第8話 アスフォデルVS孔明。
何時まで経っても現れない白馬に乗った王子様…。そんな世界に飽きた。何も変わらない退屈なこの世界に飽きた。そう思っていた主人公雷葉 聖〔らいは ひじり〕に突如として起きた変化。それは、彼女が願った新たなる人生の幕開けだった。
遂に明かされた仮面を身に着けた男...
その人物の名は、アスフォデル・アルスラーン。
彼が、目論んでいたのは…。
ディオサプラ王国崩壊と滅亡。
そんなことはさせないと僕、聖と執事の孔明さんはアスフォデルに挑むのだが…。
聖がアスフォデルからの不意打ちを喰らってしまう。
だがその行動が孔明さんの怒りの感情に火をつけてしまうことに...
そして、今始まる。
護るべきものの為に戦う一騎打ちが。。。
怒りの炎が孔明さんを包み込みどんどんと火力を上げていく。
それに対抗してか、アスフォデルも自身の力を解放する。
「では、魅せてやろう。これが...小生の力だ。」
「解放。。。闇を喰らう者【ダークネス・イーター】」
遂に解放されたアスフォデルの能力...闇喰らう者。
彼が使うその能力は想像をはるかに超える力だった。
孔明さんは、苦虫を嚙み潰したような顔になりはしたが…
自身の頬をパンと叩いて気を紛らわさせる。
「くっ…。なんて力量差。これは、流石に一筋縄ではいかぬな。だが、わたくし孔明...どんなに強き相手であろうと戦うまでであります。」
孔明さんは、そう言い放つと自身の力をどんどんと解放していく。
二人が力を魔力を解放していくことによって、周りの空気は緊張感漂うピリピリとした空気感になる。
大気は力の気迫によって乱れに乱れて時より暴風が吹き荒れる。
そして、宙では稲妻が右往左往して雷鳴が轟く。
聖はあまりの変わりように言葉が出ずにいた。
そんな中、一瞬だけ嵐が止んだ...その時。
ついに、孔明さんとアスフォデルが衝突した。
物凄い勢いで二人がぶつかったときの衝撃波があたりに降り注ぐ。
木々は幹の中心から砕かれて岩々は砂粒になるかのように粉々に割れる。
聖も、危うく衝撃波の波に吞まれる寸前になりかける。
「すごい…。なんて激しい戦いなんだ。今の僕の力だと奴はおろか孔明さんの足元にも及びもしない。」
聖は思わず心の声を口に出してしまうほどに、二人の戦いの激しさを物語っている。
衝突をするたびに、衝撃波があたりに降り注ぎまるで暴風雨の中に居るような感覚に襲われる。
「孔明...と言ったな。小生と此処まで渡り合えるなんて大したものだ。だが、準備運動はこれくらいにして…。さてと、本気を出しますかな?」
アスフォデルはそう言い、にやりと不敵な笑みを浮かべ孔明さんを凝視。
その不敵な笑みを見て孔明さんは、一筋の汗を流す。
「準備運動だと…?貴様。本気ではなかったという事か…。致し方無いアレを使うしかないな。」
そう言って孔明さんは秘策を使ってしまうことになる。
「この力は反動ダメージが大きすぎるからあまり使いたくはないが...やるしかない。限界突破!!!」
遂に、孔明さんが秘策としていた能力の限界突破を解放する。
だが、この力には落とし穴があった...
それは、能力を使用した後にやってくる身体への反動ダメージだ。
使い方を間違えたりすると、身体が壊れてしまうという諸刃の剣だ。
だからこそ、孔明さんはあまり使いたくないといていた理由がそこにあったのだ。
そんな孔明さんを見てアスフォデルが口を開く。
「成程な。それが秘策か孔明!!!だが、それでも小生に通用するかな?来たまえ。」
そう言ってアスフォデルが孔明さんを煽る。
それに対抗するかの様に、孔明さんも口を開く。
「やってみるしかないのさ...なんせこの力を使うのが初実践だからな!!!喰らえ...断罪の光~上限解放~!」
そう言い放ち、アスフォデルの方へと攻撃を仕掛ける。
それに対抗しようとアスフォデルも技を放つ。
「孔明が光なら...小生は闇ぞ。闇の砲撃【ボムバードメント・ダークネス】」
二人が放った魔力のエネルギー波が衝突する。
稲妻が二人の間を駆け巡りその威力の激しさを表している。
「ははははは…孔明よ。小生はまだまだ本気を出せるぞ。孔明お前さんはそれが限界か?だとしたら、期待外れもいいとこだ。」
「限界・・・そんなものは乗り越えるのがわたくし孔明の意思よ。まだまだ負けられぬ…。お嬢様の為にも、聖様の為にもそして。。。ディオサプラ王国の為にもわたくしがやらねばいかぬのだ!!!」
そう言い放ち孔明さんは、押され気味であったエネルギー波を押し返すが…。
その様子を見ていた聖が何かの異変を察知してしまう。
そして思わずそれを口に出してしまう。
「未来視…。不味い...孔明さん!よけて~!!!」
そう聖が叫んだ時にはもう既に遅かった。
孔明さんがエネルギー波を押し返した時アスフォデルが、にやりと笑い両手から闇の砲撃【ボムバードメント・ダークネス】を放つ。
そして、孔明さんのエネルギー波を押し切ってしまい・・・
結果的に孔明さんはアスフォデルが、放ったエネルギー波に飲み込まれてしまいその瞬間、エネルギー波が爆発する。
そして、煙がはれると‘‘はあはあ‘‘と息を切らしている孔明さんが居た。
そして、力が抜けるようにして気を失い地面へと落ちてくる。
聖は、すぐさま孔明さんが落ちてくる場所へと駆け寄り降り落ちて来た孔明さんをキャッチして孔明さんに、声を掛ける。
「大丈夫ですか?孔明さん。しっかりしてください。」
少し目に涙を浮かべながら聖は孔明さんに話しかけるのだが…。
完全に気を失っていて返答ができない状況にあった。
そんな中、アスフォデルが聖に声を掛けてくる。
「次は、小娘。お前の番…。と言いたいところだが、小生はやるべきことがある為、ここでおさらばとさせていただく。それと、孔明が目覚めたときに言っておいてくれ。‘‘お前の力程度なら小生に勝つには程遠いとな‘‘」
そう言ってアスフォデルは遥か彼方へと飛び去り消えていった。
そして、聖がアスフォデルが飛び去った方を見たときには・・・
アスフォデルの気配は消え去っていて、先程まで荒れに荒れていた暴風が嘘だったかのように、穏やかなそよ風へとなっていた。
こうして、アスフォデルと孔明さんの戦いにひとまず終止符が打たれたのだが…。
孔明さんは多大なる反動ダメージを受けて動けない為、聖が抱きかかえ城まで運ぶことになったのだ。
―ネオフェイ家 城―
聖は、孔明さんを抱きかかえながらシャルが待つ城へと帰って来たのだが・・・
城へ着くなり聖と孔明さんのあまりの様子に従者さんたちが駆け寄ってきた。
「お帰りなさいませ御二人さん...って孔明さん大丈夫ですか?聖様もお怪我はありませんか?」
「僕は大丈夫ですけど…。孔明さんが、重症です。急いで部屋へと運んではくれませんか?」
「承知致しました。聖様、少しお力添えを」
そう言って、従者さんたちに手伝ってもらいながら孔明さんを部屋まで運んだ。
その間に、シャルが聖たちが帰って来た音で目覚めていた。
そして、シャルも一緒に孔明さんの部屋までやって来たのだ。
孔明さんをベットで寝かせてシャルが治癒能力で孔明さんの手当てをする。
「まだ、私も本調子ではないけど…。少しなら…回復魔法【ヒーリング・リペア】」
シャルの回復魔法で少しずつ受けた傷やダメージが回復されていく孔明さん。
そして、ある程度回復を終えてからシャルが話し出す。
「ふう…。こんなものね。これだけ回復魔法を使ったからそうね...二日もあれば完全に回復して動けるようになるわ。流石に、私も此処まで魔力を使うのは久々過ぎるよ。」
そう言ってシャルは自室へと戻って休むことにしたのである。
かといって聖もそれなりに体力の消耗をしていたので、自室へと戻りしばしの間体力回復に努めることに…。
こうして、慌ただしくも長かった一日が終わったのだが...
今回の戦いで明らかに、聖の力はまだまだ開花と言えるほどのものではないことが痛いくらいにわかった。
そして何より、アスフォデルが全力すらも出さずに孔明さんに痛手を負わせるくらいに強大な敵なんだと実感した。
だからこそ、心に誓った。
今のままじゃあ、シャルを護りきれないし更にはディオサプラ王国すらも護れないからもっともっと...
強くならなければいけない。
そう心に決めて聖は、眠りについたのであった…。
聖〔ひじり〕は、シャルスタ王女の秘書を務めるのと同時に彼女の警護もすることになるのだが、聖とシャルスタ王女に降りかかる数々の試練を乗り越えて行けるのであろうか…。