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浄華の聖女に癒やしのモフモフを〜皇子への愛は全くないですわ〜  作者: 白雲八鈴


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第38話 私、やばくないですか?

 アン様はおつきで来ていたシスターたちに引き取ってもらいました。


 ええ、お歳を召したアン様にはシスターたちが付き添いでついてくれているのです。

 それに夜通しで無理をして駆けつけてくださったのでしょう。おつかれでしょうから、私が使っていた寝室に運んでもらいました。


「外がお嫌いなアン様が、教会の外に出るなんて……」

「襲われたとお教えしましたら、とても慌てておいででしたね」

「教えたのは神父様ですか! なぜ、黙ってくれていなかったのですか!」


 聖女のお務めで色々あったアン様に何を言っているのですか! アン様を心配させたのは神父様ではないですか!


「こうでもしないと、治癒の聖女様は外にでないでしょうからね」

「何を考えているのですか?」


 今までアン様の力を望む人々が多くいることぐらいわかっているはずです。しかし、アン様にその力を使うことを強要することはありませんでした。


 何故に今回は、アン様のトラウマを呼び起こす情報を与えたのです。


「オリヴィア」

「な……なにですか?」


 にこやかな顔をして近づいてくる神父様に、とても逃げ出したい衝動にかられます。が、何故か私は俺様皇子に捕獲されています。


「今、治癒の聖女様の恐怖の浄華を行えばどうなると思いますか?」


 恐怖というのは、アン様の過去に起こったトラウマ化している事件に対する恐怖心の浄華。


「アスタベーラ老夫人の病の治癒を行ってくれると思いませんか?」

「え? でもそれは……」

「そうすると、アスタベーラ老公に恩を更に売ることができて、オリヴィアの望む魔獣をいただけるかもしれませんね」

「はっ! モフモフパラダイスが教会に出現!」


 これは私が、幸せの日々を送れるということではないですか!


「おい。だから良いように使われていると認識しろ」


 俺様皇子から頭をパシッと叩かれてしまった。痛い。


「俺がいることわかって言っているのか? 今まではそれで騙せただろうが、それは通じないぞ」

「わかっていますよ」


 神父様はそう言って、元いた席に戻りました。あの、私のモフモフパラダイスの話は嘘だったのですか?


「国が一枚岩ではないといった話の続きですよ。ここに到着したときに、老公から情報をいただきましてね」


 第一線を退いても、老公の影響力は大きいと言われています。その老公からの情報ですか。


「厄介な人物が裏で動いているという話です。それで、老公から護衛の増員をという申し出をしていただいたのですよ」

「厄介な人物とは?」

「流石にここでは口にするのは(はばか)れますね」


 ん? でもここには、俺様皇子と神父様と護衛たちしかいないのに?


「この話を聞いたので、浄華の聖女のオリヴィアの周りを早急に固める必要ができましてね。婚約の誓約書を急いで用意したというのがあります」


 よくわからないけど、聖女が邪魔だという人が私を排除しようとしているらしい。

 その情報を得た老公は、私に新たな護衛を用意してくれたらしい。

 でも、何故かその護衛がごっそりと法国の者と置き換わっていたと。


 あれ? もしかして老公の近くに私を邪魔だと思っている人がいるから、ここでは口にできないと神父様は言ったのでしょうか?


「それと治癒の聖女様の同行は、今後のことを見越してですね。こうでもしませんと、動かない方ですから」

「その聖華会で、なにかあるといいたいのか?」

「ええ、ハイラヴァート公爵家が強引な手をつかって、ファルレアド公爵家を引き込んだぐらいですから」

「は?」


 エリザベートとロベルト様の婚約は、その何者かに対しての牽制だったと!


「私、やばくないですか? エリザベート様がロベルト様を婚約者にしなければならないほどって」

「ええ、おバカなオリヴィアを守るために、ファルレアド公爵子息の剣と魔法の腕は良いですからね」


 神父様から何か失礼なことを言われました。そこまで私は馬鹿ではないです。


 それからロベルト様は、私の婚約者となられてから、剣術と魔法を極められて、遠出をするときには私の護衛もしてくれていました。

 人前で私が話そうとすると、背後から突いてくるのもロベルト様でしたが。


 そう、あの『しゃべらなければ、可愛い』という解せない褒め方をするのです。


「おかしな話だな」


 そこにアークが口を出してきました。そうですよね。おかしいですよね。

 ハイラヴァート公爵家でしたら、エリザベートを守る護衛ぐらいいくらでも雇えますよね。


「それでは、ここでは話せないというより、あちらこちらに耳があると言っていることと同意義だな」

「ご理解が早くて助かります」

「それで、俺を獣の姿でと言っているのか?」

「はい」

「お前、相当に性格が悪いな」

「あのアークジェラルド殿下からそのようなお言葉。お褒めに預かり光栄ですね」


 アークはクククッと笑い、神父様は綺麗な笑みを浮かべている室内は、急激に温度が下がったような気がします。

 ええ、壁際に控えている近衛騎士の人たちが、ガタガタと震えているので気の所為ではないでしょう。



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