84 魔族領での結婚式(前編)
「ここが、魔族領の北部の町…『エレフライン』か…」
「結構大きいね。 あと、人間も魔族も一緒にいるね」
「イリアお姉ちゃん曰く、ガルタイトの侵略で居場所を失った人間を受け入れているみたい。 この町以外にもそうさせているんだって」
「へぇ…」
今日は、ここ魔族領の北部の大きな町『エレフライン』にて結婚式が挙げられる。
イリアさんからの招待状が届いたので行く事にしたのだ。
なお、魔族領には初めて行くので、ゼイドラムから用意してくれた数台のバスで行く事にした。
もちろん、後輩達も一緒だ。
そして、『エレフライン』にたどり着いた後、イリアさんが確保してくれたホテルに行く。
結婚式後は、一泊して帰る予定だからである。
「暁斗くん、ひなたさん、アイリスちゃーん!」
「あ、イリアお姉ちゃん!」
街の正門でバスを止め、下車した俺達をイリアさん…魔王イリアゲートさんが出迎えてくれた。
「お久しぶりです、イリアさん」
「こちらこそ、解放戦の際に助っ人に行けなくてすみません」
「いえ、イリアさんも討伐部隊の件があったので仕方がないですよ」
「そう言ってもらえると安心しますね」
俺とひなたはイリアさんと今までの事を色々な話をした。
それを関連して、一応ガイアブルクから伝わってるが、改めてクリスタを紹介した。
「なるほど…、暁斗くん達の召喚の際に生贄にされたんですね」
「ええ、それから1か月後に生き返りまして…暁斗様たちによれば、命のストックがある程度あるみたいでした」
「それが今回はいい方向に働いた…というべきでしょうか」
「そうだと思います」
イリアさんとクリスタが確認の為に話をしている。
その間に、俺達は後輩に呼びかけた。
「とりあえず、渡されたフロアマップと鍵があるだろうから、鍵に掛かれてる号室をマップで探しながら行こうか」
「そうですね、荷物も置かないといけないし…」
後輩達も同意し、ホテルの中に入っていく。
後輩達も俺達も鍵に書かれた号室を見て、各階に魔力で動くエレベータに乗って行く。
ってか、この世界に…魔族領にエレベータがあったのか…。
ゼイドラムにもあったが、あそこは近代化してるから理解はできるが…。
「俺達は8人部屋か…」
「クリスタちゃんを含めて6人だし、念入りにそれくらいは必要なんだろうね」
ホテルの4階にたどり着いた俺達は一番奥の401号室。
そこは8人部屋となっており、室内にもお風呂やトイレがあるようだ。
「結構広いねー…」
「ん…、ベッド…ふかふか」
「とりあえず、荷物を置いてトイレとか済ませたら再度入り口に集合な。そのまま式場へ向かうから」
「そうだね、挙式は数時間後だし、先にトイレは済ませないとね」
クリスタも入ってきて、荷物を置き、みんながトイレなどを済ませたのを確認し、ホテルの入り口のロビーへ向かった。
ロビーに行くと、後輩達も待機しており、トイレ休憩も済ませたようだ。
「じゃあ、式場へ向かいましょうか」
イリアさんの号令で、俺達は彼女についていく形で目的の式場に向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ここが、今日式を挙げる式場です」
「すごく…大きいです」
「いや、誤解を招く発言はやめようか…ひなた?」
「じょ、ジョークだよ! ジョークだから!!」
たどり着いた式場は現代世界で言うドーム球場並みに大きかった。
ひなたの誤解を招く発言に思わずツッコミを入れたが、流石は魔族。
結婚式を挙げる会場もかなりの贅沢だ…。
「そういえば、私たちは式…挙げてなかったね…」
「色々ありすぎたからなぁ…。 ガイアブルクに式場になれる場所がなさげだったし」」
「もし、必要でしたらこちらで式場を手配しますが?」
「余裕があったらお願いします」
今の所、ガルタイトからの脱走勇者に神経を使わないといけない状況なので、余裕は持てない。
なので、イリアさんの提案には余裕があるときにお願いすることにした。
「では、中に入りましょうか」
イリアさんの先導で、式場の中に入っていく。
受付で招待状を見せ、そのまま会場となる大広間に案内された。
ここで、式を行うようだ。
「すごい広いですね…。 ここで式を挙げられるなら最高でしょうね」
「だなぁ…」
クリスタの感想に、俺も同意する。
後輩達もあまりの広さにキョロキョロする人を見かける。
そんな中だった。
「七絵ちゃん!!」
七絵を呼ぶ一人の女の子の声が大広間に響き渡った。
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