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海辺の別荘へ行こう!

 青い空、広い海。やってきました海辺の別荘!!

 だがしかし、目の前には腹黒ショタ。

 はぁー、と重いため息をこぼすと座席の太ももの隣に、ガンッとかかとを落とされる。


「ひぃっ」


「おい、クソピンク。思ってること声に出てるからな。」


「うぅっ、なんでアベルたんと同じ馬車…。友梨愛さんかえるるんと一緒が良かった…。」


「えるるん…?ミヒャエルのことか?俺とお前はミヒャエルとほぼ初対面だったから仕方ないだろう?

 馬車は2人ずつと言われたし。

 俺だってお前みたいな不躾な女と一緒の馬車は嫌だが我慢してやってるんだろう?」


「少しはえるるんの裏表のなさを見習ってよ!何?その態度の違い!」

 ともちんに免じて多少のことは見過ごしてきたけど、さすがにイラッとするわ。


「そんなことより今日の午後のことは大丈夫なんだろうな?

 さっきまで呑気にアホヅラをさらして眠りこけていたが、うまくミヒャエルを洞窟まで誘き出すんだぞ?」


「何も考えてなかったけど、多分大丈夫!一緒にお散歩とかに誘えばいいんでしょ?」



「はぁーっ。お前、姉様がいないと本当何もできないな。そんなんで連れ出せる訳がないだろうが。

 姉様が描いた地図見てみろ。どうやってそんな岩場の奥にある洞窟まで散歩する阿呆がいるんだ?

 しかも大して親しくもないお前と一緒にだぞ?」


「…えるるんは天然キャラだから、あんまり深く考えないかも。」


「…ミヒャエルは学年首位の秀才だぞ?」


「…そうだったかも。えへ。」

『ガンッ』

 てへぺろを決めた瞬間にまたしてもかかとが落とされる。

 前も思ったけどアベルたんはてへぺろがお気に召さないらしい。


「おまえ、その間抜けな仕草やめろ。余計腹が立つ。」


「所変われば品変わるってことですな…」



「…話を戻すが、姉様の話では今回は浄化魔法を使うからシナリオ通りの場所じゃないと濁った水はないらしい。

 お前がそこまで上手くミヒャエルを連れ出せるかどうかにかかっているんだぞ?」


「…アベルたんも一緒に行かない?」


「何で俺がそんな所に行かなきゃいけないんだ?俺はローザス姉様と海辺でゆっくり休暇を楽しむために来たんだ。ブスピンクに使う時間はない。」


「友梨愛さんも一緒ならどう?」


「繊細な姉様をそんな得体の知れない場所につれて行けるわけないだろう?」


「ひどっ、私だって繊細なのに!!私はどうなってもいいの?」


「ローザス姉様が温室の花だとしたら、お前は雑草だから大丈夫だ。」


「ほんと、何この扱いの差!そんな心の小さい事をするから、いつまで経っても身長も小さいん…


 ガンッッッ!!

「…今何か言ったか?」


 かかとの下を見ると椅子のフレームが陥没している。


「…気のせいでゴザイマス…」

 そういえば身長が小さいは禁句でございましたね…。


 その後ヘソを曲げたアベルたんは馬車が着くまで一言も発しなかった…。






 馬車が止まると外からドアが開けられる。

 地面までだいぶ段差があるなぁと思っていたら目の前に手が差し出される。

 顔を上げるとえるるんが微かに微笑んで手を出している。


 うぁああ、こんなシーンよくマンガでみた!!

 自分が出来るなんて!嬉しい!!


 によによしながらえるるんの手を借りて地面に慎重に降りる。


「え…ミヒャエル様、ありがとうございます。」


「レディに対して当たり前のことをしたまでですよ。」


 …尊い!!そして微笑みに裏がない!アベルたんに見倣ってほしい!

 どや顔でアベルたんを見たら明後日の方向を見ている。

 良く見とけやコラァ!



 そして目の前には庭園に囲まれた立派な白い煉瓦の建物が立っていた。

 青い空に良く映える!スマホがあったら絶対撮っていた。


「ようこそ、我がバインツ侯爵家の別荘へ。

 本宅と違って手狭ですが、少し高台にあるので客室からの眺めは良いですよ。

 早速お部屋へご案内しましょう。」


 日本の一般的な住宅の4倍はありそうな3階建ての建物を前に、手狭とは?と思ってしまう。


 荷物は後で使用人の人が降ろして部屋まで届けてくれるとのことだったので、手ぶらでえるるんの後を着いて行く。


 玄関を抜けると3階まで吹き抜けになっている広いホールがあった。

 ホールにある手すりが優美な大理石の階段を登って3階までいくと長い廊下をはさむようにいくつかドアが並んでいる。


「3階が客室になるので、私たちは3階に泊まります。

 2階に食堂があるのでそれは夕食の時間になったらまたご案内しますね。

 特に部屋を決めてはなかったのですが、部屋は余分にあるので好きな部屋を使って下さい。

 右側の部屋だと窓から海が見えますよ。」


「じゃあ、ミモザさん、私たち隣同士の部屋にしましょう!

 私は右側の一番奥の部屋を使うから、ミモザさんはその手前の部屋はどうかしら?」


「はい!」


 友梨愛さんについて行き、友梨愛さんの部屋の一つ前のドアを開ける。

 飛び込んできたのは高さのある窓から見える広い海だ。


「すごい!!いい風景!!」


「お気に召して頂けたようで良かったです。」


 後ろからミヒャエルがにこにこしながら声をかけてくれる。


「高さがあるので、見晴らしがいいですね。素敵な卒業旅行になりそうです!!」


 部屋も20畳程の広さがあり、青いカーペットに白い家具とリネンに統一されていて爽やかなインテリアになっている。

 聞いていた以上に良い部屋にうきうきしていると、アベルたんが近づいてきて耳元でボソッとつぶやく。


「おい、クソピンク、本来の目的忘れるなよ。」


 …忘れかけてました。


「え…ミヒャエル様、もしよろしければこのあと皆さんと近くを散策したいのですが、土地勘がないのでご案内して頂けないでしょうか?」


「いいですね。荷物が運び終わったら夕食まで時間も空くし近くを散策しましょう。30分後に1階のホールにあつまりましょう。ローザスは予定はどうですか?」


「私は大丈夫よ。楽しみね。」


 うまくイベント発生までもって行ける気がしないので他の人を巻き込んじゃいました。

 アベルたんが物言いたそうな顔でこちらを見てるけど、知りません!!

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