表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浄華の聖女に癒やしのモフモフを〜皇子への愛は全くないですわ〜  作者: 白雲八鈴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/58

第19話 馬鹿聖女とはどういうこと!


「しかし、それだと我が国の意向に添えませんので、却下ですね」


 国の意向ですか。聖女を他国に渡すことは断固拒否ということなのでしょう。


「今の俺にとって帝国などどうでもいい、なんならぶち壊してやってもいい。この呪いを解けるのであれば、この馬鹿聖女のおもりをかってでようと言っているんだ」

「どうして私が馬鹿聖女なのよ! ちゃんと仕事をしているわよ!」

「またしても、こんな中途半端にして言うのか!」


 私の両頬が肉球に挟まれました。


「肉球のサンドイッチや〜!」


 そう、神父様の前でアークをケモミミ皇子にすることに戸惑ったために、アークの手は黒豹の肉球がついた手になっているのです。

 ですから、私はモフモフ愛しかないと言っているではないですか。


「この頭の中に『モフモフ』しか詰まっていない馬鹿聖女の面倒をみてやる。それは呪いが解けるまでの話だ。その後に貴殿だろうが、あの近衛騎士だろうが、婚約者になればいい」

「アーク。それは何も変わっていないのと同じ。あと私は皇子に対する愛は全くありません。なので、解呪されることは一生無いので、他を当たってください」


 別の案を出すといいながら、結局時間稼ぎをしただけになっているではないですか。

 私は絶対に神父様もブライアンも嫌です。


「流石にガレーネ帝国のアークジオラルド皇子を浄華の聖女の婚約者にとは、ここで決められることではありませんね。あとオリヴィアが馬鹿なのは同意します」


 神父様、酷い。


「馬鹿なら聖女なんてやってないです!」

「公私混同するところが馬鹿なのですよ。お務めに行って、町の中で猫を追いかけて裏路地に迷い込むとか、子犬を追いかけてドロだらけになって戻ってくることが今まで何度ありましたか?」

「数えられないぐらい」

「そういうところです」


 モフモフは正義です。モフモフがいれば全てが癒やされるのです。

 モフモフがいれば……全て逃げられてしまいましたけど。


「ではガレーネ帝国など関係なく、アークジオラルドという名を使えばいい。相手がどう受け取るかは、そいつ次第というものだ」

「しかし、それにしてもです。聖女の婚約者となると、聖女が人前に出るときは側にいることが求められます……が」


 神父様はケモミミ皇子のケモミミに視線を止めています。そうなのです。聖女という存在は神の力が使えるとかなんとか国民に知らしめてしまったために、聖女の力を得ようとする者が後を絶たなくなってしまったのです。

 そのために教会と近衛騎士に守られるか、権力のある貴族の家に守られるしかなくなったのです。


 それをひと目で知らしめるのが、聖女の側に控える者の存在です。


 私は今まで厳つい近衛騎士の鎧共とファルレアド公爵家の護衛の鎧共に囲まれて、聖華会を過ごしていたのです。

 それはもう近づくのが気が引けるというもの。

 そして、王族の血を引くロベルト様の存在です。


 神父様ほどではありませんが、キラキラ王子と言っても過言ではありません。


「それは、こいつ次第だ」


 私の頭の上に肉球の手が置かれました。


「ブレが酷い。良くて耳と尻尾が残るぐらいだ」

「だから、モフモフ愛しかないと行っていますよね?」

「それも時間がマチマチだ。この状態だとそろそろ切れる。この馬鹿聖女のおもりと護衛を受け持ってやる。だから、この呪いを解除する邪魔はするな」


 そういってケモミミ皇子はボフッと音を立てながら黒豹の姿に戻ってしまいました。


『ちっ! 短すぎだろう』


 文句をいっている黒豹が私と長椅子の背もたれの隙間から出ていき、長椅子に寝そべりました。

 そして黒くて長い尻尾が私に向ってバシバシと振り下ろされています。


「モフモフ尻尾に叩かれるって、凄くいい!」

「はぁ……」

『はぁ……』


 呆れたようなため息が一人と一匹から漏れ出てきました。

 なんですか? 野良のにゃんこちゃんには近づくこともできないのに?尻尾なんてさわれないじゃないですか!


「まぁ、婚約者の件は保留ですね。オリヴィアの制御と護衛はお任せしますよ。しかし、聖女の純愛による能力の向上ですか……オリヴィアに? 成功率は半々でしょうね」


 どこに半分も成功する確率があるというのですか!


『そうだな。五分五分と言ったところだろう』


 そして、アークも同じ意見でした。私は十割ないと思うわよ。



 そして、翌朝の朝食のとき。金髪の頭を視界に収めながら、食事をとっている状況です。


「はぁ。もういいって私は言ったわよね?」


 ブライアンです。それもフルフェイスをとって私に頭を下げてきているのです。


「しかし……」

「私は嫌よ! 寝室まで護衛を入れるなんて!」


 夜中に起こったことへの謝罪をされているのです。そして対策として護衛を私が使う寝室に入れるということを言われたのです。


「では、ジークフリート様か私では如何ですか?」


 それ絶対に私が睡眠不足になるやつじゃない。


「却下。モフモフ以外却下」

「では、着ぐるみを着て……」

「近衛騎士団長。それを実行すると着ぐるみごと浄華しますわよ」


 ブライアン。貴方にプライドというものは無いのかしら?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ