たくありません。


「血糊を使えばいいのではないのか?」

「その手があった!」


 アーク。いらないことを提案しなくてもいいわよ!

 私は絶対に拒否しますから!


 そんなこんなで、聖華会当日になってしまったのでした。




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