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浄華の聖女に癒やしのモフモフを〜皇子への愛は全くないですわ〜  作者: 白雲八鈴


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第18話 これはまさに究極の選択……死

 アークの呆れた声が聞こえてきました。

 いったい何が理解していないのですか?


「オリヴィアなら、そう言うと思いましたよ」


 しかし、神父様は理解してくれています。

 私は関係ない。そういうことですわね。


「今までファルレアド公爵家の婚約者という名に、どれほど守られていたかということですよ」

「ええ、ロベルト様には今まで良くしていただいたと思っております」


 私が聖女として立つ場では、必ずいてくれてエリザベートとの仲裁をよくしていただきましたから。


「そうですね。オリヴィアの婚約者は今は誰もいないということですね」

「はい。婚約破棄されたのでいません」

「ということは、聖女の力を自由に使える婚約者の立場に収まりたいと思う輩が発生するのも理解できますか?」

「……私の力は私の自由ですが、婚約者の自由ではありません。あとは国の自由ではありますね」


 ロベルト様は、一度も私に聖女としての力を使って欲しいと言ったことはありません。

 それは使えない浄華の力だったからでしょう。


「そうは思わない者は大勢います。ファルレアド公爵家相手に喧嘩を売るのは腰が引けるものですが、教会相手になら喧嘩を売れると舐めた真似をする者がです」


 うげっ! 神父様が綺麗な笑顔を浮かべています。これは激おこの表情です。


「ですので、早急に婚約者を決めることにしましょう」

「え? 嫌です。モフモフで満たされている私に、婚約者はいらないです。それにその話だと、公爵家クラスじゃないと駄目っていうことですよね! あ……前アスタベーラ公爵様の愛人で!」


 前アスタベーラ公爵夫妻は、とても仲が良い夫婦なのです。奥様の病を浄化したときに、私にモフモフの素晴らしさを教えてくれた方なのです。

 そして、定期的にモフモフ……奥様の病の浄化のために訪ねることがあるのです。とても孫のようによくしてくださるのです。

 モフモフの……前アスタベーラ公爵様の愛人なら喜んでなりましょう。


「ふぎゃ!」


 クッションが、神父様から飛んできました。酷いです。


「いいでしょう。そんなオリヴィアには選択死を与えましょう」


 え? 何か違う意味に聞こえたのだけど、選択肢でいいのよね?


「私かブライアンか、どちらがいいですか? 王族ですからね。その辺りは全く持って問題はありません」

「いやぁぁぁぁぁぁぁ! これは死ぬ! 絶対に死ぬ!」


 九割が意地悪な神父様と、話が噛み合わず意志の疎通ができない近衛騎士団長のブライアン。

 まさに選択死。


『それは困るな』


 そこに、今まで黙っていたアークの声が聞こえてきました。え? どうしたの? 大人しくモフモフに擬態しておいてよ。今はモフモフだけど。


『オリヴィア。目の前の神父以外を人払いしろ』

「え?」


 いや……護衛をしなくていいよと命じるのは、何故かどよーんと凹んでいる近衛騎士団長だからね。

 私にその権利はないよ。


『早くしろ。俺が別の提案をだしてやろう』

「え? 別の案?」

「オリヴィア? さっさと決めないとブライアンになりますよ」


 それは神父様も嫌だと言っていますよね? そして私は神父様もブライアンも嫌です!


「あの……神父様。二人っきりで、話したいことがあるので、護衛を下げてくれませんか? もう、この場は安全になったのですよね?」

「ほぅ。オリヴィアにしては珍しいことをいうものですね」


 目を細めながら私を見ないでください。私も神父様を選ぶことはありません。



 そして部屋の中には神父様だけになりました。因みに、どよーんとした空気をまとったブライアンは、部下の人たちに連れ出されていました。

 本当にどうしたのかな?


『オリヴィア。俺を人の姿に戻せ』

「え? いや……それは……」

『いいから、戻せ』

「オリヴィア。もしかして、その魔獣と意志の疎通ができるとか言わないですよね? それほど今回のことがショックだったのですか? それなら旅の行程を見直しましょう」


 神父様から精神的にまいってしまっている人扱いされてしまった。モフモフ好きから一人芝居している怪しい子扱いをされる前に、訂正しておかねば……。


 私は背もたれにしているアークから一旦離れ、その背中に顔を埋めるようにモフる……口づけをする。


「突然、すまないが、その件に立候補してもいいだろうか」


 立候補? もしかして、私の婚約者という者に? ケモミミ皇子が?


「アーク。それは大して変わらないと思う」


 王族か皇族かに違いはないと思う。

 そして私は、何故かケモミミ皇子に背後から抱かれている状態になっていた。何故に?


「オリヴィアにこの呪いを解除してもらわないといけないからな。その役目を俺に譲って欲しい」

「ガレーネ帝国のアークジオラルド皇子は、戦場で命を落としたという噂ですが……偽物ですかね?」

「はっ! 俺が簡単に殺されるか! だから奴らは、こんな呪いを頼るしかなかったということだ」


 さすが神父様。この状況で動じないなんて、ハラグロ神父の度量の半端なさが窺えます。怖いわ。



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