128 追手部隊を駆逐せよ!
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「暁斗! そっちに兵士型が数体向かったぞ!」
「分かった、アルト!」
『アオォォォォォン!!』
追手部隊との戦闘開始から数十分経過。
兵士型はようやく八割を屠ることができたので、メイジフォックスウルフのアルトとサクラを呼び寄せて、クローンホムンクルスに向けて突撃している最中に、ザックから兵士型が数体こっちに来たというのでアルトの咆哮で足止めしておいた。
咆哮によって立ちすくんだ兵士型は、追いついたザックと鴫野達によって次々と屠られていた。 特に京終さんと鴫野…本当に強くなったよなぁ。
「暁斗君!」
そんな事を考えていると、ひなたがサクラの背に乗って俺の隣に来ていた。 クローンホムンクルス討伐を手伝ってくれるのだろうが、おそらくその先のザナ王女との決戦も控えているからだろう。
「ひなた、もうすぐクローンホムンクルスの集団だ! 油断するなよ」
「うん! 後からザックさんや京終さん、鴫野君も来てくれるし、今はサクラの背に乗せて貰ってるからね」
『ええ、ひなた様もお守りいたしますわ』
「そうだったな。 じゃあ、ひなたとサクラで連携しておいてくれ」
「任せて!」
『畏まりましたわ』
残り1割の兵士型を屠っている最中のザックと鴫野達は後から来てくれるらしい。 当然ながらアイリスとシンシアさんも支援に来るのだろう。
俺とアルト、ひなたとサクラで連携を取るように確認した後、即座にクローンホムンクルスに斬りかかる。
『さぁ、参りますわ! 覚悟はよくて?』
「な、この狼はまさか…ぎゃあぁぁぁっ!」
「サクラに気を取られすぎだよ! 【五月雨斬り】!!」
「な、何…!? ぐああぁぁぁぁっ!!」
まず、仕掛けたのはサクラとひなたのコンビ。 サクラが爪で安川のクローンホムンクルスの一体を深く切り裂いていく。 そこに動揺した別の個体に向けてひなたが【五月雨斬り】を放っていた。
この技、確か【アクセルザッパー】をひなた流にアレンジした技だろうな。 サクラに気を取られた個体は、ガードすら出来ずにひなたに斬られてそのまま絶命した。
「く、くそっ、どうなってんだ…! 俺様たちがこうも簡単に…」
「悪いがこっちもいるぞ」
「な…、いつの間に…がはぁっ!」
そして、俺達も負けられないという事で、ひなたとサクラのコンビに目を追っている個体に背後から剣で心臓部を一突きして、絶命させた。
「待たせた、暁斗! 俺達も手伝うぜ!」
「張り切るよー! 【コキュートス】!!」
「では、私も。 【ヴォルケイノ】!!」
「な、その魔法は…あぎゃあぁぁぁっ!!」
「ギビイィィィィ!!?」
兵士型を全滅し終えたザック達が援護に来た。 そして、速攻でアイリスとシンシアさんが超級魔法で残り7体のクローンホムンクルスのうちの5体がその魔法を直撃して凍結もしくは焼死した。 これで後2体。
「暁斗!」
「おう! 行くぜ、ザック!!」
「エックス…キャリバー!!」
その内の1体は俺とザックの合体攻撃…それぞれ斜めに突進し、お互いが触れる距離に近くなった所を剣で横に斬った。 それが『X』の文字のように見える事からこう名付けた。 ザックと俺の同時斬撃によって、その個体は真っ二つに分断され、そのまま息絶えた。
そして、もう一人は…。
「そろそろ終わりね…」
「がはっ…!?」
クローンホムンクルスの背後から現れたザナ王女によって、槍で貫かれた。
「ザナ…」
「久しぶりね…、ひなた。 こんな形で貴女との決着を付ける事になるなんてね…」
「安川にガルタイトを乗っ取られたから?」
「そうかも知れないわね。 アンが死んだのはあの時に言ったからいいけど、結局、父も傀儡化されただけでなく、血を抜かれつつ、ある実験体にされたしね」
「あの国王が…実験体に!?」
「ええ、そうよ」
実験体…? あの馬鹿国王のヘイトが…? 安川に実験体にされたと…?
色々情報が錯綜し、混乱しつつある傍らで、ひなたとザナは対峙し続ける。
「一騎打ち、するんだな?」
「まぁね。 向こうもそう望んでるし。 安川の仕込みがないとは言い切れないけど」
「分かった。 俺達は観戦しつつ、安川の仕込みがないかを探すよ」
「負けちゃだめだよ、ひなたお姉ちゃん」
「うん」
俺やアイリスは、ひなたとザナ王女の一騎打ちを認め、決着を付けさせる。
同時に俺達は、ひなたの観戦をしながらだが、安川の仕込みがないかをサーチすることにした。
「行くよ…ザナ」
「ええ、かかってらっしゃい。 ひなた」
剣を構えたひなたと槍を構えたザナ王女。 二人の決戦が、今始まろうとしていた。
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