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決闘に勝とう!

誤字報告ありがとうございます。

5日目


「…なんでこんなに人が…?」


「バカ王子の仕業じゃないか?」


 学校の闘技場の使用許可をもらって闘技場に向かうと、観客用の席の1/3に人が座っていてざわついていた。

 ざくっと150人くらいはいるだろうか?

 ほとんどが学園の生徒のように見える。


 私たちの他には友梨愛さんとシュタインさまにしか知らせていないはず…


 一段とざわつきが大きくなったので見渡して見ると、国王夫妻と教皇様、アインベルト公爵が貴賓席と思しき所に座った。


 どうしよう、規模がおかしい。


「…ほんとうに王子をコテンパンにのしちゃっていいんでしょうか?」


「…そう思わせる心理戦か?いや、あのバカがそこまで考えてるとは…

 それより問題は教皇だ。

 聖魔法を掛けたのがバレたらまずいか…?」


「…やっぱりいっそ私が出ましょうか?

 でも、剣に聖魔法は朝のうちにかけといたし、身体強化もさっき何回かやってほどほどの強さでかかったからバレるほどの何かは起こらないと思います…。」


「まあ、そうだな。

 しいていえば俺の体力のなさを知っている父上には確実にバレるだろうが、自分の息子が不利になることを言う人ではないからな…。」


「とりあえず、頑張って下さい。

 負けそうになったら身体強化魔法を重ねがけします!

 治癒魔法だけはなぜかキラキラしたエフェクトがかかるので試合が終わったら治しますので、どーんとやってきちゃって下さい!」


「…やたら他人事のように聞こえるんだが…」


 胡乱な目でアベルたんはこちらをみるが、途中ではっと気づいたような顔をするとニヤリと性格が悪そうな顔をすると、鼻同士を寄せるように顔を近づける。


「もし負けたら分かってるだろうな?」


「ひぃ」


 なぜか周りから黄色い悲鳴が飛び交った気がするが、それどころではない。

 真剣に試合展開を見て補助しないと!


「まっ、まっ、まかせて下さい!!」


 無理やりガッツポーズを作ってアベルたんを見送る。

 アベルたんがにやりと笑って手を振りながら闘技場の中央に向かう。


 何か第一王子がすごい表情でこちらを見てる気がするけどそれどころではない。



 闘技場の中央にアベルたんが着くと、そこに第一王子も向かう。

 何やら2人で話しているようだが、全く聞こえない。


 そこに剣技の先生が着くと何やら2人に話しかけ、2メートルくらいの距離を取らせる。

 どうやら剣技の先生に審判をお願いしたようだ。


 第一王子とアベルたんが剣を向かい合わせると先生が2人の間に立ち手を伸ばす。

 やたらざわついていった闘技場がシーンと静まり返る。


 先生が手を上げたのを合図に、キーンと高い音が響き渡った。

 剣があたり、つばぜり合いが始まった。

 一旦離れてはまた近づき剣を合わせる。

 お互い互角のように見える。

 何げに第一王子すごいかもしれない。



 一進一退の攻防が続く中、隣に人の気配を感じてそちらを見る。


「え?」


「やあ。」


 金髪に金の目。第一王子にそっくりの顔であるが、短髪と鋭い目つきのせいで少し厳しい印象のあるイケメンこと、第二王子ユヒト・ユーグラシアがそこにいた。


「だっ、第二王子殿下!?」


「ユヒトでいいよ、未来のお姉様。」


「いや、そんなつもりはありませんから!!」


「兄上を袖にするつもりですか?」


「わ、私は平民ですから!身分的に無理です!」


「聖女であれば問題ないだろう?」


「わ、私は修行をサボってたので、聖女にはまだなれてなくて。」


「…国宝の剣と同じ強度のある剣なんて、公爵家は持っていたかなぁ。」


 ギクッ


「…アベル殿とはお手合わせした事があるけど、こんな短期間であんなに急に強くなるものかなぁ。」


 ギクギクッ


「…どうでしょう?その辺は私も詳しくなくて…。」


「ねえ、ミモザ姉様。」


 第二王子が顔を寄せて耳元でささやく。


「あなたがきっちり兄上を捕まえていてくれないと困るじゃないか。

 ローザスは僕のものなんだよ。」


 ぞぞっと寒気が走る。


 やべぇ、アベルたんとまた違ったタイプの腹黒だ。

 なんかサイコみを感じる。

 あれ?第二王子って、常識的で良心的な誠実さが売りの正統派王子様キャラじゃなかったっけ??

 なんか性格ちがくない?いや、こっちが本性なのか?


「それはローザス様が決めることですから…。」


 すっと第二王子から距離を取る。


「ふーん、そっちがその気ならいいけど。」



 その時カンッと大きな音が響きわたった。

 うわ、見るの忘れてた!!


 みると、アベルたんが第一王子の剣を弾いて飛ばした所だった。

 よっしゃ!アベルたん、よくやった!!


「…私の負けだ。アベル、そなたの好きにするがよい。」



「やったーーーーーーーー!」


 思わず叫んでその場でぴょんぴょん跳ねる。

 これで自由だ!

 何とか不敬罪も結婚もさけられそうだ!


 審判の先生が手をあげて


「勝者、アベル・アインベルト!」


 と告げる。




「試合結果に意義あり!!」


 そこに第二王子が入っていく。

 嫌な予感しかしない…。


 第二王子は落ちていた国宝の剣を拾うと、アベルたんに向かって剣を突き立てた。


 すんでの所でアベルたんが気がついて剣で受ける。


「やはり…。アインベルト公爵殿、アベル殿の剣は、公爵家の家宝である、剣聖と呼ばれた鍛治職人、フィリップの鋼鉄製の剣でよろしいか?」


 剣を下ろすと闘技場の貴賓席に向かって声を張り上げる。


「いかにも。フィリップの作品に相違ない。」


「やはり…。皆様、ご覧ください。国宝のオリハルコンの剣が刃こぼれをしている。

 つまり、アベル殿の剣は鋼鉄ながらオリハルコンと同等の強度を持っていることになる。

 そんな剣は聖魔法によってできた魔法剣しかありえない。

 そこにいらっしゃるのは聖女候補のミモザ殿である。

 ミモザ殿はまともに聖魔法が使えないという話であったが、そんなことはない。

 アベルのどの剣に祝福を与えたのだろう。

 すでに立派な聖女である。

 そう思わぬか、教皇様。」


 えええええええ、何勝手なこと言ってるの?


「その剣の様子を拝見するに、その可能性は高いといえるのう。」


 第二王子がニヤリと笑ってこちらを見る。


「よって、ここに私、ユヒト・ユーグラシアはこの決闘の無効を求める。

 聖女の力がアベル殿に加担したとなれば公平とはいえまい。

 その上で聖女、ミモザの王家による保護を求める!」

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