敬愛なる奏者達
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
何時も楽しみにしてます。
一期一会の関係ですが、人となりは何となく分かります。
改めて、昔は良く延々と練習してたなーと。
自主練は心を折りにかかります。
定期的に訪れる奏楽会がある。何時も弦楽器の演奏を行っている。本日も観客として顔を出して、座席に腰を掛けた。舞台を見ると奏者の方が一音一音鍵盤を叩きながら、調律を行っていた。音程は分からない。けれども響き渡る、細い声が楽器の素質を表していた。
本日は良い日だ。こうして開演前に音に触れる事が出来るなんて。そう、黙って眺めて早数分、調律が終了したのか、奏者の方は舞台裏に姿を消した。
何度か訪れて分かった事。項目は凡そ二、三曲。全て奏者自身が選曲し、長曲の一部、または短曲を大体半刻以内に終わるように計算されている。殆ど知らない曲ばかりであったが、バッハの曲が多い。それだけ偉大な作曲家であるという事を此処で知った。
三分程で終わる序詞が終了。美しくも焦燥を掻き立てる様な滑らかな演奏。瞼を閉ざして開けた後には、既に座席を立っていて物静かに一礼をしていた。長い、一礼だった。
演者の方の解説が入る。演奏はとても素晴らしかった。けれども舞台上で話す事は苦手な様で、少し声が篭っていた。時折挟まれる音楽用語が言葉の難解さに滑車をかける。けれども台本を持たず、懸命に話す姿は真面目な人となりを静かに語る。
次の曲は一曲が半刻程あるらしい。とても長い曲。作曲者はバッハだった。長い曲ゆえ、曲調が数分置きに変わる。しっとりする事もあれば回転の早い時もある。一幕、一幕終わる事に音が止んで、それでもなお、演奏を続ける。
ずっと指を回し続けるのは大変だろうに。息を着く間も無いだろうに。それでもずっと、鍵盤の上を舞い続ける。それが出来るのは、偏に好きだからだろう。人前で演奏する事が好きだからだろう。
「どうだった」
「えぇ、今日もとても素敵でしたよ。勿論、何時も素敵で御座いますが」
「そう」
前の方は楽器の仕組みに着いてお話していた、更に前の方は作曲者について。その前は観客の多さに驚きの声を零す。楽しそうな方も、緊張なさる方もいらっしゃった。けれども皆様共通して、音楽を愛しているようだった。
「皆様、よく考えて選曲なさるんですよ。記念に合わせて、歴史に合わせて。本日は序曲故に前奏曲で御座いました」
確かにあれ程の大曲を演奏する前には、前奏曲があるのが相応しい。よく練られている。考えられている。
「当たり前だけど、演奏家は真面目な人が多い。発表時間は練習時間と比べて一握りしかない。そんな儚いもの心血注いで指を、腕を動かし続けるんだ。好きじゃないと、真面目じゃないと、向き合えないよ。君もそうだったろうに」
「もう足を洗ってしまいましたがね」
演奏と奏者さんの解説が入った半刻程の演奏会があるんですよ。
一曲演奏した後に解説行って下さるんです。
記念日と作曲者の関係を意識しました。
宗教曲が多いイメージですが、あえて別の曲にしました。
この土地に関わってきた方も多いと思うので、選曲しました。
この楽器はこうやって音を出してるんですよ。等々。
ぶっちゃけ、言われなきゃ分からない事ばかりです。
小ネタとか、理由とか知るのが好きなので、有難いです。
皆さん、担当楽器が好きだし、音楽が好きなんだなと。
だから少しでも知って欲しくて、馴染み易い解説挟むんだなと。
本日の方、演説は苦手だけれども、人前で演奏するのが好きな方なのだと。
大曲だけでほぼ十分過ぎる程の長さなんですけど、前奏曲用意して序盤の構成意識してましたし。
曲調が変わるとはいえ、一呼吸入れられるとはいえ、気が休まるとは思いませんし。
好きじゃなきゃ出来ませんって。
今まで『凄いな〜』程度のノリで聞いてたんですけど、振り返って見たら、皆さん緻密に考えて選曲して、解説してるんだなぁと。
見ようと思えば見えるところ、沢山ありました。