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浄華の聖女に癒やしのモフモフを〜皇子への愛は全くないですわ〜  作者: 白雲八鈴


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第34話 また目を開けながら寝ているのですか

「どうしてモフモフがいないの!」


 私はガタガタと揺れる馬車の中で嘆いていました。


「お借りした魔獣に何かあれば、弁償できないからね。それはアスタベーラ老公にお返ししてから、迎えにくるように言うよね」


 聖女専用の馬車の中にいたモフモフたちが、いなくなっていたのです。私の癒やしのモフモフたちが……。

 確かに私は騎獣には乗れないので、馬車が迎えに来てくれたのは、とてもありがたいことです。

 ですが、私の馬車が暗い山道を登ってくるのが見えたとき、どれほど期待していたことか……。


「しかし、これはまた中途半端な浄華をしましたね。もう少しで完璧な姿になったのではないのですか?」


 そして、モフモフの代わりに馬車の中が暑苦しい感じになっています。

 私が攫われた馬車に張り付いていたため帰りの足がないべルルーシュ。

 私に小言を言ってくる神父様。

 私を抱きかかえている俺様皇子。ケモミミがないけど唯一黒い尻尾が残っています。が、残念すぎます。


「別にあれから、オリヴィアの浄化に付き合ったわけじゃないからな。知らん」


 アークはあの時は眠らされていたので、知らないと思います。


「モフモフアークが不自然にぐったりしたから、毒かなにかわからないけど、浄華をした。けど! まさかケモミミがなくなるなんて、理不尽過ぎる」

「やっぱり五分五分か。このまま行けば思っていたより早く元の姿に戻れそうだな」

「私には、モフモフ愛しか無いと言っているよね!」


 何が五分五分なのよ!

 それから、何度も言うけど、呪いは専門外だから普通では無理なの!


「攫われたのに、思っていたより普通だね。もっと取り乱すと思っていたよ」

「頭の中にモフモフしか詰まっていないからだろう?」

「そうですね」


 それってどういうことかな?

 だって、私は浄華の聖女だからね。それ以上でもそれ以下でもないの。


「大丈夫そうだから、僕は外の護衛に戻るよ」


 べルルーシュはそう言って、走っている馬車の扉を開けて、外に飛び出ていきました。

 あの……山道とはいえ、走っている馬車から飛び降りるのは無いと思います。



 *



 馬車から飛び降りたべルルーシュは、後方からついてきている近衛騎士と走って並走していた。月明かりが木々の葉の間から地面を照らしているだけで、足場が確認できないにも関わらず、べルルーシュの移動速度は一定だった。


「お荷物の方は、どうかな?」

「大人しく眠ってもらっていますよ」


 そういう近衛騎士の背後には布に包まれた長い物体が馬にくくりつけられている。


「ジークフリート様の命で、君たち三人は再び王城に戻るようにということだよ。あと、聖女様の無事はまだ伝えなくていい」


 普通であれば、団長であるブライアンが部下に命じるところだが、そのブライアンと言えば、馬車の前方の護衛についている。だから、べルルーシュが侍従として団長の補佐をしているのだろう。


「はっ! しかし、国王陛下には浄華の聖女様の無事の報告を伝えるべきかと愚考いたします」

「よっと……」


 べルルーシュは、走っている予備の馬型の騎獣に飛び乗り、国王陛下には報告するべきだと言った者を見る。

 正確には夜の暗がりの中、明かりをともさず移動しているため、言った者の姿はハッキリとは認識できていない。

 いや、皆一様に金属の鎧なので一見では区別がつかない。ただべルルーシュのみが身軽な騎士の隊服だった。


「さぁ? 僕は一介の侍従だからね。お偉いさんの考えはわからないよ」


 自分はただの伝言を伝えるものでしかないとべルルーシュは言う。しかし、そう自称する割には自己判断で行動をしていたようだが。


「僕は団長にその事を伝えておくから、君たちは峠を下ったら、そのまま王都に向かってくれていいよ」

「はっ! 了解いたしました!」


 今度は反論する言葉が出てこなかったので、べルルーシュは騎獣を促し、馬車の前方へと進んでいく。


「団長。団長! また目を開けたまま寝ているのですか?」


 呼びかけても微動だにしない鎧に、べルルーシュは声をかけた。しかしフルフェイスを被っているため、目を開けているのか閉じているのかはわからない。


 そもそも、護衛の任について寝ているということなどありえないのだ。


「団長は歓喜に打ち震えているので、聞こえていないだけだと思いますよ」

「またですか」


 声をかけても反応を示さないブライアンの心情を、他の近衛騎士が推し量る。それに対して呆れた言葉を返すべルルーシュ。


「妄想するのは勝手ですが、仕事はきちんとしてくださいよ。団長の所為で、僕の給金を下げられるのだけは嫌ですからね」


 どうもオリヴィアが泣いていたのは攫われたからではなく、モフモフのことで泣いていたのだと知っているべルルーシュは、事実をブライアンに告げずにいた。


「人がいい聖女像は必要だからね〜。まぁ、基本的に浄華の聖女様は、お優しいのだけど」


 中身はどうあれ、聖女であろうとしているオリヴィアは人がいいのであろう。



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長々と失礼しました。

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