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たとえ人生をやり直せるとしても俺は同じ過ちを繰り返す  作者: 大神 新
第6章:偽れない本当の気持ち
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第65話:女の子と手を繋ぐのも仕事です

 文化祭の2日目。今日は俺も本部テントだった。


 相変わらず文化祭執行部の忙しさは半端ない。

 去年、生徒会室で対応した時とはまるで違う。

 あらためて比べると、あの時の俺はサボっているというレベルだったな。

 後夜祭前に彩音(あやね)先輩達が戻って来た時の表情を思い出す。

 明らかに疲れ果てていたっけ。今ならその理由が良くわかる。


「よお、高木、調子はどうだ?」

 偶然にも思い浮かべていた相手が目の前にやってきた。

「彩音先輩! 会えて嬉しいです!」

 花火大会以来だ。相変わらず美しい。

 あの時のことを思い出すと少し気まずい気持ちになるけど……。

 話が出来て嬉しいという気持ちの方がはるかに強い。


「調子は良さそうだな、安心したよ」

「今、ちょうど彩音先輩の事を考えていたんです」

 いや、本当にタイムリーである。


「えっ!?」

「去年の今頃、先輩も大変だったんだろうなーって」

 俺は本当に至らない後輩だと思い知った。


「ああ、そういうことか。確かにな。でも今となっては良い思い出だよ。

 むしろ、ちょっと寂しいぐらいだ」

「そうなんですね……」

 確かに、当時は大変でも過ぎ去ってしまったら寂しいと感じるのかもしれない。

 何となく、わかる気がするな。


「後夜祭は来られるんですか?」 

「ああ、そのつもりだ」

 ということは、今年も彩音先輩と踊れるということである。


「楽しみにしています!」

「……お前はいつも直球だな」

 好きな相手に好意を示すのは良いことだと教えてくれたのは先輩だ。


「それ、彩音先輩に言われると思いませんでした」

「ははは、それはそうかもな。じゃあ、私たちは後夜祭が始まる頃にまた来るよ」

 豪快に笑う彩音先輩も素敵だ。よくよく考えれば去年のミスコン1位である。

 普通なら俺なんかが話せる相手じゃない。

 生徒会執行部に入って、先輩と出会えて本当に良かった。


「はい、よろしくお願いします!」

 どうやら、後夜祭に3年生が参加するのは伝統のようだ。


 後夜祭と言えば、1年生にフォークダンスを教えてやらないといけないな。

 今回はちゃんと練習してきたので大丈夫だ。

 ……練習しないと出来ないというのが悲しいところだが。


「えいっ!」

 一ノ瀬の声がした。これはアレだ、いつものヤツだ!

 殴られると思って身構える。


 ……予想に反して、背中に暖かい温もりを感じた。

 同時に甘い匂いが漂ってくる。


「何、話してたの?」

 それより何をしているんだ、お前は。


 声は耳元で聴こえている。頬に触れる髪の感触が心地よい。

 白くて細い腕が俺の首元に巻き付いていた。


「あ、いや後夜祭の話……」

「あー! 彩音先輩達も来てくれるんだね!」

 何故お前はその状態で普通に話せる?


「うん、そうみたいだな……」

「あれー、高木くん、照れてるの?」

 多分、耳まで真っ赤になっていただろう。 


「いや、照れるというか、その……」

「あははは! ばーか!」

 なんでそんなに嬉しそうに笑うんだよ。


「そこ! 仕事中にイチャイチャしない!」

 中森(なかもり)から鋭いツッコミが飛んできた。


「えー、してないよー!?」

 いや、これはしてるだろ。美沙(みさ)ちゃんの言葉を借りると有罪だ。


拓斗(たくと)にもしてあげようか?」

「おい、一ノ瀬!」

 そんなことをしたら、俺は中森に嫌がらせをしなきゃいけなくなるぞ!


梨香(りか)さん、俺を巻き込まないでくれ。高木の視線が怖いから!」

「あははは! 高木くん、怖いって言われてるよ?」

 どこまでも自由なヤツだ。



 文化祭の2日目も順調に進行していった。

 主な指揮は一ノ瀬、トラブル対応は俺、そんな感じの役割分担が出来ている。

 中森も本部テントでしっかりと対応してくれていた。

 良かったよ、過去の世界で一ノ瀬が孤軍奮闘していたわけではなかったんだな。

 しかし、この状況だ。確かに一ノ瀬が中森のことを好きになるのも頷ける。

 俺は一番大事な時に傍に居てやれなかったんだな。


「高木先輩、ちょっといいですか……」

「どうかしたの?」

 麻美(あさみ)ちゃんが心配そうな表情で声をかけてきた。


「体育館のイベントなんですが、予定が狂っているみたいなんです」

 体育館の方は大場(おおば)正樹(まさき)君が担当している。

 盤石な布陣なのであまり心配していなかったのだけど。


「高木くん、行ってきてくれる?」

「えー? 俺は一ノ瀬と一緒に居たいんだけど」

 もちろん、これは冗談である。


「もう、そういうこと言っていると怒るよ?」

 やはり仕事には真面目な一ノ瀬だった。

「了解、じゃあ行ってきます」

 席を立って、一ノ瀬の頭をひと撫でする。

 こっちには文句を言わず、笑顔で手を振ってくれた。

 ……何だろう、何かアイツ、最近優しくなった?


「麻美ちゃん、一緒に行こう」

「はい、よろしくお願いします!」

 一ノ瀬の隣の席、結構本気で後ろ髪を引かれてしまったぞ。



 麻美ちゃんとふたりで体育館に入り、裏手に向かう。

 舞台袖では大場が困った表情をしていた。


「どうした?」

「ああ、高木君、タイムテーブルが崩れちゃってて……」


 プログラム表を確認すると15分ほど遅れている。

 なるほど、これは不味いな。

 2日目はラストが遅れると後夜祭と被ってしまう。

 延長は出来ない。かといって縮めるのも難しいだろう。

 どの団体もこの日の為に練習してきている。

 簡単に短縮して下さいとは言えない。


「麻美ちゃん、ごめん、もう一度本部テントに行ってくれる?

 主に男子生徒の人員集めてきて。出来たら3人ぐらい」

「わかりました!」

 返事をして元気に駆け出していく。

 いい子だなあ。


「大場、ここは幕間の時間短縮で対応するしかない。

 ミスコンだけは文化祭執行部の管轄だから少しだけ短縮しよう。

 前座の語りを少なくとも1分は削ってもらって」

 15分ならギリギリ短縮できるはずだ。

 各団体には開始を急ぐように通達し、遅れた分はそのまま時間を削ってもらう。


「分かった!」

 大場は俺の指示を受けて走り出した。


「正樹君! ちょっとこっち来て!」

「はい、すいません!」

 あれ……? どうしてそんな申し訳なさそうな顔をしているんだ。


「ん? なんで謝るの?」

「あの俺、午前中は彼女と回ってて。

 中森先輩にはちゃんと許可貰ってたんですけど……」

 ああ、そういうことか。

 中森、それは大事な情報だから俺にも伝えて欲しかった。

 でもそれは謁見行為か。結局、この件は誰も悪くないな。


「いいか、正樹君。君は何も悪くない!」

「えっ!?」

 ガシッと肩を掴んで言う。


「むしろ正しい事をした! 今日、彼女と回らないなんて駄目だ!

 俺はそんなことをしたら許さないからな。今後もそうだ。

 彼女との約束を優先しろ。何かあったらすぐに相談してくれ」

「あ、はい……」

 珍しく熱くなってしまった。

 でも、文化祭の為に自分を犠牲にするなんてして欲しくなかったのだ。

 もちろん仕事は大事だけど、楽しむことも忘れてはいけない。


「しかも、ちゃんと中森に許可を取るとか、むしろ偉いよ。

 申し訳ないけど、不甲斐ない先輩を助けてくれないか?」

「俺は何をすればいいですか?」

 ……一応、一通りの指示をした。

 けど、多分コレ、俺が来なくても彼がなんとかしたな。

 午前中の遅れは正樹君の不在によるものか。


 その後、麻美ちゃんが連れてきてくれた文化祭執行部員と協力して器材を運ぶ。

 幕間の時間を短くすることで、かなりプログラムの隙間を埋めることが出来た。

 これで、後は何とかなるだろう。


「大場、後は頼んでも良い?」

 本部テントをかなり長い時間空けてしまった。

 あっちも心配だ。


「うん、任せて」

 心強い返事で安心した。


「高木先輩!」

「正樹君?」

 どうかしたのだろうか?


「あの、ありがとうございました!」

「それはこちらこそだよ!」

 一生懸命やってくれたのだ、お礼を言いたいのはこちらの方である。


「今度は先輩にも相談します」

「うん、そうしてくれると嬉しいな」

 そう言って手を振って体育館を後にした。


「高木くーん!」

 一ノ瀬が名前を呼んでくれる。

 ……なんかもう、それだけで嬉しい。

「ごめん、遅くなった。どうかした?」

 本部テントの喧騒は相変わらずだが、問題があるようには見えない。


「いや、名前呼んでみたくなっただけ」

「何だそれ?」

 一ノ瀬もかなり疲れているようだ。


「手伝うから、少し休め」

「ううん、いいよ、あと少しだし。隣に居て」

 言われるがまま、隣の席に座って接客対応をする。


 いいな、こういう感じ。

 職場では大抵、ひとりで働いていた。

 こんな風に仲間と何かをしているというのは、この時期だけだった気がする。



 ――以上を持ちまして、川場祭を終了いたします。


 放課後になり、校内放送が流れた。

 これで晴れて、激務の文化祭は終了である。


「終わったー!」

 一ノ瀬が叫んだ。

 女子高生らしい、高くて大きな声だ。ちょっと耳が痛い。


「高木くん!」

 そう言って両手を上げる。

 ああ、なるほど。

「了解」

 そう言って俺は両手を上げた。


 ――パアアアアアン!


「痛ったああああい!」

 だから加減しろよ。叩かれた両手がヒリヒリする。

 でも何だか去年の体育祭を思い出した。

 彩音先輩のハイタッチも、少し手の平がしびれたっけ。


「あはははは! 痛いねえ!」

 何が面白いのか分からないけど、大喜びする一ノ瀬が可愛い。


「お疲れ様!」

「うん、高木くんもね」

 そう言って、一ノ瀬は寄りかかってくる。

 何だか今日はスキンシップに見境がないな。

 それだけ疲れているということか……。


「何してんだ?」

「んー? 充電中!」

 意味が分からない。

 一ノ瀬から相変わらず良い匂いがする。

 むしろ充電されているのはこっちなんだけど。


「お前達……いつの間にそんな仲に!」

「あ、沙希(さき)先輩! お疲れ様です!」

 ちょっと待て、お前、その体勢のまま返事するの?


「お疲れさまー」

 嘉奈(かな)先輩に至ってはツッコミすら無かった。


「おふたりとも、久しぶりですね! 受験勉強の方は……」


「高木君、その話はしないで!」

「高木、殺すぞ?」

 相変わらずのようだ。


「梨香、高木、お疲れ様」

「彩音先輩! ありがとうございます」

 さすがの一ノ瀬も、彩音先輩を前に姿勢を正した。

 それはそれで、他の3年生に失礼な気もする。

 まあ、一ノ瀬に悪意がないことぐらい分かってもらえると思うけど。

 


 その後、文化祭執行部は1度、全員集合した。


「今日はお疲れさまでした。

 この後は収支確認、反省会、解散会と続きます。

 でも、まずは後夜祭を楽しみましょう。

 キャンプファイヤーはすでに先生方に頼んであります」

 中森の言葉でひとまず解散となった。

 まとめ方、上手くなったなあ。


「じゃあ、生徒会室に行くか。お邪魔してもいいよな?」

「当たり前じゃないですか!」

 解散まで見守ってくれた彩音先輩から声がかかる。


「あー、疲れたあああ!」

 そう言って生徒会室になだれ込む。

「先輩、お疲れさまでした!」

 久志君が元気に挨拶をしてくれた。

 奈津季(なつき)さんも優しい笑顔を返してくれている。

 装飾班の久志君と奈津季さんは生徒会室で対応してくれていたようだ。

 そっちも大事な裏方作業だ。決してサボってなんかいない。


「久志君も、お疲れ様」

「はい、ありがとうございます!」

 彼のこういうところ、本当にいいなあ。


「じゃあ、後夜祭いくぞー!」

 そう言って先導したのは中森だ。

 最近、良い感じに仕切ってくれるようになった。


 人間は成長するものである。

 だから、見下したり、見捨てたりしてはいけない。

 そもそも、俺は他人を評価出来るような人間ではないしな。

 どうせなら、出来るだけ良いところを褒めたいと思う。

 ……これも、一ノ瀬に教わったことだけど。



「フォークダンス……ですか……?」

 美沙(みさ)ちゃんが明らかに嫌そうな顔をしている。

 うんうん、解るよ、その気持ち。


「私、そういうのはちょっとパスで……あああああ!」

 黙って両手を掴んで指を絡める。


「高木先輩! セクハラですよ!? 完全に有罪です!」

「安心してくれ、美沙ちゃん。俺には免罪符がある」

 バナナクレープの食券をくれたテニス部員に感謝しなければいけないな。


「うわっ! 最悪です、もしかしてこのために!?」

「ふっふっふっ、計画的犯行です!」

 そう言って、ステップを踏む。

 大丈夫、エスコート出来るぐらい練習してきた。

 ……妹に多大な迷惑をかけたのは内緒である。


「いやー、俺、美沙ちゃんみたいな可愛い後輩と手を繋ぐのが夢だったんだよね」

「それ以上言ったら、殺しますよ?」

 何、この娘、恐ろしい。

 先輩に向かって殺意を放ってくるとかどういう心理?



「はい、じゃあ次は麻美ちゃんね」

「先輩……これ、男女でペア組まないと駄目なんですか?」

 駄目ということはないと思うけど……。


「うん、駄目」

「ひえええ!」

 そう言って手を握る。今日の俺は容赦しない。

 別に下心があるわけではないし、いいだろう。


「ごめん、本気で嫌だったら止めるけど?」

 すでに手を繋いでいる状態でこの台詞を言うのはズルいかもしれない。

「いえ、大丈夫です! これも仕事なんですよね?」

 いや、違います。


「来年は後輩に教えてあげてね」

 仕事っぽくしてみた。

「はいい、分かりました!」

 本当にいい子である。



「嘉奈先輩、この時をずっと楽しみにしてました」

「ふにゃっ!?」

 颯爽とその手を取る。


「高木君は相変わらずだねえ」

「嘉奈先輩の手も相変わらず、柔らかくて素晴らしいです」

 完全にセクハラ発言だ。


「もう、その気がない相手には妙に強気なんだから」

 思いっきり見抜かれていた。



「おい、高木。お前、また嘉奈にセクハラしたな?」

「聞こえてました……?」

 ヤバイ、殺されてしまう。


「やっぱりしてたのか!」

 どうやらカマをかけられたようだ。


「まったく、次からセクハラするなら私にしておけよ」

 ん? 沙希先輩にならセクハラしても良いってこと?

 まさか……ね。


「わかりました! 沙希先輩にセクハラするようにします!」

「いい顔でクズ発言するな!」

 やっぱり駄目だった。



「彩音先輩……」

 いかん、やっぱり意識してしまう。

「おう、高木……」

 何だ、この微妙な空気は。


 だが負けるわけにはいかない。俺の方が大人なのだから!

 というわけで、普通に手を取った。彩音先輩の手は暖かいな。


「上手くなったな!」

 彩音先輩の手を取って、ステップを踏む。

「この日の為に練習しましたから!」

 簡単に習得出来ないところが悲しい。


「ふふっ、お前らしい。そういうところは好きだぞ」

 言われて耳まで真っ赤になる。

 違う、これは恋愛感情ではないヤツだ。

 この世界で一ノ瀬と初めて会った日、あの時の壁ドンと同じ。

 だから、俺も同じ言葉を返して良い。


「俺は、そう言ってくれる彩音先輩が好きです」

「ありがとう、高木、嬉しいよ」

 次に会えるのは卒業式かな。

 少し寂しいけど、仕方のないことだ。



「今年の文化祭は全然話せなかったね」

 そう言った奈津季さんの小さな手を取る。

 何故だかドキドキしてしまう。やっぱりこの人は特別だ。


「うん、寂しかったよ」

「あー、はいはい」

 いつものスルーだった。

 けど……最近妙に優しい感じがする。


「梨香ちゃんと話せた?」

「うん、クソ忙しかったけど少しは」

 隣に座っている時間は長かったけど、あんまり話せてはいない。

 でも、十分だ。ただ話したいとだけ願っていたあの頃を思い出す。


 ……道を間違えなければこんなにも幸福な今がある。

 そんなこと、信じられなかっただろうな。

 でも、今の俺の行為は反則だ。

 過去の後悔を使って、未来を変えている。

 本当はこんな事、許されないのかもしれない。 


「どうかした?」

 変な事を考えてしまった。

 せっかくなんだ、目の前に奈津季さんに集中しよう。

「いや、幸せだなーって思ってた」

 彩音先輩と普通に話せて、一ノ瀬と一緒に居られる今がある。

 俺にはちゃんと、こんな道も用意されていたんだ。


「ふふ、良かったね」

「心配してくれてありがとう」

 過去の世界でも、やり直しの世界でも世話になりっぱなしな気がする。

 本当に、素敵な人だ。



「高木くん!」

 両手を差し出す一ノ瀬。

 凄く嬉しそうな顔をしているように見える。

 何て言うか、もう今すぐ抱きしめたい。

 それなのに、その手を取るのには今でも躊躇してしまう。


 意を決して手を取った。相変わらず冷たい。

 その手を引いてステップを踏む。


「お、少し上手くなった?」

「練習したんだよ」

 一ノ瀬がこの言葉を聞いてどんな風に思うのかは知っている。

 だからあまり言いたくなかった。


「うわ、恰好悪!」

 ついさっき、彩音先輩には褒められたというのに。

 本当に価値観が違うんだな。

 でも、俺はそのことを許容している。


「今日はよく頑張ったな」

「ん? どうしたの急に?」

 ステップを踏みながら会話する。

 去年はそれどころじゃなかったなあ。


「素直にお前の事を凄いと思ったんだよ」

「えへへー、ありがとう」

 そう言って笑う一ノ瀬を見て思わず、声をかける。


「なあ、一ノ瀬。週末に俺の家、遊びに来ないか? ちょうど半日授業だしさ」

「うん! いいよ、行く!」

 何でそんな満面の笑みなんだ。


 ――以上を持ちまして、後夜祭を終了します。


 放送が響いて音楽が止まる。


「ねえ、高木くん。今日はありがとね!」

 笑顔でそう言う一ノ瀬。

 心情を察して嬉しくなった。


 笑っている一ノ瀬を見て、心底思う。

 未来を変えて良かったのだと。


 身勝手な都合で過去を改変するのに抵抗があった。

 けれど、その結果が一ノ瀬の為になるのなら。

 俺はいくらでも未来を変えて見せる。

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― 新着の感想 ―
[良い点] この話すごく良かった……… ここに高校時代の生徒会関連の1周目の比較が集約されている気がする… 高木君、なんだかんだで空回りするからいい形で終わって良かった…
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