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25 最初の追手その2~勇者邂逅編~

隠行の魔法で兵士の後ろで待機していたかつてクラスメイトだった4人の勇者。

構成は、女子二人と男子二人。

女子は高田(たかだ) (みお)日下部(くさかべ) 柚希(ゆずき)

男子は鞍馬(くらま) (しょう)濁川(にじかわ) (たく)のようだ。


「葛野さん、考え直さないの…?」


「言ったはずだよ。 容赦はしないって」


「魔王を倒すのが勇者の使命だろ!? お前も勇者なら…」


「だったら尚更、そんな使命を真っ向から拒否させてもらうよ」


「な…!?」


まぁ、ひなたも容赦ないくらいに言ってくるな。

今はひなたとあいつらの話をあえて聞いているところだ。

一応、救援を待つための時間稼ぎという名目があるからな。

ただ、ひなたがアイコンタクトでサインを出したら一人を殺っていいという。

ひなたにとっても、春日部さんのこともあってか、クラスメイトにいい感情を持っていなかったしなぁ。


「なんで!? 魔王は悪い奴なのよ!? それを倒さないと平和は来ないのに…」


「向こうの都合のいい歴史に付き合う義理はないよ。 そもそもガルタイト国が狂ってただけじゃん」


「なんですって!?」


「本来のこの世界は魔族と友好な関係を築いている国ばっかりなんだよ。 ガイアブルク王国やヘキサ公国も魔族との友好国家だよ」


ひなたがこれでもかという位に高田と日下部に対して捲くし立ててくる。

4人は顔を歪ませてくるが、知ったこっちゃないと当のひなたはさらに爆弾を投下させた。


「あと言っておくけど魔王は現在、私たちのそばにいるからね」


「は!?」


鞍馬が素っ頓狂な声を上げた。

まぁ、俺たちの隣に魔王がいるなんて信じられないんだろうな。

というか、隠行の魔法で見てたんじゃなかったのか?

とまぁ、そんな事考えてたらイリアさんが一歩前に出て名乗りをあげた。


「いつか言ってくれるとは思ってましたが…、私が現魔王のイリアゲートと言うものです。 以後お見知りおきを」


「ほ、ホントに魔王がここに…!?」


「い、いや、たしかに兵士の断末魔で聞いたけど…」


イリアさんが名乗りを上げた直後、4人は動揺を隠せない状態だった。

そりゃあ自分の目の前に魔王がいるなんて信じられないよなぁ。


「な、なんでお前らが魔王と一緒なんだよ! まさか本当に裏切ったのかよ!?」


信じられない様子で濁川が激昂してくる。

あぁ、段々とウザくなってきた。

ひなたは構わず、淡々と答えていくが…。


「この人やガイアブルク王国の国王様から本当の歴史を教えてもらったからね。 そう考えてもらって結構だよ」


「そんな…、そんなの間違ってる…!」


日下部の発言で分かる。4人は現実を受け入れられないと。 受け入れたくないと。

完全にガルタイトの駒になってるな、これは。


「そもそも葛野! お前がそこの無能と一緒にいるのも間違ってる!」


「あれ? 見てないの? お前たちが無能って言ってた私の友人が兵士4人を斬ったんだけど?」


濁川が俺を相変わらず無能と罵るが、ひなたもひなたでとうとう二人称が『お前』と言うってことは…あいつらとは完全に敵視するという意思表示か。

そもそも彼女は余程のことがない限り、二人称に『お前』なんて言わないからな…。今回がいわゆる余程の事ってわけか。

あの4人も驚きを隠せないでいるようだ。 見てて笑えてくる。

そこでひなたは俺にアイコンタクトをしてきた。 どうも一人を斬っていいみたいだ。


「そんなのは嘘だ! 無能な佐々木がそんな事出来るはずが…っ!?」


濁川が言い切る前に、俺は無言で剣を横に軽く振るった。

その剣筋によって、濁川の首は刎ねられた。

首から下の部分は倒れ、大量の血が噴き出していた。


「き、きゃあぁぁぁぁっ!!?」


一瞬の出来事に高田が悲鳴を上げる。


「に、濁川ぁぁぁ!?」


鞍馬もショックで叫んでいた。


「あ、あぁ…」


日下部は恐怖に苛まれて声が上手く出せない感じだ。

よく見ると日下部のスカートの中から太腿を伝って滴り落ちる液体が見えた。

先ほどによる恐怖で、失禁したようだ。

残る二人も目の前の死の恐怖で動けないでいた。


「待たせたな、みんな」


そんな中、クリストフ国王が冒険者数人を連れて援軍に現れた。


「ああ、あれがガルタイトの勇者たちか?」


「おい、あの女、漏らしてねぇか?」


「…っ!!」


援軍に来た冒険者たちの一言で我に返った日下部は羞恥に苛まれつつ、スカートを押さえてしゃがみ込んだ。


「しかし、すでに一人は死んでるみたいだけど?」


「ああ、アキトお兄ちゃんが首を刎ね飛ばしたからね…」


一方でクリストフ国王にアイリスが苦笑いしながら現状を報告していた。

流石にやり過ぎたか。


「さて、三人になったとはいえ勇者が相手だからね。 こっちは数で行かせてもらおうか」


「ぐ、ひ、卑怯な…」


「殺るか殺られるかの戦いだからね。 手段なんて選んでられないよ」


クリストフ国王の宣告に鞍馬が批判するが、ひなたが一蹴した。

そう、これは殺るか殺られるか。

向こうが10人の兵士を連れて来たのだから批判される謂れはないのだ。


「さぁ、始めましょうか」


「そして見せてやるよ。 お前らが無能と馬鹿にした男の真の実力をな…」


イリアさんの後に俺も続く。

こうして、追手第1陣として現れた残り三人の勇者たちとの戦いが始まった。



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追放された剣士の冒険譚』もよろしくお願いします。
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