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始まりの物語〜Fin〜



【捜査ファイル. 華になった少女たち事件(解決済)】

 2038年4月より北陸二県をまたぐ形で発生していた連続少女誘拐殺人事件に関して。

以下に事件詳細をまとめる。


■発生件数

計6件(最後の1件は模倣)。

6件目の加藤慎二殺害事件の後、木下彩芽誘拐事件発生。


■容疑者に関して

同年7月30日に一連の犯行が小賀野椿のものであることが判明するも、自害を図り容疑者死亡。

小賀野椿の犯行は4月からの計5件、以降の加藤慎二殺害は犯行を模倣した國枝元基によるものである。

以上、『華になった少女たち事件』は二人の容疑者が事件に関与していた。


■証言まとめ

 木下彩芽:誘拐事件の後遺症か、聞き取りを行っている間中体を震わせていた。

      國枝に誘拐されたとの証言あり。國枝側の自供と一致。

      小賀野椿のことは知らないとのこと。

 國枝元基:「累はどこだ?」といった発言を終始繰り返す。

      糸川累に対して一方的に感情を寄せていた様子。

      ストーカー行為を繰り返していたことが、後の聴取により判明。

      國枝は過去にも他の女性に対してストーカーを行い、

      接近禁止令を出されていた。

      依存体質でカウンセリングに通院歴あり。

      事件を起こしたきっかけについて聞くも、

      糸川累の居場所を訊く発言をするばかりで要領を得ない。

      加藤慎二殺害及び木下彩芽の誘拐に関しては犯行を認める。

 糸川累:木下彩芽と共に倉庫内にいるところを発見。

     放心、パニック状態だったが、今は落ち着いた様子。

     聴取の際に、『道言清人』が事件に関わっているといった発言あり。

     それに関しては、物証はなく、信ぴょう性に乏しい。


■総括

小賀野椿の自宅にて、事件現場に飾られていた花と同様のものが購入された履歴と、使用された凶器が見つかる。

そのため、一連の『華になった少女達事件』は小賀野椿によるものと断定。

動機に関しては容疑者死亡のため不明瞭な点が残るも、過去に娘を殺害されたことが関与していると考えられる。

しかし、彼女が犯行を()()するに至ったトリガーはなんだったのか……。



「糸川さんが言っていた、道言清人と名乗る青年と何か関係があるのでしょうか?」

「ん?」


 石川県、警察本部内には、長らく続いた事件解決による、弛緩した空気が流れていた。

 天沢は打ち込んでいたPCの画面から顔を剥がして、向かいに座る鬼原に視線を投げる。椅子に腰を深く掛けた鬼原は、出張のためいない課長補佐のデスクからかっぱらって来たと思しき菓子を片手にーー課長補佐の怒り狂う顔が目に浮かぶーー天沢を見た。


「ふぁんともふぃえないな。モグモグ」

「……だから、食べ終わってから話してくださいってば」

「ふふ、失礼」


(この人、わざとやってるな)


 天沢が半眼で見ていると、鬼原は笑いを引っ込め真顔になる。


「わたし達はその道言清人と、直接話をしたわけではないからな。

今のままではなんとも言えない。それに、犯人が死亡し、事件の本部が解体された今、関与があるかもわからない一人の青年を捜査するというのは、難しいだろうな……」

「……ですよね」


 あの時、事件現場に駆けつけたときの、糸川さんの尋常じゃない様子が頭から離れない。何も悪いことはしていないのに、自分のせいだと繰り返す彼女は、見ていて胸が痛くなった。

 糸川さんとの付き合いはまだ短いのに、歳が近いこと、また鬼原さんの養子だということもあって情が湧いてしまったのかもしれない。


「まぁ、どんな理由があろうとも、わたしの累をあんなに悲しませるなんて許せないがね」

「……」


 笑顔のまま拳を握る鬼原に、顔が引きつる。


(こわーー。

僕も糸川さんには優しくしよう)


 そう心に決めた。

 手に持っていたお菓子を全て食べ終え、追加分を課長補佐のデスクに鬼原が取りに行ったところで、天沢は自分のPCの画面に顔を戻した。


 先ほど入力していた事件報告書を解決済みのフォルダへ入れる。

マウスをクリックしながら、天沢は拭いきれない不安に駆られていた。


(本当に、事件は終わったんだろうかーー)


 天沢はふと外を見る。

 警察署の窓から覗く空には、青空が広がっている。しかし、その奥の方で、台風の前のような厚く重い、黒雲が迫っていた。




+++++



「嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だーー!!」


 耳を塞ぎ、少年は膝を抱えた。

恐ろしい魔女がやってくる。いつも魔女はこの時間になると不機嫌な顔をして、八つ当たりにくる。


「痛いのは、もう嫌だ……」

「じゃあ、次は君が魔女を懲らしめてあげないとね」

「えっーー?」


 涙で濡れた瞳を上げると、そこには綺麗な顔をしたお兄さんがいた。

どうやって家の中に入ったのだろう?

あ、そっか、お兄さんはいい魔法使いなんだ。だから、魔法を使ってこの場所に来れたんだ。


「懲らしめる……。ぼくが?」


 けれど、ぼくにそんなことができるとは思えなくて口にする。

いい魔法使いのお兄さんは、優しく微笑んだ。


「そうだよ、君ならできる。ぼくが保証するよ」

「……ぼく、なら」


 お兄さんから、甘い香りがした。その瞳に吸い込まれそうになる。

裸電球の灯りが点滅する。新しい電球を買うことができず、消えかかっているのだ。


 少年は、なぜかなんでもできるような気がしてきた。


「そうだ!ぼくならできる!!」

「そうだよ、その調子」


 立ち上がり拳を握る少年に、お兄さんは微笑んだ。

そうだ、ぼくは正義のヒーローになるんだ。正義のヒーローになって、遠くに行ってしまった妹にもう一度会うんだ。

 

 少年は決意を固めた。

大切な妹に会うためにはまずーー。


「魔女を倒さないと!」


 宣言する少年に、お兄さんの口角が上がる。


「そうだね、悪は倒さないとね。○△くん」


 綺麗な顔をした、猫毛のお兄さんが楽しそうに微笑んだ。




いかがでしたでしょうか?

日常を忘れて、少しでもお楽しみいただけたなら幸いです(o^^o)

今回のお話は、言ってしまえば、累と清人の出会いの話です。なので、累の父の殉職の理由や、累の血の繋がった家族など突っ込んだ話は出て来ません。(設定は少しあったりはするのですが、、、)

あと、清人さんのヤンデレ味をもっと出したかったのに、ストーリーに集中しちゃいました(反省、、


兎にも角にも、『サイコパス青年に執着されたので、彼を止めることにした』は終了になります。

が、要望が一定数あれば続編を書こうと思いますので、希望があれば感想か活動報告の方でコメントを書いてもらえると嬉しいです。

ネタを考えている時や、なにか作品を投稿する場合は<活動報告>にて投稿する予定なので、よろしければそちらもチェック頂けると雪ん子が喜びます。


最近はマンガの練習もしているので(もれなくヤンデレ)、

少しお休みします!絵がまだ下手でして。。笑

いずれはマンガでも思いっきりヤンデレ描きたいっすね!

※休んでいる間もチェックはしますので、なにかあればお気軽にコメください。


ご連絡は以上となります。

最後に、ここまでお付き合い頂いた方、本当にありがとうございました!

また、続編か他作品でお会いできると嬉しいです。(*'▽'*)

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