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浄華の聖女に癒やしのモフモフを〜皇子への愛は全くないですわ〜  作者: 白雲八鈴


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第32話 人形聖女?誰のことですか?

 外が騒がしくなってきました。

 どうやら迎えがきたようです。が、私の棺もガタガタしています。

 できれば、安眠している風に放置してください。


「早い。早すぎる。聖女には発信器になるような魔道具がついていないと確認したはずですよね!」

「もちろん、念入りに調べました」


 え? 何をどこを調べたのですか?

 思わず衣服を着ているのか確認します。

 問題ありませんでした。


 ということは、魔道具が無いかを確認されたということでしょう。


 バキッという音と共に、暗闇に明かりが入り込んできました。

 どこが入口かわからないと思っていたら杭を打っていたのですか……それ、死んでしまいますわ。


 そして緑の瞳と視線が合いました。


「目覚めていたということは、貴女が護衛たちを呼んだのですか!」


 いいえ、私は魔法はさっぱり使えません。


「転移の準備はできましたか!」

「しかし、転移は……」

「私とこの聖女が飛べればいいのです! 早くしなさい!」


 自分勝手な人ですね。

 自分さえよければ、それでいいのですか?


「立ちなさい。人形聖女なら人の言う事を聞くでしょう!」


 え? 何か変な言葉が聞こえてきました。私が意味がわからないという顔をしていると、腕を捕まえられて引っ張り上げられました。腕が痛いです。


『人形というほど可愛らしいものか?』

「ひっ! 獣!」


 私の目の前には黒いモフモフが!


「モフモフアーク!」


 何かを足蹴にしていますが、そんなものはお構いなくアークに飛びつきます。

 私の癒やしのモフモフ……ちっ。一瞬でモフモフが居なくなってしまいました。


「いきなり飛びつくな! こいつを押さえているのが見えないのか!」

「残念なケモミミおう……な……なぜケモミミ皇子からケモミミが無くなっているの? 残念すぎる」

「残念なのはお前の思考だ」


 なにこれ? 何故にケモミミ皇子のケモミミが無くなっているわけ?

 唯一の可愛らしさが無くなってしまっているじゃない。


「おい、べルルーシュとか言ったか、馬車を奪え!」


 アークは床に転がっているアスタベーラ公爵子息に捕縛の魔法をかけながら、べルルーシュに命じています。

 その姿は流石帝国の皇子と言っていいですが、何故にケモミミが無くなっているのです。


「何故ないの? あの可愛い丸い耳はどこに行ったの?」


 抱きついていた私はいつの間にかアークに抱えられていますが、そんなことよりも黒髪をワシャワシャして丸い可愛らしいケモミミを探します。


「おい」

「ケモミミが……アークの利点のケモミミが」

「助けにきた俺にいうことがそれなのか?」

「うわぁぁぁぁん!」


 残念過ぎる。


 グズグズと泣いている私は、アークに抱えられて馬車を降りました。


「浄華の聖女様。この度のことは私の判断ミスであります。どのような処罰も覚悟の上です」


 そこに鎧が地面に跪いた状態でいました。

 別に今回はブライアンが悪いわけではありません。


「ぐずっ……誰もアスタベーラ公爵子息が法国と……ぐずっ……繋がっているなど思って……ぐずっ……はいませんでした。私は無事です……ぐずっ……今回は私の甘さもありました……ぐずっ」


 楽園を堪能できなかったことに意気消沈していたことで、色々怠っていたのを認めます。

 アークが言うには、睡魔の香が焚かれていたそうなのですが、あまりにもの穢れに辟易していたのもあり、確認を怠っていました。


「聖女様はなんて健気なのでしょうか」

「御自分が攫われたのですから、護衛の我々に怒っていいのに……」

「泣きながらでも、我々の擁護をしていただけるなど……」


 周りの護衛たちも跪きながら、感嘆の言葉を漏らしていますが、私が泣いているのはアークに対してです。


「それと、浄華の聖女様。このようなときにお尋ねするのも失礼なのですが、どう見てもその方は帝国のアークジオラルド皇子と思われるのですが」

「アークはアークです。私は初めからアークと呼んでいましたよね」

「しかし黒魔豹(ラフェシエン)は奴隷商でご購入したものですよね?」

「近衛騎士団長。その場にいた貴方が再度そのようなことを確認するのですか? ぐずっ」

「だから先に言っただろう。人の姿になるから、攻撃はするなと」


 どうやら、アークは私がモフモフも抱き付くをことを考慮して、事前に護衛たちに言っていたようです。


「これ程の者たちがいて、この体たらくはなんなのでしょうね?」


 そこに神父様の声が聞こえてきました。早すぎます。

 普通は一日で王都まで往復など無理ですよ。

 そう思いながら声がした方に視線をむけますと、暗闇から騎獣に乗った神父様と数人の護衛たちが現れたのでした。


 あ、早駆けで王都まで往復したということですか。


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