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浄華の聖女に癒やしのモフモフを〜皇子への愛は全くないですわ〜  作者: 白雲八鈴


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第44話 町の浄華を行うにあたっての最難関

 それからの、私の日々は浄華をするということを繰り返す単調な日々。


 表向きは、聖華会にこられる聖女様の安全確認という名目で、シスターが派遣されているというもの。


 それも見た目はいいけど、殺気をあたりに撒き散らしている俺様皇子と無骨な金属の鎧をお供にしたシスターなのです。


 すれ違う人の視線が痛いです。


 そして明日はやっと聖華会の日となりました。べルルーシュの方は何やら物騒なことがあったらしいのですが、私の耳には入ってきませんでした。


 ええ、私の周りには俺様皇子と無骨な鎧しかいないのです。

 昼食を取るために町の食事処に寄ったときに聞き耳を立てていると、どうもそのような話が聞こえてきたのです。


 町の浄華をしている聖女様が襲われたらしいとか。

 泊まっている教会でボヤ騒ぎがあったらしいとか。


 え? いつ火事があったのでしょう?同じ教会の敷地内ですのに、全く気が付きませんでした。


 二人に知っているのかと聞けば、知っているという返事が返ってくるしまつ。情報の共有はしてよね!


「オリヴィア。あなたの役目はなにですか?」


 そして、文句を言いに神父様を探し出して問い詰めれば、逆に私が質問されてしまいました。


「浄華をすることです」

「ならば、我々が行うことは、浄華を行うオリヴィアの邪魔になるようなことは排除することです」


 冷たい視線を向けられて言われました。何を当たり前なことを聞いてくるのかと言わんばかりです。


「それから残念なことに、囮では引きずりだせなかったので、聖華会では気を引き締めてください」

「あれ? もしかして失敗したからピリピリしているの? あぅっ!」


 解せない。神父様からデコピンをされてしまいました。


「そう言えば、ブライアンから聞きましたが、安定して人の姿になれるようだと。呪いは解けたのですか?」


 私の背後にいる俺様皇子に話しかけているようですが、この九日間の苦行の日々に比べれば、明日からの聖華会など大したことはないです。


「いや、そう言えば一つ試していなかったなと思って、オリヴィアにやらせただけだ。効力としては十時間。まだまだだ」

「ぐふっ!」


 背後にいる俺様皇子の言葉に、思わず胸を押さえてうなだれます。私はあれ以上は無理です。


「そうですか。ハグだけなら一時間でしたので、十分と言えますね」

「二人して私の能力の効果の検証をしないでほしい」


 いや、大事なことだとは思うのだけど、精神的にクるのです。モフモフならいくらでもしますよ。ハグでもチューでも……はい、キスです。



 そう、九日前のあの日。


「あと、俺もいるから心配するな」


 アークから頭を撫で撫でされて、こそばゆい感じに浸っていると、俺様皇子から爆弾発言が投下されたのです。


「それから、騎獣に乗るには人の方がいいのだが、取り敢えずオリヴィア。キスをしろ」

「うぇ?」


 何かおかしな言葉が聞こえたような気がします。ええ、きっと気の所為でしょう。


「呪いの浄華には愛する者の口づけだと」

「ぐはっ!」


 気の所為ではない言葉に、再びベッドの住人になります。これは俺様皇子に私が口づけをしろと言っている?


「キョウハタイチョウガワルイノデオヤスミシマス」


 そう、ベッドから出なければいい。そうすれば、世迷い言をきかなくてもよくなるはずです。


「オリヴィア。現実的にだ。それが許されると思っているのか?」

「思っていない……けど……」


 サボると、笑っていない笑顔を浮かべた神父様がやってくるのが目に見えています。そして、グチグチと小言を言われて、最終的にモフモフパラダイスへ行くことが叶わなくなるでしょう。


 しかし、しかし、百歩譲ってモフモフアークなら可能かもしれないけれど、今は俺様皇子……無理。


「だったら、近衛騎士団長と同じ騎獣に乗せてもらえ、俺はそれでも構わないが?」


 え? あの意思の疎通が不可能なブライアンと同じ騎獣に?

 お昼が食べたいと言っても、却下されそうなブライアンと? お茶が飲みたいと言っても却下されそうなブライアンと? 休憩がしたいと言っても却下されそうなブライアンと?


 絶対に無理。私がその辺りで野垂れ死んでそう。


「絶対に無理! だけど、こっちも無理!」


 顔を上げると、思っていたよりも近くに金色の目がありました。

 うっ……こっちもこっちで逃げ出したい。


「俺からしてもいいのだが、たぶん今までの感じでいけば、効果は低くなるだろう」


 ひっ! 俺様皇子に捕獲されてしまいました。逃げれない。


「で、考えてみたのだが、呪いの効力は出ているのだが、一時的に解消されているのが今の状態だ。ならば、こういうこともできるのではないのかと」


 そう言った俺様皇子の頭の上に、黒い丸みをおびた可愛い耳が乗っているではないですか!


「ケモミミ!」


 思わずケモミミに手を伸ばしてしまいました。


「効果覿面だが、何か釈然としないな」


 何を言ってるのです。俺様皇子にケモミミがあるだけで、百倍可愛くなるではないですか!


「さて、俺の愛しい浄華の聖女様。この俺に口づけをしていただけるだろうか」



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