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56 暁斗とエリス、それぞれの動き

今回は途中で視点変更があります。

(Side 暁斗)



「まさかこんなに早く実行するとは思わなかったな」


「私もびっくりしたよ。 エリスお姉ちゃんからの通信でトーンがいつもと違うからどうしたのかと思ったら」


今、俺とアイリスが別の空き室で会話をしているところだ。

胡桃を嫁の一人にしてこちらに置くという手続きを終え、他の後輩達も冒険者として色々経験させようとする予定を立てていた所にエリス王女からの通信がアイリスの水晶玉から発せられた。

しかもその内容が、まさに最悪の事態。

クレハ共和国がガルタイトに国を売ったという内容だった。


「しかし、ゲスー・オズワルドが左派政権を隠れ蓑にして売国を実行していたとか…」


「何せ報告者は、クレハ共和国から逃げて来た本当の意味での左派議員だったみたいだし、あの悪法もその人を含んだ政権の一部の議員は知らなかったみたいだよ」


「彼らからすれば騙されたって感じか」


「そういう事になるね…」


結局のところ、ゲスー・オズワルドも本性としては魔族殲滅主義者だったという事だ。

奴は今回の…二度目の勇者召喚のゴタゴタを利用して、極秘に売国を行ったのだそうだ。

悪法により国からの脱出が不可能となった国民は、恐怖政治の元で魔族殲滅主義思想を植え付け、兵士と言う道具として派遣するつもりだろう。


「それで国王やエリス王女からは俺達はどうすればいいかについては言っていたのか?」


「ううん。 ここまで手早く動くことは想定してなかったから、軍備に時間が掛かってるみたい。 だからギルドから通達がない限り日常を過ごしたり依頼をこなしてあの人たちを成長させるしかないよ」


やはりそれしかないか。

とりあえず、後輩に色々教えたりして強くなってもらわないと困るしな。

追手部隊も完全に来ないわけじゃないからな。


「とにかく今日は早く寝よう。 明日から後輩が冒険者としてのデビューを手助けしないといけないからな」


「そうだね。 冒険者としても私たちは先輩だし、慣れないあの人たちにはしばらくサポートは必要だろうしね」


現時点での今後の予定を確認し、俺達は休むことにした。

色々考えても仕方がない。

自分の範囲で出来ることをするしかないのだから…。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「はい、これで皆さんの冒険者登録が完了しました。 これがライセンスカードとなります」


後輩たちの冒険者登録が完了し、それぞれ6人、7人に分けてパーティを組んでもらった。

なお、胡桃は俺達のパーティで活動することになった。

当然ながら後輩達はFランクからのスタートだ。 胡桃も同様である。


「じゃあ早速だけどまずは採取依頼からやっていこうか。 依頼はこっちから見ることが出来るよ」


アイリスに案内される形で後輩たちは付いていく。

俺の方も胡桃の為に採取依頼をやっていく事にしよう。


「それじゃひなたとアイリスは後輩達の方のサポートを頼むぞ」


「任せて、お兄ちゃん」


「そっちも胡桃ちゃんをちゃんと教えてあげなよー」


ひなたとアイリスは後輩のサポートに回り、俺と由奈とクリスタは、胡桃のサポートの為に他の採取依頼を受けることにした。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



(Side エリス王女 in ガイアブルク城)



「これが『クラスターボム』…ですか?」


「はい、そうです」


昨日宿に泊まっていた元クレハ共和国の左派議員が、仲間を連れて王城へ訪れた。

仲間のうち、数人が抱える箱を持ってきて。

私がその箱を開けると、かなりの数の魔力を込めた球体が詰め込まれていた。

左派議員が言うには、これがクレハ共和国がクーデターで乗っ取られる前に作られたという魔法の爆弾『クラスターボム』という事だろう。


「それにしても、クレハ共和国がこんなものを作っていたなんて…」


「ええ、ゲスーに乗っ取られた政権下では所持するだけで犯罪扱いになる代物ですから」


「あなたたちはどうなるんですか?」


「普通なら、我々は死刑でしょうね。 ですが、今のクレハは最早ガルタイトの属国ですから、一度更地にしてでも一から立て直すしかありません」


「よろしいのですか? 国民だっているでしょうし…」


「昨日も通信で言いましたが、最早国民は洗脳されてる状態であろうことが推測されます。 こうなれば手の施しようがありません。 なので…」


議員たちはすでにクレハ共和国を一度滅ぼす覚悟を決めていた。

そうでなければ、私たちにこの『クラスターボム』を託さないだろう。

これは4つ投げ込めば、小さな町ならば確実に壊滅させる程の威力を持つ代物だ。

事実、ゲスーの狡猾な動きのおかげでこっちは後手に回ってしまっている。

一気に、そして早期に決めるためにも、この爆弾は必要悪なのだ。


「分かりました。 この『クラスターボム』は使わせていただきます」


「ありがとうございます。 我々にできるのはここまでです。 後はあなたと方他の周辺国にお任せになります」


「はい、そちらも気を付けて…」


議員たちが出ていった後、私は決意を固めた。

軍備が整ったら、暁斗くん達の力も借りて、一気に決めてしまおうと。


こうして数日後に周辺国も準備が整ったという報告を聞いた私は、父上の許可の下、暁斗くん達にギルドを通じて指名依頼を出した。



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追放された剣士の冒険譚』もよろしくお願いします。
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