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21 対『漆黒』その1~手下殲滅戦~

「あれが盗賊集団『漆黒』が根城にしている洞穴か…」


「本当にわかりやすいくらいに広いね…」


徒歩で30分ほどの距離を歩いて見つけた『漆黒』が拠点としている洞穴。

その大きさを見てひなたが感想を漏らしているところだった。


「隠す必要がないという感じかな? 相当自信があるんだろうね」


「うん、相手側も実力派ぞろいだろうからね」


傍らでアイリスとエミリーさんもひそひそと会話をしていた。


「まずは、手下400人を減らすことに集中しよう。 そうすればリーダーと副リーダーが出てくるしかないはずだ」


前線組として指揮を執るクリストフ国王がそう言った。

しかし、国王が前線に出て大丈夫なのか?


「なぁ、アイリス。 国王が前線に出て大丈夫なのか?」


「大丈夫だよ。 お父さんは【剣士】と【呪術師】と【槍術師】を極めているから」


「思った以上に武闘派だった!?」


クリストフ国王、そこまで強かったのか…。

驚く俺をよそにアイリスが準備をしていた。


「まず、私が仕掛けるからその直後に殲滅戦を開始してね」


「うん、なんとかしてみるよ」


「へへっ、腕がなるなぁ!」


アイリスの言葉にひなたはちょっと自信なさげに答え、カイゼルさんはやる気満々だ。

まぁ、俺自身もちょっと昂ってるところだが…。

そうこうしているうちに、向こう側もある程度の人数が入り口付近に集まっていた。


「よし、アイリス、頼むよ」


「うん、【アイシクルランス】!」


クリストフ国王の合図にアイリスが氷の槍を前方に解き放った。

数本の氷の槍が高速で数人の手下に向かい、その身体を貫いた。


「よし、行くぞお前ら! 遅れるなよ!」


悲鳴を上げることなく絶命したのを確認したカイゼルさんが俺たちに鼓舞する。

それに応えるかのように、俺たちはすぐに手下に向かって行く。

リックさんが速度向上のスキルを掛けてくれたので、早く突入できた。

後方では、エミリーさんとクレアさんが詠唱の準備に入っていた。

殲滅戦のスタートだ。


「な、何奴…ぎゃああっ!」


「おらぁぁぁぁっ!!」


重戦士のカイゼルさんは、斧を使って豪快にぶん回す。

そのパワーに手下たちは次々とぶった斬られていく。


「ひなたも頑張ってるか…。 俺も負けていられないな」


傍らでひなたも軽快な剣さばきで手下を斬りつけていた。

人を殺すことに躊躇いがあるんじゃないかと気になったが、彼女自身は割り切っているようだった。

何せ、いつか来るかもしれない追手に対して非情に徹さなくてはいけないからだ。

俺自身も一度悪徳貴族の顔を粉砕する形で殺しているので、同じく割り切ることにした。


「な、ま、魔法が撃てない!?」


「よし、これで俺もぶった斬れる!」


「や、やめ…うわあぁぁ!」


その間に俺は洞穴の中とこのエリア内の手下に対して【サイレントカース】という呪術を行使していた。

これは広範囲の呪術で解呪しない限り永久に魔法を使えなくするという強力なもの。

手下に魔術師が含まれているということで、会議時の提案通り、密かに準備をしていた。

これによって魔法が使えなくなった魔術師の手下はオロオロする以外にすることがない。

その間に俺に向かってくる数十人を斬り続けていた。


「おいおい、お前らやるじゃねぇか。 とんでもねぇ強さだな」


「そういうカイゼルさんこそ!」


カイゼルさんが感心するように俺に言ってきた。

俺からしてもカイゼルさんの強さは流石重戦士だという実感があったので言い返したが。


「二人とも話しながら斬りつけていくとか器用すぎでしょ!?」


傍らでひなたが突っ込みを入れる。

その間に味方の魔力の反応を感じる。 詠唱が完了したんだ。


「よし、一旦散開だ!」


「了解!」


カイゼルさんの号令に俺とひなたは一旦手下から距離を置く。

すると、手下の足元から次々と氷が発生し、身体を一気に貫いた。

その直後に炎が広範囲に広がっていき、死んだ手下を火葬する。

生きてる手下もその炎に焼かれて灰化していた。


「というか、森の中で火の魔法を使って大丈夫なのか?」


「木々に当たらないようにしてるんじゃないかな? でないと大火事確定だし」


ひなたも似たようなことを思っていたようだが、よく見ると人相手にしか狙わないように精度を上げているようだ。

エミリーさんかクレアさんなのだろうが、流石としか言いようがない。


「アキト君が魔封じの呪いを使ってくれたおかげでこっちは全くの安全だよ! 次はアイリスちゃんが詠唱してるからお願いね」


「よし!」


後ろからエミリーさんが伝言してくれた。


「疲労回復の魔法を掛けました。 現在こちらが有利ですのでこのまま続けようとクリストフ様からの伝言です」


「わかりました!」


リリアさんの魔法で疲れが取れたのか、ひなたも気合を入れなおした。


「はぁっ!!」


すぐ様、ひなたは独特の剣術を繰り出して、手下を斬っていく。


「せいやぁっ!!」


俺も負けじと、ひなたの祖父から教わった剣さばきでかなりの数を斬っていた。

時には横に薙ぎ払うだけで、10人一気に真っ二つにしたりもしていた。


「チェエェェェストォォォ!!」


カイゼルさんも持ち前のパワーで斧を振り回して敵を粉砕している。

リックさんも毒の入ったナイフで手下を切りつけ、毒を回らせて死に至らしめている。

そうしていると、気配察知でやや強めの手下の気配を感じる。

そこで俺はある呪術を使った。


「【ペインカース】!」


「ぐわあぁぁぁぁっ!! いてぇぇぇぇ!!」


この呪術は、相手の内臓を刺激させ、激痛にのたうち回らせて死に至らせる呪術だ。

強めの手下の気配を察知した場所に向けて呪術を放ち、無効化した所で衝撃波でとどめを刺した。


「君のその呪術、えぐいね」


「リックさんの毒入りナイフ程じゃないですよ」


「みんな離れて! 【クラックトレマー】!!」


俺とリックさんが話しているところに、アイリスが魔法を行使した。


「うわあぁぁぁ!!」


散開した地点から、地割れが起こり、手下たちはなすすべもなく地割れに飲み込まれる。


「よーし、ボクももう一度! 【ファイアストーム】!」


そしてエミリーさんの火の魔法で残りの手下を焼き尽くした。

これで手下は全員片付いたはずだ。


「くそっ、やってくれるじゃあないか」


洞穴の奥から声がして、臨戦態勢を整えた。

そこに現れたのは、リーダーである元Bランク冒険者だった男と脱出の手助けをしたという副リーダの男だった。


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追放された剣士の冒険譚』もよろしくお願いします。
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