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87 知らされる胡桃の過去

胡桃の両親が毒親…。

七絵からそれを聞いた時、胡桃の抱えている闇の正体がそれではないかと考えた。


「私にも…聞かせてもらってよろしいでしょうか? 私の心を読む能力を使ったところ、かなりの闇を抱えてたみたいなので」


「はい、構いません」


シンシアさんも会話に加わった。

やはり、心を読む能力を持っていて、闇を知ったからには放っておけないのだろう。


「まず、家族構成ですが…両親と胡桃、そして双子の弟でした」


「双子の弟がいたのか…。 で、どのくらいの毒親っぷりだったんだ?」


「細かく言うなら…胡桃の両親は、胡桃自身が体質性低身長という成長障害であったため、双子の弟を優遇する育て方をしたんです」


「双子の弟を優遇?」


「ええ、体質的低身長の胡桃を『出来損ない』として蔑まれ、弟には甘やかして好きなものを買うなどしていたそうです」


確かに胡桃は低身長だが…、だからってそこまで言うのか、彼女の両親は…。

シンシアさんも怒りを抑えようと必死だ。


「私が胡桃と友達になったきっかけは小学校の三年生の時でした。 ある日胡桃が低身長なのをいい事にいじめられていたんです」


「いじめられた…!?」


「はい。 そこに私が介入していじめっ子たちをぶっ飛ばしました。 その後、すぐに私の家に胡桃と一緒に行きました」


七絵…小学校の時から強かったのか…。

しかし、胡桃がいじめを受けていたのが小学生時代からだとは。


「その時は私の両親に相談をし、胡桃は家に帰りましたが…。 翌日にはさらにいじめはエスカレートしていました」


「マジかよ!?」


「ええ。 私も怒りを隠し切れず、胡桃を連れて学校を出ていき、私の両親に電話で連絡した所、両親が車で出迎えて私の家まで送ってもらいました」


「行動力がすごいですね…。 一部褒められた行動ではないにしても」


確かに途中で学校を出ていくとかは褒められた行動ではないが、それだけ胡桃を放って置けなかったからだろう。


「しかし、蔑まれていたとはいえ、胡桃さんの家族にはいじめの事は相談しなかったんでしょうか?」


「無理なんです。 なぜなら、胡桃へのいじめを裏で糸を引いていたのは胡桃の家族だからです」


「え…!?」


シンシアさんが七絵から出された事実に驚きを隠せないでいた。

俺は、それである程度察した。


「読めた。 多分、弟が手を回したんだろう」


「はい、胡桃の弟が胡桃のクラスメイトに色々吹きこんでた事が発覚、さらに両親も事なかれで済ますように担任や校長に圧力を掛けていたことが分かったのです。 そして、胡桃に友達を作らせないように仕向けたことも。 いずれも私の父が伝手を利用して探偵などに探りを入れた事で分かったものです」


「うわぁ…、相当の屑じゃないか…」


「ええ、なので私の父は、各種証拠を持って警察や教育委員会に通報ないし報告に行きました。 結果、胡桃の両親が自爆し、胡桃を精神的にも物理的にも虐待を行っていたことも発覚し、逮捕されました。弟の方は各親族が拒否したため施設に送られ、学校もその時の対応などで批判され、いじめっ子も家族と共に批判の的にさらされましたね」


結末的には、ツケが回ってきたという流れか。

しかし、自爆から因果応報になるとはまた笑えるな…。


「お父さんも相当の行動力でしたね」


「それが私の父でしたから。 その後は父方の両親と一緒に私達も引っ越し、転校しました」


「とりあえず、それでひとまずの平穏は得られたのか?」


「ええ。 ただ、胡桃は私の家族以外助けてくれる人がいなかったせいで、人と接する事に恐怖を感じてしまいました」


「対人恐怖症か…」


「私がずっと友達でいたので、他の子たちからのいじめはなくその恐怖症も和らいでいきました。 中学入学までは」


「安川のせいで…だな?」


「はい。 安川のグループの一部が胡桃をいじめようとしているのを私が阻止してましたから…」


色々聞いているうちに胡桃の心の闇がようやく理解できた。

胡桃の家族がいじめに加担したとなれば、誰も信頼できないような感覚になる。

十分なトラウマが刻まれていたのだ。

それでも、俺に出来ることは少ないのだろうが、少ないなりに彼女を支えてやらないといけない。


そう決意するには十分すぎる内容だった。


「もうすぐ食事会の時間ですね。 七絵さんはどうしますか?」


と、話し込んでいるうちにもう食事会が始まる時間帯にまで経過していた。

30分が意外と早く感じる内容だったのかも知れないな。


「少しの間だけでも胡桃と一緒にここに居ようと思います。 友達としてちゃんと胡桃を支えてあげないと」


「分かりました。 ひとまず兄とその嫁さんにも伝えておきますね」


「はい、お願いします」


シンシアさんは、水晶玉を用意してザッケローニさんとその嫁にもその事を伝えた。

彼らには申し訳ない気持ちでいっぱいだな。

後で彼らに謝らないと…。



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追放された剣士の冒険譚』もよろしくお願いします。
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