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15 魔王イリアゲートとの会話(前編)

少し短いです。

ご了承ください。

あれから2日経ち、俺たちは今、ガイアブルク城の国王の部屋にいる。

あの時、クリストフ国王が言っていた魔王イリアゲートという人と俺たちを会わせるためだ。


詳しくは知らないが、どうも魔族側もガルタイト国に諜報部隊を派遣していたようで、ひなたの立ち回りも見ていたようだ。

ともかく俺たちはその人が来るのを待っている。

ひなたはというと緊張のためか、現在侍女の案内でトイレに行っているとのこと。

こういう面会で緊張してトイレが近くなるのは相変わらずだなぁ。 普段は長時間行かなくても平気なんだけど。


「とはいえ、俺も緊張してきたな…」


「大丈夫だよ。 イリアお姉ちゃんは竜人だけど優しい人だから」


「だといいけど…」


アイリスが隣で落ち着かせてくれるが、緊張の方が上回っている。

そりゃそうだ。 魔王という大層な人と出会うってのに緊張しないほうがおかしい。


「ただいまー…」


そんな事考えてたら、ひなたがトイレから戻ってきた。侍女も一緒だ。


「いやー、王城のトイレは広くてびっくりしたよ」


「あはは…」


下手に返答するとデリカシーのない男として見られる可能性がある。

故に苦笑いするだけで精一杯。


「とにかくもうすぐ彼女が来るけど、気さくに話しかけて構わないと向こうから言われているから安心してほしい」


横からクリストフ国王がこう言ってきた。

もうすぐか…、ああ、ますます緊張してきた。

俺自身はひなたとか春日部さん以外の人とは今まで会話すらしたことがないコミュ障だったからなぁ。

今はアイリスとかクリストフ国王とも話せるけど、根本的な体質は変わっていない。

故に第三者からは【陰キャ】なんて言われてたんだっけ…。

そういえば、春日部さんはどうしてるんだろうな。

俺以上に大人しく、口数が少なく自分の意思が上手く出せない子だったから…。

思い出しているうちに、ノックの音が聞こえ、兵士が入ってきた。


「クリストフ国王様。 イリアゲート様がお越しになられました」


「ああ、入ってもらってくれ」


「はっ!」


ついに魔王との顔合わせか…。

兵士が部屋を出て、すぐに女性が部屋に入ってきた。


「失礼します」


そう言って入ってきた女性は、腰まで届くレベルの銀髪のロングヘアに水色のドレスを纏った美少女という印象だった。

しかし、頭部に2本の角と僅かだが、トカゲのような尻尾らしきものが見えた。

アイリスが言う竜人なのだろう。


「イリアお姉ちゃん、久しぶり!」


「ええ、アイリスちゃんもお久しぶりです。 お元気にしてましたか?」


「うん、すごく元気だよ!」


先に声を掛けたアイリスが魔王さんに近づく。

お互いの会話からみるとまるで姉妹のようだ。

そして、次はクリストフ国王の方に顔を向け、挨拶していた。


「クリストフ国王様、この度面会の許可をいただきましてありがとうございます」


「こちらこそイリアゲート君。 流石にあの時の件は君自身も気になってたのだね」


「ええ、こちらが件のお二人様ですね?」


「そうだ、佐々木 暁斗くんと葛野 ひなたくんだ」


二人の簡単な挨拶ややりとりを済ませた後、女性は俺たちの方に顔を向けた。


「初めまして。 私はイリアゲート・カトリーナ。 竜人で魔王を務めております」


「佐々木 暁斗です、よろしくお願いします」


「私は葛野 ひなたです。 よろしくお願いします」


俺もひなたも緊張した面持ちで挨拶と自己紹介をした。

隣のアイリスは笑顔のままだ。


「あなたたちの事は、ガルタイト国に派遣した諜報部隊の報告から知りました。 特に暁斗様は、さぞ辛かったでしょう」


「え、ええ…。 しかし、ひなたが助けてくれたので…」


「ひなた様も勇者の素質を持ちながらも友達のためにガルタイト国を反逆されたとかで、すごく勇気のある行為でしたね」


「はい、私自身、あの国には不快感を持ってたし、何より暁斗君を放っておけなかったので…」


お互い、今までの事を嘘偽りなく話した。

こうして話してみると、確かにイリアゲートさんは優しい人だと感じる。

それでも、流石は魔王なのだろうか、芯はしっかりしてる印象だ。


「さて、積もる話もあるが、それはお茶をしながらにしようじゃないか」


クリストフ国王が一声入れて来た。

数人の侍女がお茶とお菓子を持ってくる。


「これは…緑茶?」


「ついでにこのクッキー、私たちの世界でも見たことのある奴だよ」


俺たちの世界でも馴染みのあるお菓子と緑茶を見て何故か懐かしさがこみ上げる。

しかし、その感傷に浸ってる暇はなく、すぐに今回の理由をイリアゲートさんが話し始めた。


「今回、ご訪問をしたのはあなた達二人を支えるためにも顔合わせをしたいと思っていたからです」


俺たちを支える?

どういうことなんだろうか。

確かに魔族側の諜報部隊で俺やひなたの事は知っている。

それを踏まえても何故…という疑問が浮かぶ。


「あなたたち二人が、今の歪んだ世界情勢を変えるきっかけになるかも知れないからです」


次にイリアゲートさんの放った発言に、俺たちは固まった。

歪んだ世界情勢を変える?

そんな力が、俺とひなたにあるのか?

その直後に語られたのは、魔族とガルタイト国の歪んだ関係の話だった…。



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