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65 ささやかな宴…?

「「「かんぱーい!!」」」


翌日、俺達はアイリスの案でささやかな宴会を身内のみでやることになった。

人見知りが激しく多数が集う場所が苦手な胡桃に考慮してのことだ。

また、俺達は未成年なので飲み物はジュース…いわゆる俺達の世界でいう所のオレンジジュースが用意されていた。


「オーランドの果実を搾った果汁100%のジュースだから美味しいよ」


このオレンジジュースは、この世界では『オーランドジュース』と言うらしい。

アイリスから聞いた所、見た目は俺達の世界でいう『枇杷(びわ)』だが、絞り出した果汁はオレンジ味なのだとか。


「この肉何の肉だろう? すごく美味しい」


「それはヘルスバッファローの肉だよ。 焼肉やステーキにすると美味しく食べられるよ。 ハンバーグには向かない肉質だけどね」


並べられてるステーキや焼き肉の類はすべてヘルスバッファローという食用モンスターの肉のようだ。

いわば牛肉を食べてるという認識でいいだろう。 それにしても美味しいな。


「暁斗様、今回の件は本当にお疲れ様でした」


「ありがとうクリスタ。 そっちも後輩たちのフォローご苦労様」


「いえ、暁斗様の苦労に比べたらこれくらいは…」


ひなた達が色気より食い気を実践している間に、クリスタが俺を労ってくれた。

彼女も後輩のフォローに苦労したはずだ。

それにも関わらず俺の方を優先して、気を掛けてくるあたり優しい少女であるのは間違いないだろう。


「にぃ…、一緒に…食べる…」


『主たちもこれからが大変だろうからな。 これはそれに備える活力の源だ』


胡桃がアルト達と一緒に俺とクリスタの元に来た。

メイジフォックスウルフ等のSランクの魔物は、俺達人間が食べる食べ物も平気で食せるのが強みだ。

他のテイム魔物は『テイムフード』というペットフードを与えないといけない。

その為、費用的にも結構掛かってる。

幸い、解放戦における褒賞で貰った資金がたんまりあるのでしばらく生活には困らない。

ただ、今後の為にも冒険者活動で報酬をたくさん手にしないといけない。

それ以外の生産系の副業もやっていこうかな…とも考えているが。

折角、『錬金術師』の素質もあるわけだし。

そんな事を考えながら、俺とクリスタは胡桃を挟むように席に座り、一緒に食べる。


「にぃ、はい…あーん」


そこに胡桃がフォークに刺した食べ物を俺に向けて来た。

なんだかんだで俺に対して健気な感じになってる胡桃の要望に応えるために俺もそれに応じる。


「ふふふ、胡桃様も健気ですね。 見てて微笑ましいです」


「ん…。 にぃ、美味しい?」


「ああ、美味しいよ。 ほら、胡桃にも食べさせてやるぞ」


そうして俺もお返しにとフォークに刺した食べ物を胡桃に向ける。

胡桃は躊躇いもなくすぐにパクっと口の中に入れた。


「ん、美味しい…♪」


「そうかそれは何よりだよ」


「ん…♪」


美味しそうに食べる胡桃の姿が愛らしいので頭を撫でてあげた。

撫でられた胡桃も嬉しそうに目を細めている。

隣のクリスタも微笑ましい笑顔を向けている。

こうしているとまるで親子みたいな感じになってきてるなぁ。


「あーっ!! 胡桃ちゃん羨ましい! お兄ちゃんに『あーん』してもらってるなんて!!」


「な、なんてけしから…ゲフンゲフン羨ましいんだ!!」


「お前らがすぐに色気より食い気を実践してるからだろ」


「「「はうっ!!」」」


今の光景を見て羨ましがってきたアイリスとひなたと由奈。

だが、俺の切り返しの発言にダメージを受けてしまったようだ。


「まぁ、確かにいきなり食のガールズトークをし始めましたからね。 暁斗様が付いていけなくて距離を置いたのも分かりますよ」


「「「はぐぁっ!!?」」」


そんな三人に容赦なく浴びせるクリスタの追撃の発言。

確かにいきなり食に関するガールストークが始まってしまったから、流石に付いていけずに黙々と一人で食べてたんだよなぁ。

そこにクリスタが声を掛けてくれ、胡桃とアルト達も来てくれたんだが。


「うう、反省してるよぉ。 いきなりお兄ちゃんが付いていけない話題をしたの私だし…」


「私も調子に乗っちゃったしね…」


「そうだね…」


反省したのか、少し落ち込んでしまった三人。

そんな彼女達に胡桃が頭をなでなでしてきたようだ。


「ねぇ達…、元気…出して」


「あ、ありがとう胡桃ちゃん」


「やれやれ、胡桃も優しいんだな」


『それは主の影響なのではないのか?』


「それはどうだろうな」


胡桃に頭を撫でてもらっているアイリス達三人を見て、仕方ないかと言わんばかりのため息をつく。

アルトが胡桃の行動が俺の影響を受けているのではないかと言うが…どうだろうな。

まだ、俺に依存してるという感じは拭えないが、彼女なりにみんなを大事にしたいっていう思いがあるんじゃないだろうか。


「さて、気を取り直して今度こそ宴と行きましょうか」


「そうだね。 今度はお兄ちゃんにも付いていける話題を振っていくよ」


「本当に頼むぞ? ひなたも由奈もな」


「わ、分かってるって」


「こ、今度は大丈夫だから…ね?」


しっかりと釘をさしてから、改めて宴を再開する事となった。

今日いっぱいはなんだかんだで、この宴会を楽しむことはできたという事で良しとしようか。




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追放された剣士の冒険譚』もよろしくお願いします。
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