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63 クレハ解放戦その5~ゲスー・オズワルドの最期~

(Side ひなた)


「ふぅ、流石にタフだったね…ひなたちゃん」


「そうだね…、胡桃ちゃんの召喚魔法がなければどうなってたか」


親衛隊を引き付けるために1階下まで走った私たちは胡桃ちゃんのおかげでタフだった親衛隊を手早く殲滅することが出来た。

現在は暁斗君と合流すべく階段を駆け上がっている。


「暁斗君…大丈夫かな…? 幾ら強いって言っても…相手が相手だし…」


由奈ちゃんは心配する。

まぁ、私も同じ。 ゲスーの実力が分からない以上、これ以上暁斗君一人で戦わせるわけにはいかない。

そう思いながら、先程の大部屋の入り口にたどり着いた瞬間だった。


「離れろ!!」


クロウ中佐の一声が聞こえ咄嗟に入り口から距離を置いたが…。


「きゃああっ!!」


「ひなたちゃん!?」


ドーンという音と共にドアを破壊してまで発せられた衝撃波を防ぐことが出来ず、吹き飛ばされかけたが後ろの由奈ちゃんが受け止めてくれた。


「大丈夫?」


「ありがとう由奈ちゃん…。 しかし、今の衝撃波は何…?」


「二人の力がぶつかり合った際の衝撃波だろう…。 まさかゲスーもそこまでの実力を持ってたとは…」


「暁斗君が心配だけど…様子を見よう」


私がそう言った後で、ゆっくりとドアがあった入り口の所まで行き、そこでこっそり見てみたが…


「何…あれ…」


暁斗君とゲスーが激しい戦いをしていたのを見てしまった。

二人とも格闘技で応対している感じだった。

多分、ゲスーの拳が電撃を纏ってるから剣で挑んでも分が悪い。

なので、暁斗君の方も気を纏った拳にさらに火や風といった属性魔法を纏っていたりして対応している。

だが、よく見るとダメージの大きさはゲスーの方が大きい。

それはこの戦いをしばらく見届けていると分かる。

ここ最近の暁斗君は体力面でも化け物レベルになってるからあれだけ暴れても平然としている。

一方でゲスーは、蓄積ダメージの影響で息が上がってしまっており、技の精度も落ち続けていた。

その為、私たちは介入せずに見届ける。


(暁斗君…)


そして、その戦いももうすぐ終わりが近づこうとしていたのだ。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



(Side 暁斗)


「はぁ…はぁ…」


あの後の格闘技だけで戦った俺とゲスー。

奴の方はかなり息が上がっており、次第に技の精度も落ちつつあった。

電撃を纏った拳にヒヤッとさせられたが、モーションを見て回避に成功、カウンターで風を纏ったボディーブローを浴びせたのだ。


「流石にしぶといな。 腐ってもあの国王の親友と言うべきか」


「き、貴様…、何故それを…!」


「色々と情報を探ってくれる仲間がいるんでね。 それに俺はあの国王に無能扱いされてるんでね。 今でも根に持ってるのさ」


ゲスーが俺を睨むが、迫力は感じない。

今までの蓄積されたダメージが、奴を弱体化させたのだろう。


「な、なめるなぁぁぁーっ!!」


力を振り絞り、ゲスーが飛び膝蹴りを繰り出してきた。

だが、スピードがさほど速くない。

それを俺は膝頸の部分を狙って当身を食らわせ、そのまま掴んで投げた。

ゲスーは受け身を取れずに頭を打ち付けてしまう。


「あ、ぐ、ぐ…」


頭を打ち付けたダメージで、立ち上がることが出来なくなったゲスーは痙攣していた。

これでもう奴が攻撃も出来る状態ではない。

もう終わらせるべきだ。


「今までで一番しぶとかったよ。 とどめはこれで刺してやるよ」


俺はゲスーの心臓部に目掛けて強力な掌底打ちを繰り出した。

当然気を纏っての技なので、打ち付けた瞬間、ゲスーが吐血してそのまま息絶えた。

そのまま投げ捨てた剣を拾うと、入り口付近で見届けていたひなた達を見かけた。


「終わったんだね、暁斗君」


「いつからそこにいたんだ、ひなた?」


「親衛隊を駆逐して君と合流しようとしてたら衝撃波が廊下まで伝わってね。 そこからだよ」


「あの時からかよ…」


ひなたの後ろから由奈や胡桃、そしてクロウ中佐も出て来た。


「だが、ゲスーが相当の実力者だったのは誤算だったが、君にとっては些細な事だったか」


「いえ、確かにあいつはしぶとかったですよ」


「そういえば、あそこのゲスーって死んでるの?」


「ああ、止めは心臓部を狙って掌底を使った」


「ふむ、心臓だけを破壊したという事か。 流石だな」


クロウ中佐と由奈のやり取りをしてる間に、後からエミリーさんやエリス王女も現れた。


「もしかして、終わりました?」


「そうですよ、王女殿。 彼、暁斗君がゲスーと戦い勝利しました」


「流石暁斗くん、やるねぇ」


エリス王女にクロウ中佐が報告をし、それを横目で知ったエミリーさんが俺の背中をバシバシと叩いて労う。

激しい戦闘後だから痛いんだって…。


「とにかくみなさん。 特に暁斗くんはお疲れさまでした。これでクレハ共和国はガルタイト国から解放されました。 暫くはガイアブルクやヘキサ公国、そしてゼイドラムの連合で立て直しを図ろうと思います。 褒賞とかも考えてますが今は疲れをいやすために帰還してくださいね」


「そうだな。 俺もドッと疲れたよ」


「にぃ、お疲れさま」


「ああ、胡桃も…みんなもお疲れ様」


「うん、私たちも疲れちゃったね…」


「後始末は我々に任せて君たちは早く『ローザリア』で身体を休めるといい」


「ええ、クロウ中佐もお疲れ様でした」


エリス王女やクロウ中佐に促され、俺達は塔を降りた後で密かにエリス王女から貰った転移アイテムで『ローザリア』に転移し、出発前に泊まった指定の宿で疲れを癒した。

長く感じたクレハ解放戦もこれでようやく終わりを告げたのだ。




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追放された剣士の冒険譚』もよろしくお願いします。
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