誠心誠意謝罪をしよう!
「ねえ、ミモザ嬢、貴女は一体何を考えているのでしょう?」
「本当すみません…」
「作戦は覚えてますよね?」
「返す言葉もございません…」
「僕は誰のためにわざわざ悪役なんてやってあげたんだろう?」
「…それはアベルたんの趣味じゃ…。」
「え?何?よく聞こえなかった。」
「何でもありません!」
「まあまあ、アベル、失敗は誰にでもあるわ。ミモザさんも体を起こして。」
「うぅっ…友梨愛さん…。」
ふかふかした緋色の絨毯の上、日本人のお家芸である土下座を決めて平謝りする。
公爵家の絨毯はふかふかしすぎてて土下座した気にならない。
「ちょっと予想外に貴女が強くなりすぎたのね。作戦をまた考え直しましょう。
判決までまだあと1週間あるわ。」
「でもローザス姉様、彼女は僕の手には余りますよ。」
「そうね…どうしましょう?」
「まさかえるるんとの練習が裏目にでるとは…」
「いいえ、そこが問題ではありませんよ。ピンク頭さんの頭の中身の問題です。」
「…分かっております…」
今日は午前中に推しのシュタインさまとのイベントクリアを目指して一緒に学園にいったものの、色々やらかしてしまった上に、イベントクリアができなかった。
というかチャンスを自ら潰してしまった。
アベルたんにもなじられるし何も良いことがない。
「1週間以内にまた学園に行く機会を作るのは大丈夫だけど、物体への付与魔法を使うタイミングをいかに作るかよね。
そのためには小春ちゃんが危機的状況にならないといけないけど、そんな状況になるのかしら?
やっぱり最後に習得するはずの身体強化魔法がすでに自在に使えるのは厄介だわ。」
「…もはや無意識で自分につかっちゃうんですよね。」
「しかも第一王子を吹っ飛ばした時とは威力も段違いになってるし。」
「小春ちゃん、学校の寮に戻る?目つけ役としてシュタインをつけるから、四六時中シュタインといてチャンスを見つけるしかないんじゃないかしら?」
「そっ、それは嬉しいですが、私の心臓が持ちません…」
「そもそもそんな付き切りの任務などシュタインが請け負ってくれないのではないでしょうか?」
「心臓がもたないのなら丁度いいわね。とりあえずシュタインを呼んで聞いてみましょう。」
「ぴいえええええーー!」
用件を伝えた侍女が出ていってから15分ほど経つとドアの外からノックが聞こえる。
友梨愛さんが「入って」と答える。
失礼しますと礼をしながらシュタインさまが応接室にはいってきた。
今は午前中の私服ではなく、アインベルト公爵家騎士団の真紅の騎士服を着ている。尊い。
シュタインさまはちらと私を見ると、頬を赤らめて目をそらす。
ガーーン
そんなに破廉恥なことをしたつもりなかったけど、この世界的にはNGだったのかも。
やっぱり男性の腰を触ったのがダメだったのかな…。
闇を背負っている私にお構いなく友梨愛さんが続ける。
「ねえ、シュタイン、申し訳ないんだけど、明日から5日ほどミモザさんに付き合って貰うことはできるかしら?」
「わ、私がですか?」
「ええ、シュタインにお願いしたいの。
明日から5日間ミモザさんを学園の寮で過ごさせたいのだけど、いくら逃げないと分かっていても公爵家で身元を預かっている以上、見張りは必要なの。」
「はぁ…」
うわーーーん、シュタインさま、絶対乗り気じゃ無いよ。
「貴方は年の半分は公爵家の騎士寮にいたけど、学園の寮も確保していたでしょう?
貴方の寮の引き上げの準備もしつつでいいから頼まれてくれないかしら?」
「そこまでローザス様がおっしゃるなら…。」
「では明日から5日間よろしくね。もう下がっていいわ。」
シュタインさまが退室して友梨愛さんはこっちを見る。
「教会に行って認めてもらう日も考えるとこの5日が最後のチャンスよ。
最後まで頑張ってみてちょうだい。」
「…はい。」
「姉様、僕もこっそり寮に行きましょう。
危機的な状況が起きないと聖女の力は目覚めませんが、ミモザ嬢が自らを危機的な状況に追い込めるタイプではないので。
姉様の結婚がかかってるんです。
僕にも精一杯いのサポートをさせてください。」
「ダメと言っても行くんでしょう?アベルの納得するようにすればいいわ。」
「ありがとうございます、姉様。」
「……。」
アベルたんは怖いけど背に腹は変えられない。
アベルたんのいう通りビビリの私がどうにかできると思えないからここはアベルたんの言葉に従っておこう。
でも、せっかくの推しとの5日間なのに楽しめる心の余裕がまったくない…。
最後の聖女の魔法を習得できるように集中しよう。
両手で頬を叩いて気合いをいれる。
「友梨愛さん、頑張ってきます!アベルたん、よろしくお願いします!」
「頑張ってね小春ちゃん、良い知らせを待ってるわ。」
「殊勝な心がけですね。」
こうして推しとの天国か地獄かわからない5日間が幕を開けた。
次回、シュタイン視点入ります。
小春が何をやらかしたかはその時に。




