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たとえ人生をやり直せるとしても俺は同じ過ちを繰り返す  作者: 大神 新
第6章:偽れない本当の気持ち
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3通目の手紙:願い事

 ――1枚目。


 一ノ瀬 梨香さんへ


 君にお願いしたい事があるので手紙を書きました。

 いつも通り、大した内容ではありません。


 俺は君にとって特別な存在ではないと分かっています。

 それでも、俺は君のことが好きだ。

 だからいつも自分に出来ることを考えています。

 どうしたら君が笑ってくれるのか。

 君に喜んでもらうには、何をしたらいいのだろう。


 でも大抵の場合、思いつきません。俺は君の役に立ちたい。

 それなのに、俺には出来ることが何もない。

 多分、君は俺に何も望んでいないのだと思う。

 だから俺のこの気持ちは余計なお世話かもしれない。


 君はとても強い人だ。

 いつも前向きで自分のことを信じている。

 だから、俺なんて必要ないのだろう。


 俺に出来ることは黙っていることなのかもしれない。


 ――2枚目。


 まあ、こんなことを書いたら君のことだから。

 そんなことないよって大きな声で言ってくれるのだろう。

 俺は君がとても優しいことを知っている。

 だから大丈夫だよ、俺はそこまで気にしていない。


 ただこれだけは伝えておきたいんだ。

 もしも、万が一、君が俺に何かして欲しいと思ったら。

 些細なことでも構わない、ただの暇つぶしでもいい。

 その時は遠慮なく言って欲しい。何でもするよ。


 辛いことがあった時、悲しい気持ちになった時。

 そんな時は力になりたい、ずっとそう願っている。

 そして、そんな時のために君の傍に居たいと思う。


 ……ここから先は、君の気持ちとは関係ない話だ。

 でも、大切な俺の気持ちだから知っていて欲しい。


 たとえ、君が俺を必要としていなかったとしても。

 俺には君が必要だ。傍に居て欲しいとずっと思ってる。

 悔しいことに君には俺を笑わせる方法が無数にある。

 俺にとって、君はそういう掛け替えのない存在だ。


 ――3枚目。


 俺は君のことがどうしようもなく好きだ。

 何もしてあげられないのに、俺はいつも君から貰っている。


 ただ、近くに居てくれるだけで胸の奥が暖かくなる。

 本当はそれだけで良かったはずなのに……。

 俺は欲張って君を求めてしまう。ずっと傍に居て欲しい。

 もっと近くに居たい。君に触れていたい、頭を撫でたい。


 いつも、必死で我慢しているんだ。

 俺は君に嫌な思いをしてほしくない。傷つけたくない。

 だけど、時々抑えきれなくて、迷惑をかけていると思う。


 俺はそんな自分が嫌だ。だけどこんなことを言ったら君は怒る。

 だから、お願いだ。遠慮なく我儘を言ってほしい。

 俺はすでに君から沢山の物を貰っている。

 少しでもお返しがしたい、困ったときは何でも相談に乗るよ。


 出来れば俺の前では安心して、君のままで居て欲しい。

 君にはいつも、素直な気持ちで笑って欲しいと願っています。


 高木 貴文より


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