第45話 私にはモフモフが必要なのです!
「いや。無理」
「と言いながら、耳を撫で回しているだろう」
だって……ケモミミなんだよ?今まで消えていたケモミミ。
触りたいと思うのは当然のこと。
「しないのであれば、騎獣には近衛騎士団長に乗せてもらえ」
ぐはっ! 究極の選択死。
今ここでケモミミ皇子にキスして、私の心が死ぬか。
浄華中ずっと意志の疎通ができないブライアンと共にいて心が死ぬか。
……それであれば、時間的に長いブライアンとの行動を避けるべきという結論になります。
「う〜……わかった」
私は意を決っして、ケモミミ皇子に口づけをしたのでした。
という攻防をそれから九日間も繰り返す日々。
いい加減慣れろと言われるも、そんなものは慣れません!
しかし、その御蔭で長時間に及ぶ浄華と移動は従者姿の俺様皇子と共に行動することができました。そして、私がお腹が空いたといえば、ご飯が食べられるという高待遇。
流石の堅物ブライアンもアーク相手に文句は言えなかったようです。
ただ、残念なことは俺様皇子のモフモフ度が完全に消え去り、黒い尻尾さえ無くなってしまったのです。
私のアークは完全に消えてしまいました。
時間が経てば獣化するのは変わりませんが。
「問題は無さそうですね。それから、『祝福の聖女』が到着しましたので、挨拶に行ってきなさい」
「うぇ?」
エリザベートがもう到着したの? 確かに、静かだった宿舎に人の気配が多くなった感じはしていたけど。
「明日の朝には会うので、それでいいと思います」
「駄目です。ついでにアークジオラルド皇子を紹介してきなさい」
……それはとても面倒くさいことになりそうだから嫌なのだけど?
それに今は、シスターの格好をしているから、完全に馬鹿にされる要素しかありません。
「神父様。浄華の聖女としては挨拶するには不向きな格好ですので、やはり明日でいいと思います」
明日からアークは黒豹姿で私の側にいることが決められているので、そっちをエリザベートに紹介したいです。
そう! それがいい。そうしましょう。
絶対にそれ!
すると神父様が部屋の奥の方に行ったかと思うと、畳んである見覚えのある衣服を持ってきました。
「どうして予備の聖女の正装服を持ってきていないのですかね?」
「え? 荷物が増えると神父様が怒るからじゃない……いたっ!」
また、デコピンされてしまいました。
「私が怒ったのは、鞄にパンパンに詰められたぬいぐるみに対してです。シスターたちからも言われましたよ。鞄の中には最低限の下着しか入っていなかったと。どういうことかと問い詰められたのですよ」
「私の浄華で汚れても直ぐに綺麗になるから……いたっ!」
うぅぅぅぅ。おでこに穴が空きそうです。
「はぁ、これに着替えて挨拶に行ってきなさい。明日の予定は、夕食のときに伝えます。それまでは自由にしてくれていいです。わかりましたか?」
「はーい」
「返事は短く」
「はい!」
そう言われて、従者姿の俺様皇子と共に部屋を追い出されてしまいました。
今からエリザベートのところに行くなんて、憂鬱過ぎます。
「取り敢えず、その祝福の聖女という者に宣戦布告をすればいいんだな?」
「そんなことしないでよ」
物騒なことを言うアークを止めます。宣戦布告って戦いに行くわけではないのだから。
それに聖女が邪魔だと思われている者たちに狙われているのはエリザベートも変わらないのです。
「そういえば、誰が聖女を邪魔だと思っているのか全然わからないのだけど?」
私は心の平穏以外、何事もなく過ごしてきましたが、べルルーシュの方では色々あったみたいです。それに神父様から聖華会では気をつけるようにと言われましたので、何かが起こると思っているのでしょう。
何もないのが一番いいのですけどね。
「なんだ、わからないのか?」
「え? アークは知っているの?」
ほとんど一緒にいるアークは知っているのに、私が知らないってどういうこと?
神父様がこっそりと教えたってこと?
「知らないが、ここまで揃えば普通はわかるだろう?」
……全然わからないのだけど?
「この建物の中に、聖女とシスターと近衛騎士以外がいないというのがすべてを指し示しているじゃないか」
「……聖女が住む王城の教会と同じってこと?」
「そうだ。あの神父は誰も信用していない。それが全てだ」
誰もってことはないと思うけど、近衛騎士を率いているのが双子のブライアンだから、それは信用できるということなのでしょうか?
「まぁ、そもそもがそこからおかしいとは思っていたんだけどな。オリヴィア、宣戦布告が終わったらさっさと部屋に引きこもれよ」
「え? 町に出て、路地裏で伸びているニャンコちゃんや、日陰でお昼寝しているワンコちゃんを探す散歩に……」
「却下だ」
これから会うエリザベートからのストレスを癒すために、モフモフが必要だと私は思うのだけど!
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『魔女メイラの喫茶店』を訪ねた青年が魔女と共に暮らしたいと詰め寄る話。
まぁ、何かと絡み合っています。
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