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浄華の聖女に癒やしのモフモフを〜皇子への愛は全くないですわ〜  作者: 白雲八鈴


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第42話 お前は誰だ?

「食べながらでいいから聞いて欲しいのだけど」


 結局私は、べルルーシュの分の食事をいただくことになりました。交換ということだそうです。

 因みに怪しい料理は浄華をしたので、何か混入していても問題はありません。


「食べたら、この部屋から移動して欲しいのだよ」

「あ? ここで襲ってくるほど馬鹿じゃないだろう」


 私の隣で俺様アークも食事をとっています。そう言えば、何がヤバいのか聞いていませんでした。


「明日から十日間はシスターとして過ごしてくれるかな?」

「アン様の付き人ということ?」


 護衛対象が二箇所に分かれているというのは、護衛する者としては些か問題になるのでしょう。


「建前はそうなのだけどね。浄華の聖女様には予定通り、町の周辺の浄華をしていただかないと駄目だからね」


 はい。お務めはきっちりとさせていただきます。モフモフパラダイスのためにです。


「それで、僕が身代わりで町の浄華を行っている風にする。襲撃があるとすればここかな? それで最初に言っていたことなんだけど、浄華の聖女様は死んだことにする」

「え?」


 私が死んだことにするって、べルルーシュは無事では済まないということよね。それで、本当にいいの?

 はっ! もしかしてそのために、アン様をこちらに来てもらったってこと?


「いい加減に大物に出てきてもらわないとね。その状況なら、あちらさんも馬鹿みたいにホイホイ出てくるだろうというのが、ジークフリート様の考えだね」


 だいぶんべルルーシュの意訳が入っているような気がしないでもないけど。


「それで浄華の聖女様には不便をかけるのだけど、護衛は団長だけになるんだよ」

「十日間も?」

「そうだね、聖華会が始まるまでには決着をつけたいね」

「護衛が近衛騎士団長だけ?」

「そうだね」


 え? 意思の疎通ができる人がいいのだけど。堅物ブライアンとは話が通じないのだけど。


「私一人では心もとないかもしれませんが、誠心誠意をもって浄華の聖女様にお仕えいたします」

「いいえ、別に近衛騎士団長の腕に不安があるわけではありません」


 問題は意思の疎通ができないということ、せめてべルルーシュが間に居てくれれば、話が成立しやすいのに。


「あとこれが、一番重要なのだけど、一介のシスターに出す馬車はないんだよ」

「はい、それは理解しています」


 私が馬車で移動できるのは、私が聖女だからです。シスターとなれば、自分の足で歩けということですよね。


「理解してくれて良かったよ。じゃぁ、明日からは団長の騎獣に同乗するか、侍従に扮した皇子様の騎獣に乗せてもらうかしてね」

「は?」


 何かとんでもないことを言われた気がします。


「おい。俺は獣の姿でいろという話だっただろう。それはいいのか?」

「それは浄華の聖女様についているときの話ですね。それから聖華会のために初日は人の姿でいて欲しいとジークフリート様から伝言を承っています」


 ふぉ! べルルーシュが凄く固い口調でアークと話している。これは俺様皇子対応ってこと?


「人の姿になれるかは、こいつ次第だ」


 何故か俺様皇子から頭をポンポンされてしまいました。

 モフモフ尻尾まで失ってしまったら、俺様皇子に何の価値があるというのですか!



 *


「こいつはガキか? 食べながら寝落ちしたぞ」


 銀髪の少女の首根っこを持ったアークのお陰で、テーブルの上にあるお皿に顔をダイブすることをオリヴィアは避けられていた。


「疲れているのですよ。夜遅くまでかかって町の浄華をしてくださったお陰で、我々が動けるのですから」


 金髪の少年がオリヴィアの前に出されていた料理を片付けながら言う。

 今回の作戦のためには町の中の浄華は終わらせておく必要があったと。


「聞きたいことがあるのだが……なんでそいつはさっきから微動だにしていないんだ?」


 聞きたいことがあるというアークは全身を金属の鎧に覆われたものを見ながら言った。ある時点から、近衛騎士団長であるブライアンが置物のように動いていないのだ。


「それはいつものことなので、放置していいですよ。動き出すには少々時間がかかりますので」


 己の上司の人物を敬っていない言動をしているべルルーシュ。他の近衛騎士もこの現状をいつも通りだと受け止めているのか、護衛としての己の職務を全うしている。


「まぁいい。俺が聞きたいのはべルルーシュ。お前のことだ」

「え? 僕? ……私のことですか?」


 思ってもみなかったことなのだろう。思わず素のべルルーシュが出てきてしまったようだ。


「お前は誰だ? オリヴィアの周りの奴らでわからなかったのがお前だけだ」

「流石、最凶と恐れられたアークジオラルド皇子です。二日ぐらいしか王城にはいなかったのに、いったいどのような能力をお持ちで?」

「はっ! 俺が言うと思うのか?」

「いえいえ、滅相もありません。そうですね。では改めまして、王家直属のベルア部隊の第一部隊を任されております。べルルーシュと申します。因みに本名が知りたければ、僕と結婚すればわかるよ」


 真面目に自己紹介をしていたべルルーシュだったが、最後の最後で締まりが無くなってしまった。


「ああ、噂の死神部隊か」




*ブライアン。オリヴィアに褒められて、歓喜に打ち震えていますw

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